日本認知科学会冬のシンポジウム
文学の生成-受容/産出-消費の認知科学---文学多重構造実験としてのシンポジウム---

   主催:日本認知科学会「文学と認知・コンピュータ」研究分科会
   共催:文理シナジー学会「コルプス情報学」研究会
      日本シミュレーション&ゲーミング学会「シミュレーション&ゲーミングと物語」研究会
  1. 日時・場所・参加費
    日時: 2000年12月16日(土) 10:00−18:40
    場所: カンダパンセ7階大会議室
      (住所:東京都千代田区西神田3-9-10/電話:03-3265-6366)
    参加費: 1000円(当日)
    ※ 事前の参加申し込みは不要ですが、「第三の語り手」 として事前にエントリーされた方は、参加者リストにお名前を 掲載させていただきます。(エントリーの方法については、3.3節をご覧ください。)

  2. プログラム
    1. 概略プログラム
      10:00−10:05 開会
      10:05−12:00  基調上演:「意味とその彼岸―修辞と肉体あるいは認知科学と外部の 非伝達的対話などという名目はともあれ、単なるささやかなパフォーマンスの開示―」
      12:00−13:00  昼休み(認知科学会運営委員会、カンダパンセ2階会議室)
      13:00−13:30 認知科学会総会
      13:40−18:30  シンポジウム:「ゲーミング方式による文学多重構造実験― “意図の重層的解消へ向けて”などと言えば大げさ過ぎると 言われるささやかなディスカッション・ゲーム―」
      18:30−18:40  閉会
    2. 詳細プログラム
      10:00−10:05 開会
      10:05−11:20  基調上演1「冬木周一のフラッシュバック・ストーリー」
            冠木新市(シナリオ作家、ゲテモノの木スタジオ)
      11:20−11:30 休憩
      11:30−12:00  基調上演2「とりあえず無題―身体とパフォーマンス―」
            相原朋枝(お茶の水女子大学)
      12:00−13:00  昼休み(認知科学会運営委員会、カンダパンセ2階会議室)
      13:00−13:30  認知科学会総会
      13:40−18:30  シンポジウム
      13:40−14:00  趣旨及びルール説明:小方孝(ファシリテーター)
      14:00−15:30  第一の語り手【作家】による語り
            岩垣守彦(玉川大学)、赤間啓之(東京工業大学)、
            羽尻公一郎(IBM基礎研究所)、徃住彰文(東京工業大学)、
            小田淳一(東京外国語大学)、金井明人(東京大学)
      15:30−15:50  休憩
      15:50−16:50  第二の語り手【評論家】による語り
            森田均(長崎シーボルト大学)、藤田米春(大分大学)、
            内海彰(電気通信大学)、渡辺光一(関東学院大学)、
            川村洋次(大阪経済法科大学)、ほか(ほぼ決定)
      16:50−17:00  休憩
      17:00−18:30  第三の語り手【聴衆/読者/研究者/消費者/ほか】を交えた全体討議
      18:30−18:40  閉会(お知らせ等)
  3. 「予稿集」の原稿依頼
    次のように分けて、予稿集のための原稿依頼をいたします。
    1. 第一の語り手【作家】の方
       ご研究の核心と自らお考えになるもの、及びご研究にとっての余剰(研究か ら排除した部分)を中心に、12月10日(日曜)までに、LCC-MLにメイルで流 してください。(分量は、A4用紙に換算して数枚以内でお願いします。それ以 上長くなっても構いません。)
       当日の予稿集は、わたしがそれに基づいて、「遺稿集序文」という形で、基本 的には原型を保存しつつも、若干編集して、掲載します。(従って、「編集者」 が一枚絡んでしまうわけです。)
    2. 第二の語り手【評論家】の方
       第一の語り手【作家】のメイルを読んで、とりあえずの感想を、あまり整理 されていない形式で結構ですので、LCC-MLに、12月12日(火曜)までに流し てください。(分量は、A4用紙に換算して数枚以内でお願いします。それ以上 長くなっても構いません。)
       当日の予稿集は、わたしがそれに基づいて、「評論集序文」という形で、基本 的には原型を保存しつつも、若干編集して、掲載します。(従って、ここでも、 評論家の「編集者」が一枚絡んでしまうわけです。)
    3. 第三の語り手【聴衆/読者/研究者/消費者/ほか】の方
       第三の語り手【聴衆/読者/研究者/消費者/ほか】の方は、なるべく多く の方の参加をお願いします。
       原稿は、以下のような形態で集めます。但し、原稿提出が参加の必須条件で はありません。
       参加希望の方でも、参加できない方でも、署名付きで、LCC-MLに12月14日 (木曜)17:00までに、「聴衆による意見」と明記して、メイルをいただければ、 すべて予稿集にそのままの形で掲載いたします。内容は、どんなものであって も、全く自由です。
       また、予め開示したくない方は、小方宛にテキストファイルかWORDの添付フ ァイルかpdfファイルなどで、「聴衆による意見」と明記して、一応常識的なフ ォーマットによる原稿をいただければ、すべて予稿集にそのままの形で収録い たします。内容は、どんなものであっても、全く自由です。
       必須の情報は、「名前」と「タイトル」です。(事情がある場合は、匿名でも 構いません。)
       その他、所属等の情報は、あってもなくても構いません。
  4. 趣旨
     文学が文学として成り立つには、作者、編集者、印刷者、流通機関等が係わ っており、さらにそれを読む読者及び読者に発生する「感動」や「触発」など が存在して、それらの統合として文学がある。また、文学の概念をもう少し広 い意味で捉えた場合、近年、映像芸術や、さらに、作品-読者の明示的な相互作 用が可能なコンピュータゲームなどが現れ、これらは複数の作者、編集者、デ ザイナーその他の複雑な組織内の複数主体の作用の統合結果として世に現れる。 この結果、文学というものが成り立つために作者から読者までの非常に複雑な 多重構造をもつことになる。

     本シンポジウムでは、脳-対人コミュニケーション-社会的組織及びメディア- 共同幻想を貫く広大な領域に広がる文学の諸相を展望し、文学を総体として認 知科学的な研究の対象とするための視点と方法を模索する。文学の様々な領域 に関して既に認知科学的に関連する方法や問題意識により研究を進めている研 究者による所説を紹介するとともに、それら現状ではまだ個々ばらばらに行わ れていると言って良い諸研究を、文学多重構造論の枠組みにおいて統合し、研 究上の生産的な協力体制を組むための道筋を模索することも本シンポジウムの 目的とする。

     同時に、シンポジウムでの議論そのものをも文学の生成-受容過程ないしは産 出-消費過程として捉え(生成-受容と言うと個人レベルのイメージがあるが、 より広く社会システム的なレベルも含めて考えるため、場合に応じて産出-消費 という言葉も使用する)、議論の多重構造性を強制するゲーミング形式を採用す ることにより、文学の多重性の検証実験としての意味も持たせる。従って、こ のシンポジウムでは、主張や発表内容のみならず、主張や発表という行為とそ れによって生起する事態の記録そのものもシンポジウムの成果として意味を持 つことになるという考えから、ビデオ等により記録を採り、更にシンポジウム 終了後においてもそれらに基づくディブリーフィングという形で、討論の言わ ば永久革命を図って行くことを意図している。

     なお、本シンポジウムは、1998年秋に出発した認知科学会「文学と認知・コ ンピュータ」研究分科会における2年間の活動の中間報告としての位置付けを 持つものであり、また、2001年度国際認知科学会において開催予定の第2回 iwLCC(2'nd international workshop on Literature, Cognition and Computer) のプレシンポジウムとしての位置付けを持っている。

  5. 基調上演「意味とその彼岸―修辞と肉体あるいは認知科学と外部の非伝達的 対話などという名目はともあれ、単なるささやかなパフォーマンスの開示―」について
    1. コンセプト
       狭義の文学(内容、表現、制度等々)を開放して行くためのきっかけとして、 「意味の彼岸」へ向けた試みとしての修辞(レトリック)の実践と肉体パフォ ーマンスにより、認知科学(そういうものが仮にあるとして)に対して、非伝 達的ではありながらも、敢えて外部を提示する。しかし実際は、単なるささや かなパフォーマンス(らしきもの)の開示に過ぎないであろう。
    2. 上演者及び上演内容
      • 冠木新市(かぶき しんいち)氏:シナリオ作家、ゲテモノの木スタジオ代表。 テレビ映画のフィルム編集助手を経て、1988年映画監督市川崑に師事。91 年映画『天河伝説殺人事件』(市川崑監督・角川映画)で脚本家デビュー。 以後、97年ゲームソフト『ダークハンター』(栗本薫原作・コーエー)、98 年映画&テレビ『マヌケ先生』(大林宣彦総監督・中国放送・バンダイビジ ュアル・PSC)、98年舞台『奥さまは化け猫』(冠木新市原作・瀬川昌治演出・ 三百人劇場)等の脚本を担当。著書に、『ゴジラ映画クロニクル・ゴジラ・ デイズ』(集英社)、『君もゴジラを創ってみないか』(徳間書店)、『映画「極 道の妻たち」の美学』(近代映画社)など。現在、目白大学短期大学部で、 007シリーズ映画論などを教える。
          【上演内容(冬木周一のフラッシュバック・ストーリー)】
          二年前、『奥さまは化け猫』の舞台で、脇役として登場し、異様な思い 込みによる行動で観客の笑いを誘ったキャラクター、映画史研究家の冬 木周一が再び帰ってくる。今度の舞台は、驚くことなかれ、日本認知科 学会“冬のシンポジウム”という極めてアカデミックな世界である。
          ある日、『ゲテモノの木』なる童話を執筆中の冬木周一のもとに、講演 依頼の電話がかかる。依頼人はゲーム会社のプロデューサー○氏。冬木 は、病気で入院した有名なゲームデザイナーのピンチヒッターとは露知 らず、嬉々として話に乗り、映画におけるフラッシュバックの技法につ いて語ることとなる。早速、講演の材料となるビデオをチェックし始め た冬木だったが、ふと、仮想と現実世界の関係を描いたアメリカ映画の 作品群に、巧妙に仕掛けられた陰謀の匂いを察知する。果して、その 内容とは―。2000年12月16日(土)午前10時、カンダパンセ7階大会 議室にて、冬木は興奮した面持ちで話し出した…。
      • 相原朋枝(あいはら ともえ)氏:お茶の水女子大学大学院人間文化研究 科比較社会文化学専攻表象芸術論講座博士課程在学中。お茶の水女子大学 文教育学部舞踊教育学科卒業、同大学院人文科学研究科修士課程修了。日 本の現代舞踊(舞踏)を研究中。大野一雄の稽古への参加をきっかけに踊 り始め、舞踏、ダンス、演劇、野口体操を学び、様々な舞台作品、映像作 品に出演。96年よりソロやデュオ形式の作品を発表。大野一雄舞踏研究所 編『大野一雄 稽古の言葉』の編集に携わる。
         【上演内容(とりあえず無題―身体とパフォーマンス―)】
          音楽と映像、即興ダンスのコラボレーションを行う。
  6. シンポジウム「ゲーミング方式による文学多重構造実験―“意図の重層的解 消へ向けて”などと言えば大げさ過ぎると言われるささやかなディスカッショ ン・ゲーム―」について
    1. コンセプト
       文学的な活動は、作家の創造的行為のみならず、編集者やプロデューサー、 あるいは読者や批評家を初めとした様々なエージェントによる総合的な活動で ある。これを、多重物語構造モデルと呼び、文学の原型的コミュニケーション が輻輳した構造として統一的に考察しようとしている[1] [2]
       文学の産出−消費プロセスにおいては、
       (1) 脳のレベル
       (2) 対人(語り手-聴き手)コミュニケーションのレベル
       (3) 社会的集団や組織のレベル
       (4) 社会的なイメージや共同幻想のレベル
       (5) 言語またはその他の表現媒体によるテクストのレベル
       (6) 文学の創作・表現・流通・受容に関するメディアのレベル
       (7) 文学を表現あるいは制作する身体(肉体)のレベル
      等の諸レベルがあり、その統合として文学現象が成立している。文学を研究す るために、これらの諸レベルを相対的に独立したものとして検討するとともに、 統合体としての全体性を意識することも必要であり、そのような統合のモデル を上述のように多重物語構造モデルと呼んでいる。
       認知科学もまた様々な認知現象を、このような単体の脳から徐々に社会的に 拡大して行く諸レベルにおいて研究しており、その総体が人間であり社会であ るという哲学に基づいている学問であろう。従って、認知科学的な研究対象に 関する階層的な考え方を文学現象に適用し、従来の認知科学の方法を文学現象 の認知科学にも適用することが可能であろう。以下のように、上の文学諸レベ ルとの対応関係を考えることができる:
       (1) 神経科学的、生理学的方法、深層心理学や精神分析的方法等。
       (2) 対話・談話の言語処理、文・文章などの記号レベル知識表現の方法等。
       (3) マルチエージェントによる集団・組織・社会的活動の分析やシミュレーション的研究。社会的分散認知等。
       (4) 社会心理学的方向、広告やブランドの認知的分析等。
       (5) 言語処理等。
       (6) 文学の創作・表現・流通・受容に関するメディアのレベル:認知工学などメディアとその使用を巡る研究等。
       (7) 身体(肉体)性。
       本シンポジウムでは、文学と認知・コンピュータ研究分科会においてこれま で研究と議論を重ねた来たメンバーを中心に、このような文学の様々なレベル に焦点を当てた話題提供及び批評の言説と、それらを巡る聴衆を交えた話し合 いを通じて、“統合的なシステムとしての文学”の全体像を浮かび上がらせよう とする。
       しかし実際は、“文学多重構造実験”あるいは“意図の重層的解消へ向けて” などと言えば大げさ過ぎると言われるような、ささやかなディスカッション・ ゲームの試みであるに過ぎない。
    2. 語り手(ファシリテーター、作家、批評家、聴衆等)
       【ファシリテーター】
      • 小方孝(OGATA Takashi):山梨大学工学部コンピュータ・メディア工学科 助教授、産能大学経営情報学部及び宮城大学事業構想学部非常勤講師。 神奈川県生れ。早稲田大学社会科学部卒業、システムエンジニアとして 民間企業でAI等の実務や調査に従事、筑波大学修士課程経営政策科学研 究科・東京大学工学系研究科博士課程修了、博士(工学)。東大先端科学 技術研究センター研究員を経て現職。認知科学、人工知能、文学理論、 物語論、経営学等の学問領域を横断し、「“わたしの物語”を創るための システムナラトロジー」の研究を進める。最も影響を受けた文学作品及 び作家は、紫式部『源氏物語』と日本古典、三島由紀夫(特に『豊饒の 海』と戯曲)、James Joyce(特に丸谷才一ほか訳『ユリシーズ』)。その ほかに、ジャズ。最近の漫画では『めだかの学校』に感激する。
       【第一の語り手=作家】
      • 岩垣守彦(IWAGAKI Morihiko):玉川大学教授(文学部英米文学科・大学 院文学研究科)。立教大学大学院文学研究科終了(文学修士)。19世紀 アメリカ文学・神学思想の研究から,D.H.ロレンスのエッセーを読 み,西欧における「愛」を追求するうちに,中世の「トリスタンとイズ ー」伝説を調べることになり,ついで世界の神話・伝説に飛んで,「ご専 門は?」と尋ねられることが大嫌いになっている.一方,英語の日本語 との等価関係を若い頃からイギリス人・アメリカ人と扱うことになり, 「言葉・伝達・翻訳」などに関心を持っている.この方面の著書は,最 近日本に進出したアマゾンをインターネットで開いて,名前を入れると 10冊くらいでるそうである.
      • 赤間啓之(AKAMA Hiroyuki):東京工業大学大学院社会理工学研究科人間 行動システム専攻助教授。1958年栃木県生まれ。元フランス政府給費留 学生。パリ第一大学博士(科学史・科学哲学)。アンチ・フーコー主義、 アンチ・ラカン主義の立場から近代フランス思想史を論ずるところから 出発。現在は歴史的文献の計量的分析で、プログラミングに没頭する毎 日。文理融合の立場から、身体と言語を媒介する総合的な学問としての コルプス情報学を模索している。マスタースクーバダイバー(PADI)。
      • 羽尻公一郎(HAJIRI Koichiro):IBM東京基礎研究所特別研究員。1997年 3月立命館大学大学院理工学研究科単位取得退学。博士(工学)。ATR知 能映像通信研究所、ATR人間情報通信研究所、SONYコンピュータサイエ ンス研究所を経て現職。子供の頃からアニメ好きで、ヲタク文化を軸と して文学とも親しむ。言葉の意味にとり憑かれているため、ジョイスと バロウズを同時に愛するという変質的な側面もある。AIの限界に常に苛 立っており、その突破口となりうるであろう心脳問題と文学の受容の問 題を結び付けて考えている。
      • 徃住彰文(TOKOSUMI Akifumi):東京工業大学大学院社会理工学研究科価 値システム専攻助教授.北海道大学文学部卒業および文学研究科修士課 程修了.博士(行動科学).北海道大学文学部助手,聖心女子大学文学部 助教授を経て現職.心理言語学,自然言語処理,感情心理学,計算心理 学の方法を利用しながら,文学への認知的かつ融合的アプローチを試み ている.主著に「心の計算理論」(東京大学出版会),「文学を科学する」 (朝倉書店)など.分析作品はStephane Mallarme, 夏目漱石,三島由 紀夫,山科春樹など.最近の研究関心は,文体に関わる審美的感情,計 算的人工脳理論との接合,計算文学論の美術や音楽への拡張などにある.
      • 小田淳一(ODA Jun'ichi):東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研 究所助教授。高校の音楽コース(作曲専攻)を経て大学でフランス象徴 詩、大学院でフランス中世ポルノの計量的分析を研究ののち、情報処理 センターの技官となる。音楽短大に移り、音楽情報処理、映像制作等を 担当した後現職。現在はゲノム情報学の手法をモデルに比較民話を研究 しているが、新世紀から、あらゆる形態のテクストにおける「修辞学」 の情報学的再考を開始する予定。主なフィールドは中東・北アフリカ、 インド洋クレオール。
      • 金井明人(KANAI Akihito):東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 博士課程在学中。東京大学教養学部基礎科学科第二卒業、東京大学大学 院総合文化研究科広域科学専攻修士課程修了。修辞の観点から映像認 知・映像生成・ブランドマネジメント・経営情報の研究に取り組んでい る。修辞自体の持つ力について一貫して関心がある。最近、最も感銘を 受けたのはLou Reedの東京でのLive。
       【第二の語り手=批評家】
      • 森田均(MORITA Hitoshi):県立長崎シーボルト大学国際情報学部情報メ ディア学科助教授。1960年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部ドイ ツ文学専攻卒業,明治大学大学院文学研究科独文学専攻博士前期課程修 了,文学修士。情報通信関係の翻訳・調査の仕事,財団法人放送音楽文 化振興会総合研究室長,別府大学短期大学部助教授を経て現職。Webと 電子テキストを包含する「ハイパーテキストの社会」をキーワードとし て,文学理論,情報メディア論を基礎に工学及び認知科学の知見をも援 用した領域横断的なハイパーテキストの研究に取り組む。電話級アマチ ュア無線技師(1969年 AUN3806)。
      • 藤田米春(FUJITA Yoneharu):大分大学大学院工学研究科知能情報システ ム工学専攻教授、大分大学工学部知能情報システム工学科教授。1946年 岡山県生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻修了。工学博 士。大阪府立大学工学部電気工学科助手、大分大学工学部組織工学科助 教授を経て現職。研究の関心は、人間対人間、機械対人間および機械対 機械のコミュニケーションにある。具体的には短編推理小説を題材にし た、コミュニケーションにおける感情・常識の機能の論理的観点からの 分析、感情モデルの構築と常識の抽出を行っている。また、最近はコミ ュニケーションの成立・効率と発話者・聞き手の知識との関連について も関心をもっている。また、感情・常識の、擬人化インタフェースへの 組み込みについて検討している。
      • 内海彰(UTSUMI Akira):1993年東京大学大学院工学系研究科情報工学専 攻博士課程修了.博士(工学).東京工業大学大学院総合理工学研究科助 手,講師を経て,2000年から電気通信大学電気通信学部システム工学科 助教授.言語を中心に人間の知能の本質に迫ることを究極の目標として, 認知科学,言語情報処理,語用論などの研究に従事.特に非字義的な表 現(比喩,アイロニー,ユーモアなど)とその認知・計算モデルに興味 を持っている.日本認知科学会,言語処理学会,人工知能学会,情報処 理学会,ACL,AAAI,Cognitive Science Society等各会員.
      • 渡辺光一(WATANABE Mitsuharu):自称吟遊詩人、最近までサラリーマン 研究員に身をやつし野村総合研究所で企業内吟遊詩人をしていていまし たが、上場するにもかかわらずストックオプションをくれない制度に驚 き、惜しまれつつ円満退職しました^^;。現在は関東学院経済学部で教員 に身をやつしていますが、究極の目的は「感興を通じて人類をもう少し 賢くやさしくすること」です。小方孝さんとは東京大学先端科学技術研 究センター以来のお友達です。現在の研究テーマは知的KMとマルチエー ジェントといったところですが、それは究極の目的と密接な関係あり。
      • 川村洋次(KAWAMURA Yoji): 大阪経済法科大学経済学部助教授。東京工業 大学理学部応用物理学科卒業、日本電気で人工衛星搭載通信機の研究開 発に従事、その後、三菱総合研究所で社会情報システムのコンサルティ ングに従事、筑波大学経営政策科学研究科修士課程修了、東京大学総合 文化研究科博士後期課程単位取得退学、修士(経営学)。静岡産業大学経 営学部非常勤講師を経て現職。技術マーケティング、経営情報論を基盤 領域とし、現在、芸能社会分析や映像理論に基づいたマーケティング情 報システム、シミュレーションシステムの研究に取り組んでいる。影響 を受けた映画監督・作品は、溝口健二「近松物語」「西鶴一代女」、山中 貞夫「人情紙風船」で、淡々としたテンポでありながら熾烈な人間像を 描いている作品を好む。
      • 松澤和光(MATSUZAWA Kazumitsu):NTT(株)サービスインテグレーション 基盤研究所主幹研究員。1953年横浜生れ。人工知能学会「ことば工学」 研究会幹事。駄洒落マシン?「B級機関」を制作するが、本人はいたっ てマジメ。符号理論、大規模集積システム、並列処理、知識処理などの 研究に従事してきたが、文学とは全く無縁の無粋なエンジニア。
       【第三の語り手=聴衆/読者/研究者/消費者/ほか】
        相原朋枝(お茶の水女子大学)
        新井潔(近畿大学)
        潟沼潤(札幌国際大学短大部)
        冠木新市(シナリオライター&ゲテモノの木スタジオ)
        矢澤清明(専修大学)
        湯澤太郎(コーエー)
        ほか(順次追加)
    3. ゲーミング方式の概略
       語り手層を、第一・第二・第三の3つの層に分け、それぞれの層どうしのい わば響奏形式のシンポジウムを構成する。
       第一の語り手は、「作家」ないしは「問題提起者」に相当する。
       第二の語り手は、「批評家」に相当する。
       第三の語り手は、「聴衆」に相当する。

       それぞれの層の語り手の語り及び語り手どうしのコミュニケーションについ ては、一定の規則を設ける。(詳しいルールについては、別に配布する小冊子 『No Comment』をご覧ください。)
       このような「響奏形式」のシンポジウムを構成する理由は、各層の語り手個々 人による文学領域における個別的諸テーマの開陳によって文学と認知科学領域 の研究課題の現状や可能性を浮かび上がらせるとともに、それらを横断・縦断・ 衝突・粉砕・融合・変容させ、全体としての文学に関するイメージを議論の中 から浮上させようという意図による。また、趣旨の後半に記述されているよう に、シンポジウム自体を文学的な一種のパフォーマンスと捉え、発想者・発言 者・創作者・批判者・聴衆などを巻き込んだ「文学交響曲」が演じられればい いと思ったからである。多くの研究は「発見と論証」の喜びで終わってしまう が、しかし「文学」の場合は「発見・論証・創作」の喜びであるべきであり、 特に「創作」は、今まで個人の作業で文学が形成されるという閉じられた世界 であったが、本年2月の第6回定例研究会における甲府即興会議(いわば「パ フォーマンスとしての研究会」)の経験を初め、我々の研究会で少しずつ明らか になって来ているように、集団による「文学創作の可能性」がぼんやりと見え て来ている。それを実際にやってみようというのが、本企画のコンセプトであ る。

       なお、記録やディブリーフィング及び成果公表も研究会自体とともに重視し、 次のことを行う予定である:

      (1) シンポジウム終了後、参加者全員のメイリングリストを作り、意見交 換をするこ、ディブリーフィング(振り返り)とする。これにより、 一連のゲーミングセッションが終了する。
      (2) 成果のまとめは、テープ、ビデオ映像、プロデューサーによるまとめ 的な文書、講演者による事後的な論文、上記ディブリーフィングの記 録を整理した記事等から成る文書をオーガナイザーグループまたは 企画構成・プロデュース担当者が作成し、文学と認知・コンピュータ 研究文科会テクニカルレポート『文学と認知・コンピュータNo.*』と して発刊する。

  7. 企画・運営
     【オーガナイザー】
      小方 孝(代表者/企画・構成・プロデュース、
           山梨大学工学部コンピュータ・メディア工学科)
      森田 均(事務局、県立長崎シーボルト大学国際情報学部情報メディア学科)
      赤間啓之(東京工業大学社会理工学研究科人間行動システム専攻)
      新井 潔(近畿大学九州工学部経営工学科)
      岩垣守彦(玉川大学文学部英米文学科)
      潟沼 潤(札幌国際大学短期大学部)
      金井明人(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)
      川村洋次(大阪経済法科大学経済学部)
      徃住彰文(東京工業大学社会理工学研究科価値システム専攻)
      羽尻公一郎(IBM基礎研究所)
      藤田米春(大分大学工学部知能情報システム工学科)
      湯澤太郎(コーエー)

     冬のシンポジウムに関するご連絡は、以下のいずれかにお願いいたします。
     小方 孝
        E-mail: ogata@esi.yamanashi.ac.jp
        電話及びFax(直通):055-220-8654
        住所:〒400-8511 山梨県甲府市武田4-3-11
     森田 均
        E-mail:morita@sun.ac.jp
        電話及びFax(直通):095-813-5105
        住所:〒851-2195 長崎県西彼杵郡長与町吉無田郷822
     【協力】
      青木由香(受付:山梨大学)
      高橋千津子(受付:山梨大学)
      向山和臣(ビデオ撮影:山梨大学)
      網野智幸(写真撮影:山梨大学)
      大塚匡弥(機材:山梨大学)
      野村充(機材:山梨大学)
      増山毅(機材:山梨大学)
      新井潔(ルールブック『No Comment』作成:近畿大学)
      加藤文俊(ルールブック『No Comment』作成:龍谷大学)
      ほか

  8. 主催・共催機関
    【日本認知科学会「文学と認知・コンピュータ」研究分科会】
      主査:小方 孝(山梨大学工学部)
      事務局:森田 均(県立長崎シーボルト大学国際情報学部)
      連絡先(小方):
        E-mail: ogata@esi.yamanashi.ac.jp
        電話及びFax(直通):055-220-8654
        住所:〒400-8511 山梨県甲府市武田4-3-11
      連絡先(森田):
        E-mail:morita@sun.ac.jp
        電話及びFax(直通):095-813-5105
        住所:〒851-2195 長崎県西彼杵郡長与町吉無田郷822
      研究分科会URL:http://lcc.csis.oita-u.ac.jp/
      認知科学会URL: http://www.sccs.chukyo-u.ac.jp/jcss/
    【文理シナジー学会「コルプス情報学」研究会】
      主査:赤間啓之(東京工業大学大学院社会理工学研究科)
      連絡先:
        E-mail:akama@dp.hum.titech.ac.jp
        電話及びFax(直通):03-5734-3254
        住所:〒152-8552 東京都目黒区大岡山2-12-1
      研究分科会URL: http://www.dp.hum.titech.ac.jp
      文理シナジー学会URL:http://www.fb.u-tokai.ac.jp/ISAS/book.html
    【日本シミュレーション&ゲーミング学会「シミュレーション&ゲーミングと物語」研究分科会】
      主査:小方 孝(山梨大学工学部)
      連絡先:
        E-mail: ogata@esi.yamanashi.ac.jp
        電話及びFax(直通):055-220-8654
        住所:〒400-8511 山梨県甲府市武田4-3-11
      研究分科会URL:http://souseki.esb.yamanashi.ac.jp/s&g/
      シミュレーション&ゲーミング学会URL: http://www.fklab.world.ryukoku.ac.jp/jasag/Default.html
  9. 会場情報
参考文献
[1] 小方孝(2000)「多重物語構造のマクロモデル―シミュレーションとしての物 語序説―」,『シミュレーション&ゲーミング』,Vol.10,No.1,35-46.
[2] 小方孝(2000)「多重物語構造モデルとその展開へ向けて−シミュレーションとしての物語序説―」,川村洋次・浜田秀・小方孝編『日本認知科学会テクニカルレポート00-No.32「文学と認知・コンピュータ6―ことばと文学―」』,87-119.