文学の生成-受容/産出-消費の認知科学---文学多重構造実験としてのシンポジウム--- |
日時: | 2000年12月16日(土) 10:00−18:40 |
場所: | カンダパンセ7階大会議室 (住所:東京都千代田区西神田3-9-10/電話:03-3265-6366) |
参加費: | 1000円(当日) |
10:00−10:05 | 開会 |
10:05−12:00 | 基調上演:「意味とその彼岸―修辞と肉体あるいは認知科学と外部の 非伝達的対話などという名目はともあれ、単なるささやかなパフォーマンスの開示―」 |
12:00−13:00 | 昼休み(認知科学会運営委員会、カンダパンセ2階会議室) |
13:00−13:30 | 認知科学会総会 |
13:40−18:30 | シンポジウム:「ゲーミング方式による文学多重構造実験― “意図の重層的解消へ向けて”などと言えば大げさ過ぎると 言われるささやかなディスカッション・ゲーム―」 |
18:30−18:40 | 閉会 |
10:00−10:05 | 開会 |
10:05−11:20 | 基調上演1「冬木周一のフラッシュバック・ストーリー」 冠木新市(シナリオ作家、ゲテモノの木スタジオ) |
11:20−11:30 | 休憩 |
11:30−12:00 | 基調上演2「とりあえず無題―身体とパフォーマンス―」 相原朋枝(お茶の水女子大学) |
12:00−13:00 | 昼休み(認知科学会運営委員会、カンダパンセ2階会議室) |
13:00−13:30 | 認知科学会総会 |
13:40−18:30 | シンポジウム |
13:40−14:00 | 趣旨及びルール説明:小方孝(ファシリテーター) |
14:00−15:30 | 第一の語り手【作家】による語り 岩垣守彦(玉川大学)、赤間啓之(東京工業大学)、 羽尻公一郎(IBM基礎研究所)、徃住彰文(東京工業大学)、 小田淳一(東京外国語大学)、金井明人(東京大学) |
15:30−15:50 | 休憩 |
15:50−16:50 | 第二の語り手【評論家】による語り 森田均(長崎シーボルト大学)、藤田米春(大分大学)、 内海彰(電気通信大学)、渡辺光一(関東学院大学)、 川村洋次(大阪経済法科大学)、ほか(ほぼ決定) |
16:50−17:00 | 休憩 |
17:00−18:30 | 第三の語り手【聴衆/読者/研究者/消費者/ほか】を交えた全体討議 |
18:30−18:40 | 閉会(お知らせ等) |
本シンポジウムでは、脳-対人コミュニケーション-社会的組織及びメディア- 共同幻想を貫く広大な領域に広がる文学の諸相を展望し、文学を総体として認 知科学的な研究の対象とするための視点と方法を模索する。文学の様々な領域 に関して既に認知科学的に関連する方法や問題意識により研究を進めている研 究者による所説を紹介するとともに、それら現状ではまだ個々ばらばらに行わ れていると言って良い諸研究を、文学多重構造論の枠組みにおいて統合し、研 究上の生産的な協力体制を組むための道筋を模索することも本シンポジウムの 目的とする。
同時に、シンポジウムでの議論そのものをも文学の生成-受容過程ないしは産 出-消費過程として捉え(生成-受容と言うと個人レベルのイメージがあるが、 より広く社会システム的なレベルも含めて考えるため、場合に応じて産出-消費 という言葉も使用する)、議論の多重構造性を強制するゲーミング形式を採用す ることにより、文学の多重性の検証実験としての意味も持たせる。従って、こ のシンポジウムでは、主張や発表内容のみならず、主張や発表という行為とそ れによって生起する事態の記録そのものもシンポジウムの成果として意味を持 つことになるという考えから、ビデオ等により記録を採り、更にシンポジウム 終了後においてもそれらに基づくディブリーフィングという形で、討論の言わ ば永久革命を図って行くことを意図している。
なお、本シンポジウムは、1998年秋に出発した認知科学会「文学と認知・コ ンピュータ」研究分科会における2年間の活動の中間報告としての位置付けを 持つものであり、また、2001年度国際認知科学会において開催予定の第2回 iwLCC(2'nd international workshop on Literature, Cognition and Computer) のプレシンポジウムとしての位置付けを持っている。
(1) | 脳のレベル |
(2) | 対人(語り手-聴き手)コミュニケーションのレベル |
(3) | 社会的集団や組織のレベル |
(4) | 社会的なイメージや共同幻想のレベル |
(5) | 言語またはその他の表現媒体によるテクストのレベル |
(6) | 文学の創作・表現・流通・受容に関するメディアのレベル |
(7) | 文学を表現あるいは制作する身体(肉体)のレベル |
(1) | 神経科学的、生理学的方法、深層心理学や精神分析的方法等。 |
(2) | 対話・談話の言語処理、文・文章などの記号レベル知識表現の方法等。 |
(3) | マルチエージェントによる集団・組織・社会的活動の分析やシミュレーション的研究。社会的分散認知等。 |
(4) | 社会心理学的方向、広告やブランドの認知的分析等。 |
(5) | 言語処理等。 |
(6) | 文学の創作・表現・流通・受容に関するメディアのレベル:認知工学などメディアとその使用を巡る研究等。 |
(7) | 身体(肉体)性。 |
それぞれの層の語り手の語り及び語り手どうしのコミュニケーションについ
ては、一定の規則を設ける。(詳しいルールについては、別に配布する小冊子
『No Comment』をご覧ください。)
このような「響奏形式」のシンポジウムを構成する理由は、各層の語り手個々
人による文学領域における個別的諸テーマの開陳によって文学と認知科学領域
の研究課題の現状や可能性を浮かび上がらせるとともに、それらを横断・縦断・
衝突・粉砕・融合・変容させ、全体としての文学に関するイメージを議論の中
から浮上させようという意図による。また、趣旨の後半に記述されているよう
に、シンポジウム自体を文学的な一種のパフォーマンスと捉え、発想者・発言
者・創作者・批判者・聴衆などを巻き込んだ「文学交響曲」が演じられればい
いと思ったからである。多くの研究は「発見と論証」の喜びで終わってしまう
が、しかし「文学」の場合は「発見・論証・創作」の喜びであるべきであり、
特に「創作」は、今まで個人の作業で文学が形成されるという閉じられた世界
であったが、本年2月の第6回定例研究会における甲府即興会議(いわば「パ
フォーマンスとしての研究会」)の経験を初め、我々の研究会で少しずつ明らか
になって来ているように、集団による「文学創作の可能性」がぼんやりと見え
て来ている。それを実際にやってみようというのが、本企画のコンセプトであ
る。
なお、記録やディブリーフィング及び成果公表も研究会自体とともに重視し、 次のことを行う予定である:
(1) シンポジウム終了後、参加者全員のメイリングリストを作り、意見交
換をするこ、ディブリーフィング(振り返り)とする。これにより、
一連のゲーミングセッションが終了する。
(2) 成果のまとめは、テープ、ビデオ映像、プロデューサーによるまとめ
的な文書、講演者による事後的な論文、上記ディブリーフィングの記
録を整理した記事等から成る文書をオーガナイザーグループまたは
企画構成・プロデュース担当者が作成し、文学と認知・コンピュータ
研究文科会テクニカルレポート『文学と認知・コンピュータNo.*』と
して発刊する。
冬のシンポジウムに関するご連絡は、以下のいずれかにお願いいたします。
小方 孝
E-mail: ogata@esi.yamanashi.ac.jp
電話及びFax(直通):055-220-8654
住所:〒400-8511 山梨県甲府市武田4-3-11
森田 均
E-mail:morita@sun.ac.jp
電話及びFax(直通):095-813-5105
住所:〒851-2195 長崎県西彼杵郡長与町吉無田郷822
【協力】
青木由香(受付:山梨大学)
高橋千津子(受付:山梨大学)
向山和臣(ビデオ撮影:山梨大学)
網野智幸(写真撮影:山梨大学)
大塚匡弥(機材:山梨大学)
野村充(機材:山梨大学)
増山毅(機材:山梨大学)
新井潔(ルールブック『No Comment』作成:近畿大学)
加藤文俊(ルールブック『No Comment』作成:龍谷大学)
ほか