日程 9月12日(金) 12:30 - 14:30

オーガナイズドセッション (OS1-4)

会場:14号館5F(501)
ローカルエコーチェンバーのステアリングに向けた認知研究の社会実装
オーガナイザー:
森田純哉(静岡大学)
大本義正(静岡大学)
⽵内勇剛(静岡⼤学)
遠⼭ 紗⽮⾹(静岡⼤学)
市川淳(静岡⼤学)
⾼⼝鉄平(静岡大学)
遊橋裕泰(静岡大学)
  • OS1-4-1
    エコーチェンバーの中での自律的認知:メタ認知・シミュレーション・グラウンディング
    森田 純哉 (静岡大学)
    現代の情報社会では,エコーチェンバーによる思考の同質化など,認知過程の自由が脅かされつつある.本セッションでは,認知過程の自由の確保に向けた法学者と認知科学者の対話を行う.このなかで,オーガナイザらによるプロジェクトの方向性として,シミュレーション,物理的社会へのグラウンディング,メタ認知を確保するためのリテラシー教育を示す.
  • OS1-4-2
    アテンションエコノミーと「認知過程の自由(cognitive liberty)」
    基調講演
    小久保 智淳 (東京大学)
    今日、私たちを取り巻く情報空間は「アテンション」をある種の貨幣として駆動する「アテンションエコノミー」の影響を受けていることが多方面より指摘されている。人文・社会科学の領域でも、政治や社会活動などにもある種の地殻変動を引き起こしつつあることに注目し、「アテンションエコノミー」の功罪を議論し始めている。本報告は、こうした「アテンションエコノミー」について、主に憲法学の視点から、特に、「認知過程の自由」という新たな自由概念から検討する。
  • OS1-4-3
    オンライン対話環境を利用した情報流通を模倣するマイクロワールド研究
    市川 雅也 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    ローカルエコーチェンバーの生起は,個々の認知的主体の集積したマクロな構造ととらえられる.これを実証的に検討するためには,人間の被験者を対象としたマイクロワールド実験が有効である.本発表では,小規模集団の成員の意見が固着・変容する過程を明らかにするためのマイクロワールド実験の結果と,ローカルエコーチェンバーをステアリングするオンライン対話環境のデザインについて示す.
  • OS1-4-4
    相手を想像できるローカルSNSにおける意見形成ダイナミクスの比較分析
    大本 義正 (静岡大学)
    遊橋 裕泰 (静岡大学)
    一般的なSNSは、設計が特定行動への誘導や思考の固定化を生み、ユーザーの自律性を脅かす可能性がある。本発表では、相手を想像できる小規模ローカルSNSの投稿行動において、投稿のログ分析とテキストマイニングを組み合わせ、SNSの閲覧機能の有無や他者からの影響の認識が、情報への反応および意見形成にどう作用するかを比較分析する。これらの分析から、現実にグランディングした人間の自由な自己決定を尊重する設計原理を探る。
  • OS1-4-5
    大学生を対象としたリテラシー教育実験の試み:情報の身体接地性が信頼性評価に与える影響の調査​
    遠山 紗矢香 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    市川 淳 (静岡大学)
    直接足を運び確かめられるなど身体接地している(フィジカルな)情報はそうでない情報に比べて,メディアのユーザから高い信頼を得ており,情報リテラシーの高いユーザは情報の信頼性評価を慎重に行なっている可能性が示されてきた.これらのことから本研究では,フィジカルな情報かそうでない情報かによって,ユーザによる信頼性評価の方法が異なるかを検討する.当日の発表では,地域の2つの大学生によるリテラシー教育実験を通じて得られた結果を示す予定である.​
  • OS1-4-6
    情報の価値と自由:アテンションエコノミーのなかで
    パネルディスカッション
    高口 鉄平 (静岡大学)
    現代の情報環境は,知識の共有空間であると同時に,注意(アテンション)を巡る経済圏となっている.本パネルでは,アテンションエコノミーにおける「情報の価値」と「認知過程の自由」の関係を多角的に検討する.認知科学・法・教育・技術の観点から,自由を支える設計や実践のあり方を議論する.