日程 9月14日(日) 15:20 - 17:20
オーガナイズドセッション (OS3-3)
会場:14号館4F(402)
ポスト学習時代の認知科学
オーガナイザー:
日髙昇平(北陸先端科学技術大学院大学)
大関洋平(東京大学)
高橋康介(立命館大学)
鳥居拓馬(東京電機大学)
中分遥(北陸先端科学技術大学院大学)
本田秀仁(追手門大学)
武藤拓之(大阪公立大学)
森田純哉(静岡大学)
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OS3-3-1深い不良設定問題としての理解の認知計算過程招待講演視覚の計算理論(Marr, 1982)以来、広範な認知過程のモデルに不良設定問題の考え方が採用されてきた。不良設定性にはデータの制約に対するモデルの自由度が過少または過大の2種類があるとされる。これに対し、本研究は視覚的認知を例に、モデルの空間上で局所的に過大と過少の両側面をもつ深い不良設定問題を示す。この問題は正則化などの既存の最適化(学習)手法では解けず、構造のメタ的分析を要する。このメタ的分析を理解の情報処理モデルとして提案する。
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OS3-3-2認知モデリングと自然言語処理招待講演人間の言語能力・言語処理を計算機上で再現するモデルの開発は、認知科学・人工知能の究極的な目標であり、解釈性・頑健性・効率性など深層学習に基づく自然言語処理の諸問題を解決する工学的なポテンシャルも秘めている。本発表では、人間らしい言語処理モデルを開発する研究分野である認知モデリングの概要と展望を紹介する。加えて、認知モデリングの観点から昨今の大規模言語モデルが及ぼす学術的なインパクトについて議論する。
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OS3-3-2報酬に基づく学習における構造の寄与招待講演近年,認知のベイジアンモデルをはじめとして,学習に関するモデルベース研究の中でも様々な発展が見られる。その中で,単純な「学習」ではなく「構造」を仮定した学習が,効率性や汎化において重要であることが指摘されている。本発表では,古典的に研究されてきた報酬に基づく学習 (value-based learning) における報酬構造の役割と,「学習」に構造の推論を組み込んだ研究パラダイムについて考察する。
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OS3-3-4ポスト学習時代の自己他者理解:認知モデルによるメタ認知的自律性の設計招待講演ChatGPTのようなAIエージェントが普及し,知識やスキルのデフレが進行する現代において,人間はどのように自律的な学習主体たりうるのか.本発表では,メタ認知的自律性を支える認知アーキテクチャの構成要件を整理し,学習者の内省と目標設定を支援する認知モデルの設計を示す.
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OS3-3-5構造発見に基づく知識・学習の転移可能性招待講演人間は未知な問題や不定な問題に対しても既存の問題の知識を転用して対処できる場合がある.この現象は「知識の転移」と呼ばれる.人工知能の分野でも「転移学習」「メタ学習」などのキーワードの下で異なる問題領域のデータや学習内容を標的の問題を解くために活用する技法が研究されている.こうした人工知能の研究は認知科学の観点からも興味深い.本発表では,既存の“情報処理モデル”を概観し,「知識の転移」の観点からポスト学習時代の認知科学を展望する.