大会情報・スケジュール

こちらの PDF をご覧ください.

各種発表の形式に関して

口頭発表

  • 発表15分,質疑応答5分です
  • VGA出力端子(D-Sub15ピン)のあるPCを各自でご用意ください
  • プロジェクターとスピーカー(3.5mmミニプラグ)を使用できます
  • 発表者は,セッション開始の5分前までに,PCの接続確認と座長による出席確認をすませてください

ポスター発表

  • ポスターボードのサイズは 幅1100×高1650mmです
  • 掲示に必要なピン等は,ポスター会場受付にてお渡しします
  • 当日のセッション開始時刻までに掲示してください
  • 13日, 14日は9:00から掲示できます
  • 在席責任時間は,以下の通りです
  • ポスター1 (13日):奇数番号 12:30〜13:30 偶数番号 13:30〜14:30
  • ポスター2 (14日):奇数番号 10:30〜11:30 偶数番号 11:30〜12:30

フラッシュトーク

  • ポスター1(13日)の フラッシュトーク希望の発表が対象です
  • 研究概要を1分間で説明してください
  • PC(VGA出力端子付)は各自でご用意ください

オーガナイズドセッション

  • PC(VGA出力端子付)は各自でご用意ください
  • プロジェクターとスピーカー(3.5mmミニプラグ)を使用できます

フェロー講演「視覚と聴覚におけるつじつま合わせ」

日時:2017年9月13日(水)14:30~15:30
場所:金沢大学角間キャンパス 人間社会第1講義棟101講義室

「聴覚のつじつま合わせ」

講演者:筧一彦(名古屋大学名誉教授)
趣旨: 聴覚の分野の中でも音声知覚を取り上げる。音声知覚とは音声から音素のような記号列を知覚することである。音素情報は、調音結合などのため音素環境依存性を持つ。また、音声信号中に時間的にかなりの範囲にわたって分散し、周辺の音素情報と混合して存在している。このため音声信号中に不変的な音素特徴量はなく、個々の音素特徴の抽出も難しい。音声中の音素情報には離散性や文脈自由性は見られない。音素特徴には個人性、多様な話し方の影響、空間伝搬過程での多重反射や雑音相加などがあり、リアルタイムでの音声知覚の情報処理には多大の困難が伴う。このため音声知覚の処理過程は、「つじつま合わせ」に満ちている。  音声知覚における知覚的統合過程について述べる。特に知覚単位の大きさ、知覚的統合が起こる処理レベルや条件、言語依存性について述べる。また、音声として聞こうとする構えや異種モダリティの統合に対する影響についても触れる。

「視覚のつじつま合わせ」

講演者:横澤一彦(東京大学)
趣旨: 高次視覚における統合過程を総称し、統合的認知と呼ぶ(横澤, 2014)。その本質は、食い違う脳内情報に対する瞬時で総合的な判断であり、それを「つじつまを合わせる」ではなく、「つじつまを合わせたがる」と表現している(横澤, 2017)。偽物の手でも自分の手だと思い込むラバーハンド錯覚、視覚的にも聴覚的にも存在しない音声だと思い込むマガーク効果など、一見すると論理的につじつまの合わない状況が存在するときに、脳が瞬時につじつまを合わせた解を導き出してくれるので、その解に対応する行動ができる。脳は、基本的に調和のとれた、つじつまの合った世界が構成されていることを前提に、効率的な処理を実現させている。現実世界には雑音が多く、あまり厳密な解を求めようとすると、いつまでたっても解が得られないことになりかねない。それを回避するために、脳はつじつまを合わせたがる仕組みになっているのである。

特別講演「人工知能と棋士は 囲碁の深淵に迫れるか」

日時:2017年9月14日(金)14:10~15:30
場所:金沢大学角間キャンパス 人間社会第1講義棟101講義室
基調講演者:大橋拓文(棋士・日本棋院)
指定討論者:シモン・ビエノ(北陸先端科学技術大学院大学)
企画:日高昇平(北陸先端科学技術大学院大学)
趣旨: 囲碁は中国を起源にもち、特に江戸時代の日本でゲームとして大きく発展し、現在では東アジア各国を中心とする全世界で愛好される2人で行うゲームです。囲碁は単純なルールであるが故に、その戦略性は高く、古来思考力を競う代表的なゲームとして発展してきました。人工知能の発展において、バックギャモン、オセロ、Chessや将棋と、ゲームの組み合わせ数の小さい順に、人と同等かより強いコンピュータシステムが開発されており、人工知能技術の発展の一種のマイルストーンとしてこうしたゲームを舞台とした人間vs機械の対決が行われてきました。こうしたゲームの中でも囲碁は最も組み合わせ数が大きく、人工知能が人間のトップ棋士に勝利するのは当分先であると予想されていました。
 しかし、2016年3月, Google/ DeepMind社の開発したコンピュータ囲碁ソフトAlphaGoがトップクラスの棋士であるイ・セドル九段に4勝1敗と勝ち越し世界に衝撃を与えました。2017年初頭のネット上の非公式な対局では、日本・中国・韓国の棋士らに対して60戦全勝、続いて、2017年5月に行われた世界トップの棋士・柯潔氏に3連勝と圧倒的な成績をあげました。こうした一連の結果は、棋士はもちろんのこと、コンピュータ囲碁研究者、そして認知科学者にとっても重要な課題を突き付けています。
 こうした背景の中、思考力を競うゲームの最高峰と目される囲碁における人工知能の到達点の意味、今後の囲碁界の展望、また囲碁というゲームそのものの深淵を追究する上で、人工知能技術がどう貢献できるか、などについて、棋士で囲碁コンピュータにも造詣の深い大橋拓文氏、そして囲碁コンピュータ研究者であるシモン・ビエノ氏に語っていただきます。

特別企画シンポジウム「認知科学とロボティックスの未来」

日時:2017年9月15日(金)10:30~12:00
場所:金沢大学角間キャンパス 人間社会第1講義棟101講義室
参加申込:こちらをご覧ください
企画:小島治幸(金沢大学)
趣旨:認知科学はこれまでも人工知能やロボット研究との関わりの中で研究を進展させてきました。たとえば,認知科学ではその創成期からパターン認識や言語処理,運動制御といった認知的諸機能の計算モデル構築の試みが盛んに行われました。しかしその後,コンピュータの高速大容量化や先端技術の進歩は認知科学のテーマや研究方法に大きな影響を与えてきました。中でも,深層学習を取り入れたニューラルネットワークの開発や,認知神経科学において蓄積された知見の導入などによって,近年の人工知能やロボティックス(ロボット学)は目覚ましく発展してきています。認知科学は,人間のみならず人工知能やロボットの認知の問題にどのように取り組み,どのように研究してゆくことになるのでしょうか。  特別企画シンポジウム「認知科学とロボティクスの未来」では,日本のロボティックスを牽引する大阪大学教授浅田稔先生にロボット工学の現在をご紹介いただくとともに,認知科学への要望や期待をお話いただきます。そして,認知科学会を代表する研究者の方々を交えて認知科学とロボット学の研究の接点や課題について議論し,双方の研究の未来や今後の方向性について考えます。
基調講演者:浅田稔(大阪大学)
指定討論者:植田一博(東京大学),鈴木宏昭(青山学院大学),永井由佳里(北陸先端科学技術大学院大学)
主催:日本認知科学会第34回大会実行委員会
共催:金沢大学・北陸先端科学技術大学院大学
協力:日本ロボット学会

基調講演「現代AI革命は,ロボットの認知能力をもたらすか?」

講演者:浅田稔(大阪大学)
概要:深層学習に代表される現代AIの革命は,Big Dataに支えられ,画像/音声などの感覚情報処理から,言語処理に至る過程において,過去とは大いにことなる高いパフォーマンスを見せつつある.これらの量による変化が質の変化をもたらす保証はない.本講演では,ロボットの身体のポテンシャルこそが,質の課題,すなわち心的機能の発達を促すとの仮説から,認知発達ロボティクス,さらには構成的発達科学への道筋を明らかにし,身体性認知科学の将来を議論する.

オーガナイズド・セッション

OS01: 質感の認知科学

企画:坂本 真樹(電気通信大学),權 眞煥(電気通信大学)
概要:質感とは世の中の物体や生物が持つ「質」に関わる感覚情報である.海外での質感とは材質やテクスチャーなどを示す場合が多いが,日本では「材質」だけではなく,対象物の「質」に関わる感性的な側面までを表す.これは我々が質感を知覚する際,単純に五感による入力信号の処理だけではなく,美,感情,複雑性,経験などの高次感性処理を伴うことを示す.材質においては質感の発端とされてきた触覚(粗滑感,硬軟感,温冷感,乾湿感,粘性感など)と視覚(光沢感,透明感など)において幅広く研究されてきた.近年は質感という複雑な知覚プロセスと音象徴性などの言語表現の関係性を探る新しいアプローチも報告されている.しかし,まだ複雑な信号変調により生じる聴覚的質感,視触覚と切り離せない嗅覚・味覚的質感,高次感性処理の関係は解明されていない.そこで,本OSでは独立に研究が行われることの多い五感と感性を対象とする研究者による報告を通して,研究成果の進捗と方法論を共有できる機会としたい.本OSの研究テーマは,人の五感と感性に関わる認知科学の研究(心理学,言語学,神経科学,感性工学,人工知能)を中心としながら,質感情報処理の科学的な理解と新たな質感認知科学研究への可能性について検討する場としたい.

OS02: (IR)RATIONALITY in J・D・M

企画:本田秀仁(東京大学),中村國則(成城大学)
概要:JDM(Judgment and Decision Making)研究に関するセッションを開催する。本年は、 “(非)合理性”を中心トピックとして扱う。JDM研究において、“合理的な判断・意思決定とは何か?”という問題は最も研究されてきたトピック、かつ重要な研究課題である。長年に渡る研究の中で、「人間は非合理的である」という議論、また「合理的である」という正反対の議論もある。このように、判断・意思決定の(非)合理性という問題は様々な視点、解釈が存在している。しかしながら、「非合理的」、あるいは「合理的」な判断・意思決定、いずれも人間の認知メカニズムが生み出している。よって、判断・意思決定の(非)合理性について議論することは認知メカニズムの本質に迫るための近道になると考えられる。
そこで本セッションでは判断・意思決定における(非)合理性について考える場を設ける。判断・意思決定について(非)合理性についてヒントを与えるものであれば、研究手法やトピックは特に問わず、幅広い内容を扱いたい。本セッションにおける議論から人間の認知メカニズムが持つ本質に迫りたいと考えている。

OS03: プロジェクション・サイエンスの基盤と展開

企画:鈴木宏昭(青山学院大学),小野哲雄(北海道大学),嶋田総太郎(明治大学)
概要:人の認知は環境から情報を受容し、内的表象を生成し、それに基づき世界に働きかけるというループとして捉えられる。これまでの認知科学は、情報の受容から表象を作り出す過程についての研究を精力的に行ってきた。一方これに基づいて世界に働きかける側面、つまり内から外のプロセスやメカニズム=プロジェクションについては体系的な研究がなされてきたとは言えない。
認知を内と外とのループとして捉えるならば、ほとんどの認知活動にプロジェクションが含まれる。知覚的な定位、運動は最も基本的なプロジェクションである。通常の知覚過程では、情報の提供元とプロジェクション先は同一であるが、様々な実験手法により、これが異なってくる場合がある。例えばラバーハンド錯覚は、実際の手への触覚情報がラバーハンドに投射される。また腹話術効果に見られるような、音源の誤定位なども同様のものと考えられる。また道具の使用による身体の拡張も、こうしたプロジェクションの一例となるだろう。
プロジェクションはいわゆる認知機能として研究されてきたもの以外にも広がる。統合失調症などにおける幻聴では、明確な外部情報がないが、脳内にできた表象を実在、あるいは仮想上の実体にプロジェクションすることと考えることができる。また、主に社会学で行われてきた、社会的なシンボル(トーテム、国旗、神、フェティシズムなど)も同様のプロジェクションの例と考えることができる可能性がある。もう一つの広がりの軸は、エージェント、バーチャル・リアリティーに代表される、情報技術の拡張によるプロジェクションである。こうした技術により、コンピュータ上のエージェントに自己、他者性を付与したり、HMDなどにより自分が仮想空間の中にプロジェクションされたりする。
このOSでは、様々なプロジェクションに共通する原理、各プロジェクションに固有なメカニズムを明らかにしたいと考えている。ただし、現時点でプロジェクションについての理論的な枠組みはもちろん、明確な基準があるわけでもない。よって、プロジェクションに関する新しい研究はもちろん歓迎するが、発表者がプロジェクションと密接に関わると定義した(自分あるいは他者の)研究、これまでの自らの研究をプロジェクションの観点から捉え直すという発表も歓迎する。これらを通して、プロジェクション科学の輪郭を明確にすることを試みたいと考えている。

OS04: フィールドに出た認知科学3

企画:藤井晴行(東京工業大学),諏訪正樹(慶應義塾大学),伝康晴(千葉大学)
概要:  認知科学はこれまで、知に関するモデルを心理学的実験や計算機シミュレーションによって検証することを主たる方法としてきた。しかし、これらの方法は、予め想定される特定要因のみに着目するものであり、実環境や実生活での知の姿を明らかにするためには限界があるという批判もある。
 知は、主体の身体、身体を取り囲む環境や他者、社会や時代とともにある。環境の中で物事を認識し、行動し、他者と交わりによる社会的な影響を受けながら、知は獲得される。知の本質には迫るには、実環境や実生活の中にある知の姿を観察・記述・分析することが不可避である。
 このような問題意識のもと、『認知科学』誌で「フィールドに出た認知科学」を特集し(2015年3月発刊)、第32回,第33回大会で「フィールドに出た認知科学」と題するオーガナイズドセッション(2015年9月、2016年9月開催)を企画し、盛況を博している。本企画はこの流れを継承し、認知科学におけるフィールド研究を定着・発展させ、盤石だが柔軟な研究基盤を形成することを目論んでいる。
 「フィールド」とは、研究用に設定した人工的活動や統制した実験環境ではなく、当事者たちの実際の動機や目的に基づく自発的な活動が繰り広げられる場を指す。例えば、スポーツ・演劇・ダンス・音楽・料理・教育・介護・制作・日常生活の場などである。「フィールドに出る」とは、予め定めた「関係する変数」の観測の場を単に実験室の外に出すことだけではなく、現場での相互作用によって状況依存的に顕在化する変数に着眼し、研究の眼差しを省察することでもある。臨場での行動をつぶさに記録・観察し、個別性や状況依存性と対峙しながら、知の姿についての新しい仮説や理論構築につながる知を得ようとする挑戦的研究を募集する。客観的な方法論や普遍的な知見に縛られる必要はない。自分自身が研究対象に含まれるような一人称研究も歓迎する。

OS05: 過剰に意味を創り出す認知:ホモ・クオリタスとしての人間理解へ向けて

企画:高橋康介(中京大学),日高昇平(北陸先端科学技術大学院大学)
概要: 人が認識する世界は「意味」に満ちている。これらの「意味」は世界の姿を正しい映し出したものなのだろうか。「意味」はどこから現れるのだろうか。よく観察してみると、人の認知には「過剰に意味を創り出す」という性質が備わっているようである。
 例を挙げよう。「∵」 を顔として認識する(パレイドリア)。幾何学図形の動きから意図やアニマシーを見出す(アニマシー知覚)。自分自身のいい加減な意思決定に合理的な説明を与えてしまう(認知バイアスや選択盲)。ゴムの手を自分の身体として錯覚する(ラバーバンド錯覚)。外界の変化が自分自身の動きに帰属すると感じる(動作主体感)。これらはいずれも認知心理学の分野で広く知られた現象である。過剰に意味を創り出す例はさらに、思考や推論にまで広く見られる。枯れすすきは幽霊となって現れる。虫の知らせや験担ぎでは、無関係な事象の間に超自然的な因果を認識する。天変地異には神々の、流行病には悪霊の力を感じることもある。
 このように人はノイズをノイズのまま、偶然を偶然のまま無意味なものとして認識するのではなく、ノイズに有意味なパターンを知覚し、偶然の事象に因果を認識する。これは文化や社会の成熟、そして人類知性の進化にどう貢献したのだろうか。果たして動物は、未来のAIは、過剰な意味を創り出し認識するのだろうか。本セッションは、知覚から思考、推論に至るまでこれまではバラバラに捉えられてきたさまざまな現象を、「過剰に意味を創り出す」という一貫した枠組みの中で理解しようという試みである。そしてこの人間観を「ホモ・クオリタス」と呼び、認知の基本的な原理として位置づけることを提案したい。

OS06: 即興と身体性

企画:岡部大介(東京都市大学),青山征彦(成城大学),郡司菜津美(国士舘大学)
概要: 認知科学における「知性」は,私たちが「日常」において他者とともにいかに学び, 表現しているかの探究である. 私たちの日常の相互行為は,常に平穏無事に進行しているかのように見える. しかし実は,絶えず産まれる当事者間の思惑や動作の「ずれ」が,常に即興的に, かつさりげなく解決されることを通して維持されている(細馬,2016). さらには,私たちの知性は,お互いがお互いの動きをうけて, 新しい可能性と新しい選択肢を絶えず創造する中にあると見ることもできる. ホルツマン(2009)は,このような行為を,演劇的な意味を含めて「パフォーミング(performing)」と名付け, そうしたことが起きる場を「パフォーミングの場(spaces for performance)」と呼んでいる. この概念によって,一見瑣末に感じられる活動も, その成立のために即興的なかしこい身体動作が生起する場として観察対象となる. このオーガナイズドセッションでは,音楽や演劇のような明らかに即興的な場面だけでなく, 教育や学習,福祉や介護のような日常においても即興はありふれていると捉える. 即興と身体性に関する理論的な枠組み,フィールドから得られた観察データの分析, そのほか即興と身体性に関する多様な研究発表を期待する. 招待講演と通常発表,およびディスカッサントを中心とした議論を通して, 即興と身体性に関するダイナミックな視座を共有したいと考えている. なおこのオーガナイズドセッションは,教育環境のデザイン分科会(DEE)の主催で行われる.

OS08: 情報視覚化の認知理論と応用

企画:佐藤 有理(University of Brighton),下嶋 篤(同志社大学)
概要: 忘れないように誰かの名前を書き留めるという日常的な行動から、計算機を使って多次元的な大規模データを精巧なグラフに表現するという高度に専門化された行動に至るまで、情報を視覚化するという行為は私たちの文化に広く深く入り込んでいる。ここでいう「情報の視覚化」は、かならずしも視覚認知の対象でないものも含め、広くアイデア、概念、データ、知識、思想を、一定の規則にしたがって外的な平面や空間に投射する行為を指している。こうして産出される視覚表現は、あらたに知覚・解釈・理解されることによって、記憶、思考、伝達、学習を補助する機能をもっており、分散認知の主要なツールであると言える。
 それを反映して、古くはアリストテレス以来、様々な分野の研究者が情報の視覚化について思考し、観察し、実験してきた。こうした関心は、1980年代末に、論理学・人工知能研究・認知心理学の協同を生みだし、現在では「図的表現・推論の理論と応用」という定期的な国際会議に継承されている。
 しかしながら、情報の視覚化という現象がさまざまな形態と機能もって現れることと、個別の研究を媒介する共通のフォーラムがいまだ少ないことにより、多くの場合、視覚化の研究は異なる分野でちりぢりに行われているというのが現状である。
 そこで、本セッションでは、広く情報の視覚化に関心をもつ認知研究者に参集していただき、理論、実験、観察等、研究方法の違いに拘泥せず、研究の成果を発表し、議論する場を提供したい。互いの研究成果や研究方法を参照し合って、より広い観点から視覚化という現象にアプローチするきっかけを作る。これにより、視覚化の観点から、人間の分散認知のメカニズムに光を当て、また、そうした理論的研究と連動して、より効果的な視覚化のデザインやその利用方法、視覚化の濫用に対する対策など、視覚化の実践をよりよく制御するための指針を探索する。

OS09: 同じさの諸相:認知科学・数学・哲学からの示唆

企画:布山美慕(玉川大学脳科学研究所),西郷甲矢人(長浜バイオ大学)
概要: いかなる事物も,感情も,経験も,絶対的に同一ではありえない.私たちはこれらの差異に満ちた対象に臨み,自身の身体や概念を用いて,さまざまな差異を捨象し,何らかの同一性や類似性を見出し,その時の自身にとって統一感や連続性をもつ,意味のある世界を構築しているように思われる.
 私たちが,目の前のコップを一秒前のコップと同一視するとはどのようなことなのか.異なる身体を持つ親子が互いを模倣するとはどのようなことなのか.ある言葉とある対象を一貫して対応づけるとはどのようなことなのか.異なるものごとの間に意味的構造の類似を見出し,対応づける比喩とはどのようなことなのか.
 本オーガナイズドセッションではこれらの問題を,「同じとはどういうことなのか」という共通の課題として捉え直したい.具体的には,一般に同一性・類似性を扱う理論的研究や,同一性・似性を暗黙・明示的に扱う各分野の研究の発表ののちに,全体で長めの議論を行い,この問いを深めたい.
 本セッションでは研究方法における同一性の問題も歓迎する。研究行為においても,人の認知状態は時々刻々変化し,一つとして完全に同一な状態はないが,何らかの明示的・暗黙的モデル化を行って対象を同定し,その対象として研究を行う.たとえば前述の“比喩”や“模倣”も人の認知的行為の一つのモデルであり,そういった対象が実在しているわけではない.陽にモデル化を扱う研究のみならず,いかに対象を記述するか,観測するか,それ自体が一つのモデルであるため,多くの研究においても,一回の観察ごとに異なる認知的な状態をどのように捉えて研究すべきかという課題は共通する.
 本セッションの特徴として,対象間の対応づけを扱う有力な一つの方法である圏論に詳しい数学者,および哲学者の招待講演を行い,学際的な議論を行う.全体での活発で自由な議論を重視し,全体討論の時間を長めに設ける.

OS10: 創造性のキモをつかむ

企画:阿部慶賀(岐阜聖徳学園大学),清河幸子(名古屋大学),寺井 仁(近畿大学)
概要: 新しいものを生み出す,これまでにないやり方で問題を解決するなど,創造性が関わる認知活動は,認知科学において常に関心を集めてきた。これまで,行動実験,神経科学的検討,計算機モデリング,フィールドワーク,インタビューなどの様々なアプローチにより,洞察,アイデア生成,芸術,デザイン,発見等,多様なテーマについて研究が蓄積されてきた。その結果,創造性が関わる認知活動を促進する,あるいは妨害する要因や,その生起メカニズムなどが徐々に明らかにされてきている。しかし,方法論やテーマの異なる研究領域間の交流は比較的乏しい状況にある。そこで,本オーガナイズドセッションでは,一昨年度,昨年度に引き続き,創造性に関連する各自の研究成果を発表するのみならず,研究領域間の交流に重点を置き,新たな協同の可能性を探ることを目的とする。
具体的には,洞察,アイデア生成,芸術,デザイン,発見など,広く創造性に関わるテーマを扱う研究発表を募集する。タイトルにある「キモ」とは,「創造性とは何か」「創造性を生み出す認知プロセスとはどのようなものか」「創造性を高めるのに必要な要因は何か」など,創造性を考えるにあたって各自が重要と考える問いとその答えを意味している。それぞれがキモと考えるテーマについて発表するとともに,(a) 創造性をどのように捉えるのか,(b) 創造性を高める上でどのような要因・条件が必要かの2点を共通の問いとし,発表時に,各自の研究を報告することに加えて,問いへの回答を明示することを求める。また,昨年度に続き,今年度も招待講演枠を設けることで,創造性に関する新たな視点の提供をしたいと考えている。多様な背景をもつ研究者が,創造性に関する共通の問いを足場として議論を行う中で,それぞれが考える創造性のキモをつかむきっかけとなることを期待している。

OS11: 主体性と成長を促すヒューマンロボットインタラクションの新展開

企画:高橋英之(大阪大学,ERATO),吉川雄一郎(大阪大学,ERATO),熊崎 博一(金沢大学),伴碧(同志社大学)
概要: 人工知能ブームなどの影響もあり,近年,我々の生活に共生するロボットの実用化に 関心が集まっている.その一方,設計者が人間とロボットの関係をトップダウンに規 定するアプローチは,ロボットに対する人間の心が多様なためなかなか設計者の狙い 通りにはうまくいかない.従ってロボットの効果的な社会実装を考える上で,ロボッ トと共に暮らす人間の心の多様性を深く理解して,多様な心のありように寄り添った 現実的な(あざとくない)創発的共生システムを構築していく必要がある.今回の ワークショップでは,特に人間本来が持っている主体性や成長の可能性を引き出す ヒューマンロボットインタラクションのデザインについて広く演題を募り,人間を中 心に据えたロボットの社会実装の方向性について議論を行いたい.

OS12: 複雑性を伴う認知過程をどう捉えるか

企画:市川 淳(名古屋大学),清水 大地(東京大学),中野 優子(東京大学),山田 雅敏(常葉大学/静岡大学),北 雄介(京都大学)
概要: 関心のある認知過程が多くの要因から影響を受けると考えられる場合,あるいは関心のある課題が複雑な場合,心理状態や行動,熟達等のメカニズムを説明することには困難を伴う.具体的な問題として,先行研究の実験方法や指標,仮説だけで十分な議論ができるか,どこまで実験として課題を単純化するか,本当に課題を単純化しても良いか,さらには,実験結果を基にどこまで一般化するかなどが挙げられる.一例として,近年の認知科学では,身体を介した人間と人間,人間とモノ(人工物),人間と環境のインタラクションが注目されている.インタラクションを通して,ある心理状態に至る,あるいは行動や熟達が起こるとすると,その過程はマルチモーダルな知覚処理をはじめ,様々な心的処理を経た,複雑なものであると推測する.ゆえに,研究者には,常に自身の関心と,先述した問題を照らし合わせて研究を吟味することが要求されると考えられる.そこで,本セッションでは,複雑性を伴う認知過程,複雑な課題を行う際の認知過程をどう捉えるか,研究スタンスや実験方法,分析等について,会場全体で情報共有,および議論を行う.昨年度のオーガナイズドセッション「認知過程をありのままに受け入れる」の全体討論の続きという位置づけで,研究発表や招待講演,全体討論を通して活発な意見交換を行ってゆく.なお,本セッションでは,研究者同士のコミュニティが広まる場になることを期待し,募集する研究領域は問わない.

OS13: 異質な集団の相互理解の認知科学:研究のすそ野を拡げる方法論を求めて

企画:齋藤洋典(名古屋大学),小橋康章
概要: 今後急速に進行していく超々高齢社会は高齢者だけで成り立っているわけではなく、高齢者も若年者も含めさまざまな年代の人々の協力で成り立ってゆく社会である。そこでは高齢者と若年者の認知的な特徴を生かした分業や協業が、社会をより可能性に満ちたものにしていく状況が生まれるであろう。
 年齢差に限らず、熟達者と初心者、認知的ハンディキャップを負う人と健常者といった、異なる認知的条件をもつ人々の間でのコミュニケーションや協業は様々な困難を伴うと同時に等質的な集団の中では生じえない新たな発想への可能性を秘めている。
 例えば高齢者が抱える問題の中には、物覚えが悪くなることに伴う計画的作業の実行への不安など、一人称的にしかとらえられない問題がある。こうした問題を適切にとらえるには、若年者の一人称研究との比較やすり合わせによる相対化が必要だと思われる。実生活の中では高齢者と若年者にはそれぞれの驕りや頑なさが見られる。
 また例えば高齢者に顕著にみられる新しいものの学習への不安や忌避感は、若年者にも萌芽の形で見られることがある。こうした現象については前者を探求すると後者についても有効な知見を得ることができるのではないだろうか。
 世代間協同の認知科学的検討に焦点を当てつつも、そのほかの異質なグループの統合を視野に入れ、こうしだ分野の研究に役立つ方法論を開拓したい。このような趣旨に合う発表を歓迎する。
 以下のようなテーマはその具体的な例だが、これらに限定されるわけではない。
 ○高齢者と若年者のコミュニケーションの特徴とSNS
 ○高齢者と若年者の協働がもたらす異質の融合による創造性
 ○IoTによる高齢者支援
 ○大学に高齢者を迎え入れるための社会イノベーション
 ○高齢者自身による加齢と長寿社会の一人称研究と若年者によるレビュー
 ○高齢化の進展によって向上する認知能力

OS14: 言語と言語認知の多様性と普遍性を追求する:フィールド心理言語学

企画:小泉政利(東北大学),安永大地(金沢大学)
概要: 地球上では7,000以上の言語が使われており、それぞれが持つ特徴は多種多様である。主語が目的語に先行する文法を持つ言語(SO型言語)もあれば、その逆の言語(OS型言語)も存在する。従来の研究では、主語が目的語に先行する語順の理解や産出は処理負荷が小さく、好まれる傾向にあるということが言われているが、これはSO型言語を母語とする人を対象にした研究の成果のみに基づいた考察に過ぎない。SO型の言語を母語とする人の言語の理解・産出の仕組みとOS型の言語を母語とする人のそれは共通なのか、それとも異なるのか。この問いに取り組まない限りは、人間の言語や言語認知の全体像を知ることはできない。近年の心理言語学の分野では、このような問いに取り組むためにOS型の言語が使われているフィールドに出かけていき、現地で心理言語学実験を実施するという精力的な活動が行われている。本セッションでは、このような活動の中で得られた最新の研究成果を報告してもらい、ワークショップ形式で世界の言語とその処理の多様性と普遍性を考える場となることを目指している。

OS15: 実践の中のデザイン・創造研究 実践と研究のマッピング

企画:荷方邦夫(金沢美術工芸大学),永井由佳里(北陸先端科学技術大学院大学),田中吉史(金沢工業大学)
概要: デザイン・創造は,人間の認知プロセスの種々の活動を広く基盤とした創造的な営みである。同時に,生産・ビジネス・教育・芸術といった幅広い領域において,価値創出や望ましい生活への工夫といった極めて具体的な実践の中に布置された営みでもある。
 このように,デザインや創造の活動は本来実践と理論的プロセスが密接に関わり,学術と現場の境界を越えて有機的なつながりをもっている。とはいえ,個々の研究はこれらのつながりを意識しながら,実践の制約,研究上の制約の中にとどまりがちでもある。また,それぞれの領域の文化・文脈を越えた議論は,これまでも多々あるが,これについては常に議論を尽くしても尽きぬ奥行きを内包しており,不断の議論が重要と思われる。
 そこで,本セッションでは,具体的実践や活動の中でデザインや創造を考える研究者が,自らの実践や活動を持ち寄って発表を行う。参加者はこれを踏まえ,実践と研究のマッピングやそれぞれを繋ぐ「線」とは何かについて議論を行うこととしたい。この議論の場を設けることで,改めて研究として向かうべき方向性を探ることとしたい。
 このためにも,本セッションは参加者によるディスカッションの時間を潤沢にとり,セッションの核である「マッピング・繋ぐ作業」を深めるため,オーガナイザを中心に十分な議論をプロモートすることを第一の特徴として設定している。主催者としては,従来のデザイン・創造研究がイメージするところに限らず,さまざまな領域で「デザイン・クリエイション」として考えられているあらゆる研究領域の知見を積極的に扱いたいと考えている。その理解の上で奮って参加いただきたい。

OS16: 認知科学で捉える相互行為

企画:坂井田瑠衣(日本学術振興会/慶應義塾大学),牧野遼作(早稲田大学),名塩征史(静岡大学)
概要: 近年,人々の相互行為をつぶさに観察,記述,分析する研究が増えている.これは認知科学において主流なアプローチではないものの,認知科学的な探究意義を多く含んでいる.人間をはじめとする主体の知覚や思考などの認知は,必ずしも個に閉じた状態で展開するわけではない.しばしば他者や環境に開かれ,その相互作用の中で動的に展開する.複数の主体による相互行為の微視的な観察と分析は,そうした相互行為の背後で刻一刻と認知が変容する相互作用の過程を描写する上でも重要な基礎となる.
 しかし一方で,これまでの微視的な相互行為研究に目を向けてみると,それらは必ずしも認知の姿を十分に探究しているとは言えない.多くの相互行為研究では,観察可能な現象とそこから帰納される文法システムや社会規範を記述することを目的としており,相互行為においてリアルタイムに躍動しているはずの認知(とその体系的な姿)に踏み込んだ考察は少ない.しかし,観察可能な現象を詳らかに記述する相互行為研究を認知科学的な問題意識で捉え直してみれば,相互行為の観察と分析は,その背後で躍動する認知的体系の記述にも寄与する可能性がある.
 そこで本セッションでは,以下のいずれかの方針に基づく研究発表を募集する. (1) 認知の(体系的な)姿を捉えることを目的として,相互行為を微視的に観察,記述,分析する研究発表 (2) 相互行為の微視的な観察,記述,分析による研究結果をもとに,その背後にある認知について考察する研究発表
 より多様な相互行為の背後にある認知を捉えるために,スポーツやダンス,音楽演奏などの言語を基調としない活動や,動物やロボットなど人以外の主体を含む相互行為も研究対象とし,伝統的な相互行為研究に縛られない記述方法や枠組みの提案も歓迎する.これらの研究発表が一堂に会し,認知科学で相互行為を捉えることの意義や課題について議論したい.

OS17: 再帰性/志向性ー共通の思考基盤や限界はあるか?

企画:時田真美乃(信州大学),平石界(慶應義塾大学)
概要: 「私は(読者が(この著者は勘違いしている)と思っている)ことを知っている」といった心の状態についての再帰的事象を認識する能力には、論理--数学的知能や, 言語的知能が関連するだろうか.心の状態についての高次の志向性の理解には,熟考型の思考が必要とされるが,マキャベリ的知性だけで説明するのは難しい.論理- 数学的知能におけるプログラミング言語学習においても,制御構造の多重ループでつまづく学生が多く,高次の志向性をも つアルゴリズム的思考は難しいとされている.また,志向性の理解は5次が限界であるという結果もあり, これらは異なる認知的知能で共通しているのか,その場合は共通の基盤があるためなのか,またはワーキングメモリやIQとの関連性があるだけなのかも議論されたい. 高次の再帰的推論は、発達、言語、マキャベリ的知能、論理-数学的知能、それぞれ研究が存在する.このセッションでは,再帰的思考の定義に幅をもたせ, 入れ子構造の志向性をもつ思考とし,幅広い視点から研究を持ち寄り討論することで,人間の高次な推論である「再帰的思考」について認知科学で迫りたい.

OS18: 「脳/心理」‐「記号/文芸」‐「社会/制度」をつなぐ物語生成

企画: 小方 孝(岩手県立大学), 新田義彦(日本大学), 阿部明典(千葉大学), 金井明人(法政大学), 青木慎一郎(岩手県立大学), 清野 絵(高齢・障害・求職者雇用支援機構), 浅川伸一(東京女子大学), 川村洋次(近畿大学), 廣田章光(近畿大学)
概要: 2015 年(「前衛表現の理論・実装・認知」,企画:小川有希子・小方孝)及び 2016 年(「情報学/物語学―「人工作者」の時代のために―」,企画:小方孝・ 川村洋次・金井明人)に引き続き,物語生成・コンテンツ生成・テキスト生成 等に関連する話題を取り上げる.
近年,国内外において,新聞記事を自動で書くシステムの実用化,小説執筆 を支援するシステムを使った小説作品の販売,特定の作家風の文章を自動で作 るシステムの宣伝等のニュースがしばしば耳に入るようになった.これらを支 える学問的基盤として,物語生成や文章生成は,特に人工知能・認知科学・自 然言語生成さらには創造性との関連でかなり古くから多くの研究が蓄積されて 来ている.アイルランドの作家ジョナサン・スウィフトによる『ガリヴァー旅 行記』では揶揄的に扱われていた「文書自動製造機」は,現在では既に現実の コンテンツ制作やそのビジネス化の課題になりつつある.
2015 年のセッションでは,映画・小説・演劇・音楽・歌舞伎等の物語生成や コンテンツ先生に関する話題を,特に「前衛性」(及び「反前衛性)」の観点か ら捉え,議論した.また 2016 年のセッションでは,歌舞伎・小説・映画・俳句・ 比喩テキスト・ゲームのような文学芸術分野の物語のみならず,広告や経営の 物語生成の問題にも踏み込んだ議論を試みた.これらの試みは,多彩な物語コ ンテンツを,物語生成やコンテンツ生成という一貫した共通基軸により検討し, 将来的に,機械による/機械と人間との協働による,物語生成を目指すという 点で,一つのストーリーを成していた.
本企画はこのストーリーに続くものであるが,今回は,物語生成・コンテン ツ生成に幾つかのレベルを明示的に設ける―具体的には,①脳神経科学や心理 学と関わるレベル,②記号ないし記号学と関わるレベル(文芸すなわち文学・ 芸術・娯楽等としての物語の世界がここに含まれる),③社会や制度と関わるレ ベル(広告や経営,物語の社会的流通,さらに社会儀礼や制度の物語等が含ま れる),という 3 つのレベルを設ける.
発表者は,これらいずれかのレベルにおける,あるいはこれらを貫通するも のとしての,物語生成・コンテンツ生成の具体例や方法等を提示することを求 められる.そして議論を通じ,レベルごとの物語生成・コンテンツ生成の特徴 や,各レベルを貫通する共通特徴を明らかにすると共に,従来から認知科学が 強調して来たように人間の全体性に物語生成・コンテンツ生成という視角から 迫る.
このアイディアを実現するために,以上のレベルそれぞれの専門家がオーガ ナイザとして参集した―①小方孝は民話・小説・歌舞伎等の物語を扱うと共に その社会的生成にも興味を持つ.②新田義彦は特に俳句の生成を,③阿部明典 は小説や詩歌を,④金井明人は映画や映像を扱う.また,⑤青木慎一郎は精神 医学の専門家として臨床に従事し,⑥清野絵は特に発達障害に関わる言語分析 を行い,⑦浅川伸一は神経回路網モデルや深層学習モデルを使った物語生成や 対話生成の研究を行っている.さらに,⑧川村洋次はマーケティング・広告生 成システムの開発を行い,⑨廣田章光は企業等の経営における物語生成の問題 に焦点を当てる.
セッションでは,以上 9 人のオーガナイザが基調講演を行う予定であるが, それ以前からメール等を通じて議論を開始・継続する予定であり,各人がそれ ぞれの観点からこの研究課題について主体的に考察し,最終的なセッション開 催につなげる.一種の共同・協働である.9 人のオーガナイザというのはやや多 いが,上のような理由による.同時に,広く一般に,以下のような主題での発 表を公募する(これらに限定されるわけではありません)―
□ 「記号/文芸」としての物語生成やコンテンツ生成の方法の分析・技術・ モデル化・システム化等の考察や提案―対象として,物語,小説,エッセ イ,詩,短歌,俳句,ゲーム,マンガ,映像,音楽,画像,写真,日記, スケジュール,手紙,音楽,広告,新聞記事,ツイート等々が考えられる,
□ 「脳/心理」(脳神経科学や心理学)の観点からの物語生成やコンテンツ 生成の方法の分析・技術・モデル化・システム化等の考案や提案―発達・ 学習障害や自閉症スペクトラム障害等の物語や物語生成の観点からの検 討,ニューラルネットワークや深層学習等の方法に基づく物語生成やコン テンツ生成への新しいアプローチの提案等を含む.
□ 「社会/制度」の観点からの物語生成の方法の分析・技術・モデル化・シ ステム化等の考案や提案―マーケティング・広告関連の物語生成,経営戦 略論や経営組織論における物語生成・物語戦略論やストーリー戦略論等, 物語論的な社会制度論,芸能を含む物語やコンテンツの社会的流通・展開 等の問題と関連する.

大会スケジュール

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特別企画シンポジウム「認知科学とロボティックスの未来」の参加申込

9月15日(金)10:30~12:00

認知科学会大会に参加申込されていない方もご参加いただけます.非会員の方はこちらで事前登録をお願いいたします. JAIST から金沢大学への送迎バスも予約いただけます. 詳しくはこちらをご覧ください.