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「認知科学」特集(第27巻第2号)論文募集のお知らせ

特集タイトル「生きる」リアリティと向き合う認知科学へ
掲載予定巻号第27巻第2号(2020年6月発行)
担当編集者諏訪正樹(慶應義塾大学)、青山征彦(成城大学)、伝康晴(千葉大学)

企画趣旨

 「知」とは何か。それは、私たちが「よりよく生きる」ための資産である。「生きるための知恵」を探究すること、それこそが「知」の科学の目標であるはずだ。しかし、「知」の科学たる認知科学は、領域に細分化され、ある種の擬似問題(現実世界の諸要因を隠蔽した実験室内での課題)の解決に囚われ、本来の目標からは遠いところをさまよっているのが現状ではないだろうか。
 その根底には、研究方法論上の硬直があるように思う。20世紀初頭の行動主義への批判を経て確立された認知主義は、情報処理モデルに基づく条件統制された実験と計算機シミュレーションによって人間の認知を探究する「科学」的な方法論を手にしたと考えられている。こうした方法論によって明らかにされてきた知見も多くあるのは、事実である。
 しかし、この方法論の「成功」は、そのようなパラダイムにうまくあてはまらない認知の現象を切り捨ててきた結果として成り立っている。そこで切り捨てられたのは、日々の生活の中に埋め込まれた知の姿であり、人生の長期間に亘って学習される知の様相であり、フィールドや現場における実践で発揮される知、つまり、人が「生きる」ことに伴う諸現象である。別の言い方をすれば、状況依存性、身体性、個別具体性、個人固有性、一回性、偶然性、突発性など、人が「生きる」中で向きあわざるを得ない現実世界の多くの要因が見過ごされてきたとも言える。これらを切り捨てたまま、「知」の豊かな諸相を解きあかすことはできないであろうし、ひいては、よりよく生きることに資することにもつながらないであろう。こうした問題意識は、ブルーナーによるナラティブアプローチおよび民俗心理学(folk psychology)の提唱、サッチマンやレイヴによる状況への注目などにその原型を見てとれるが、近年の認知科学はややもするとこうした指摘とは別の方向へ向かっているように感じられてならない。
 認知科学は、今こそ果敢に実践の場に出て、人が「生きている」フィールドや現場のリアリティにしかと向き合うことに挑戦すべきではないだろうか。フィールドや現場に出るや否や、研究者は、現実世界の複雑系に向き合うことを余儀なくされ、研究方法論上の様々な課題に直面するはずである。研究者自ら、リアルな実践とともに生きる存在として、その実践の経験をどう観察し、振り返り、記述するのがよいか? そもそも、実践における何を研究の対象として焦点化し、どういった様相や側面に着眼するのか? 従来頻繁に取りあげられてきた研究対象や、従来型の研究方法論に固執しているだけでは足らない。人が生きている現場のリアリティにしかと向き合い、そこに立ち上がる問題意識に応じるには、従来あまり焦点が当たらなかった現象を研究対象に据え、新しい研究方法論を開拓しなければならないだろう。
 本特集号は、そういった果敢な挑戦を大いに奨励し、「生きる」現場に向きあう研究論文を募集したい。「論文とはこうあらねばならぬ」という従来のお作法を超えて、新しいスタイルの成果の提示の仕方を模索するような論文も期待したい。

特集号で扱う論文

研究を特徴付ける概念やキーワードとしては、例えば、以下のようなものが挙げられる
(これらに限るわけではない)

実践の内側からの観察、記述
一人称、二人称的視点からの観察、記述
当事者による観察、記述
研究者の個性、立場、人生を含む記述
シングルケースに基づく記述
リフレクションやメタ認知の手法の探究
ナラティブ(ライフストーリーやライフヒストリーを含む)
意味、価値、文化の醸成
人と人、人と場、身体と場のインタラクション
場のデザイン
「生きる」とともにある学びや変容
生活における身体知の学び

応募方法

 本特集ではプロポーザル方式で原稿を募集する。執筆を希望する場合は、3000字前後のプロポーザルを期日までに提出し、プロポーザルが採択された場合は、期日までに論文原稿を送付する必要がある。

プロポーザル提出:2019年6月30日(日)までに、論文タイトル、論文種別(研究論文、展望論文、ショートノート)、著者氏名・所属・連絡先(電話番号、e-mailアドレス)300字前後のアブストラクト、3000字前後のプロポーザル、キーワード(5個程度)をまとめたPDF文書を、後述するアドレスに提出する。件名は「認知科学27-2プロポーザル」とする。ただしプロポーザルにおける図や表、文献リストは字数としてカウントしない。

本論文提出:プロポーザルが採択された著者は2019年10月15日(火)までに本論文を電子メールで提出する。件名は「認知科学27-2投稿」とする。投稿する論文は、『認知科学』の投稿規程、執筆規程にしたがうものとする。

提出先

プロポーザル、本論文提出ともに以下のアドレスに提出する

提出アドレス:jcss272special[at]gmail.com
[at]を@に置き換えること

なお、提出後数日以内に、受領確認のメールを著者に送付する

スケジュール

おおむね下記のスケジュールを予定している。諸事情により変更の可能性がある。
2019年 6月30日(日) プロポーザル提出締切
2019年 7月15日(月) プロポーザル採択通知(執筆依頼)
2019年 10月15日(火) 論文原稿締切
2019年 11月30日頃   査読(1回目)結果
2020年 1月31日頃   査読(2回目)結果
2020年 2月29日(土) 完成原稿提出締切
2020年 6月初旬    2号発刊