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[OS07] 認知科学は舞台芸術を語れるのか?

9月16日(金) 13:00 - 15:30 会場:A12(情報科学研究科棟1階)
 日本認知科学会は設立当初より,パフォーマンス,わざ,身体性といったトピックを積極的に取り込む形で発展してきた.総合芸術と称される舞台芸術は,そのようなトピックを凝縮している絶好の対象だと考えられる.しかし,「舞台芸術の認知科学」という形で,対象の扱い方や研究方法についての議論が継続的に行われてきたとは言えない.また,舞台という実践的なフィールドを対象としていながら,実践者との対話も活発とは言い難い.そのため,たとえば,次のような問題が積み残されていると考えられる.
 ① 舞台芸術は時間芸術である.その場に現れては消える一回性の表現を真髄としている.一回性を真髄としている時点で,再現性を保証していない舞台芸術を,「同じ条件満足するいくつかの例から帰納した普遍妥当な知識の積み重ね」である科学的手法で解明しようとすることは,そもそも可能なのか.
 ② もし可能なのだとしたら,どういった目的に対して,どのような手法が考えられるのか.また,その手法で明らかにされたことは,認知科学や舞台芸術分野にどのような貢献ができるのか.
 本セッションでは,演劇,伝統芸能,ダンス,音楽,即興(インプロ)などの舞台芸術を対象に,これまで舞台芸術を研究してきた認知科学者,舞台芸術の実践者などから広く発表を募集する.舞台芸術についてさまざまなバックグラウンドを持って関わっている者たちとの間で意見を交わし,認知科学者が目指している方向は,果たして舞台芸術の真髄へと迫れるのか,を問いたい.

キーワード:舞台芸術,認知科学的手法,身体性,創造性,スキルの熟達