日程 9月10日(土) 13:00 - 15:00

オーガナイズドセッション04 (OS04)

自他の行為の可能性をデザインする ―アクセシビリティの相互行為研究―
オーガナイザー:
細馬宏通(早稲田大学文学学術院)
門田圭祐(早稲田大学大学院人間科学研究科)
  • OS04-1
    手渡しにおけるアクセシビリティの利用 -手渡される物と受け取り手へのアクセシビリティに注目して-
    招待講演
    門田 圭祐 (早稲田大学大学院人間科学研究院)
    本発表では,日常生活における手渡しの事例について,物の渡し手が決まる過程を相互行為的観点から分析する.とくに,手渡される物へのアクセシビリティと受け取り手へのアクセシビリティに焦点を当て,参与者たちが自他のアクセシビリティについての理解を相互行為の中で提示し,調整し,更新しながら相互行為を展開していく過程を描出する.これを通して,相互行為における行為の能力が個人に依存したものではなく,他者や環境との関係に依存したものであることを論じる.
  • OS04-2
    ピアノレッスンにおける学習者の演奏表現・演奏運動へのアクセス可能性の協働的構成
    招待講演
    山本 敦 (早稲田大学人間総合研究センター)
    身体的技能の指導では学習者の実行の調整が必須だが、学習者の身体を意のままに操ることは指導者にはできず、触れての調整は実行の阻害となりうる。この意味で、学習者の身体的実行へのアクセシビリティには制限がある。本発表では、ピアノレッスンで観察される、学習者の身体を直接操作しているかのように見え、実際に演奏を変容させる指導者のジェスチャを協働的行為の観点から分析することで、学習者の身体的実行へのアクセス可能性がいかに構成されうるかを考察する。
  • OS04-3
    アクセシビリティ機能によって生み出されるゲーム時空間
    招待講演
    田中 みゆき (早稲田大学大学院文学研究科)
    コンピュータゲーム「The Last of Us: part II」には、視覚障害者用に「音響キュー」をはじめとする音や音声によるアクセシビリティ機能が備わっている。この発表では、視覚障害者によるプレイ過程を本人の解説とともにビデオ録画し、アクセシビリティ機能やサウンド設定が、プレイヤー自身のゲーム時空間の構築を促し、視覚的なプレイとは全く異なるゲーム世界を作り出していることを明らかにする。
  • OS04-4
    公募発表
    菊地 浩平 (筑波技術大学)
    本研究は,手話通訳場面と対象とした研究であり,従来のアクセシビリティ概念を相互行為的観点から検討し,その領域を拡張しようとするものである.本研究で扱う事例は従来の会話研究で指摘されてきた現象と共通する要素を持つ一方で,モダリティの輻輳による複雑かつ通訳場面に特有であると考えられる現象が多く見られる.こういった諸現象を相互行為的観点から解きほぐしていくことにより,アクセシビリティ研究の新たな可能性を開くことができると考えられる.