日程 9月10日(土) 9:30 - 11:30

オーガナイズドセッション10 (OS10)

認知的インタラクションフレームワークに基づいた工学的有効性と科学的妥当性を両立する他者モデル
オーガナイザー:
大澤正彦(日本大学)
坂本孝丈(静岡大学)
市川淳(静岡大学)
  • OS10-1
    認知的インタラクションフレームワークの概要
    招待講演
    坂本 孝丈 (静岡大学)
    人とエージェントのインタラクションに関する研究を体系的に扱うためのフレームワークである「認知的インタラクションフレームワーク(CIF)」について概説する.エージェントがインタラクションを通して環境や他者に適応するプロセスとして,生物種の進化や,個体として学習,認知モデルに基づく予測などのプロセスが挙げられる.これらのプロセスについて他者とのインタラクションという観点から検討を行う。
  • OS10-2
    認知的インタラクションフレームワークに基づく自己他者モデル認知アーキテクチャ
    招待講演
    大澤 正彦 (日本大学)
    CIFに基づいて設計した自己他者モデル認知アーキテクチャの全貌について説明する。提案するアーキテクチャは、自己と他者のモデルが同型であり相互に活用できる。また、他者モデルに特有の学習方法を実装することも可能である。本セッションで続く発表では、この自己他者モデルアーキテクチャに基づく手法や評価・分析を紹介する。共通のモデルを用いて研究を行うことで、研究を体系化することを目指す。
  • OS10-3
    自己他者モデルの相補的活用に関する研究
    招待講演
    下田 音里 (日本大学)
    阿部 将樹 (日本大学)
    大森 隆司 (玉川大学/日本大学)
    大澤 正彦 (日本大学)
    他者の反応から行動意図を汲み取る能力は、コミュニケーション相手との衝突や集団の崩壊を予め回避するうえで重要である。自己モデルを他者モデルに活用することで、他者モデルの構築を高速化するとともに他者の意図を自己に置き換え推定することが可能になると考える。また他者の行動意図を推測することで自己の意思に即した行動の学習効率を上げることが可能になるのではないかと考える。講演では自己モデルと他者モデルの相補的な活用について述べる。
  • OS10-4
    他者モデルに特化した学習アルゴリズム
    招待講演
    長原 令旺 (日本大学)
    田足井 昇太 (日本大学)
    大森 隆司 (玉川大学/日本大学)
    大澤 正彦 (日本大学)
    他者モデルをエージェントに実装することで, エージェントと人とのやりとりが円滑になると考えられる.学習による他者モデルの獲得・個人適応において, 従来の方法では多くのデータが必要となるため, 長期的なやりとりが必要となる. しかし, エージェントと人の長いやりとりは困難なため, 少ないデータで学習する必要がある. 本研究では, 他者モデルに特化した学習の枠組みを提案し, 少ないデータによる他者モデルの個人適応を実現する.
  • OS10-5
    他者モデルの有用性検証課題としての遠隔地間での複数人による同一オブジェクトの非言語的コミュニケーションを用いた操作
    招待講演
    岨野 太一 (慶應義塾大学)
    大澤 博隆 (慶應義塾大学)
    他者との共同作業を行う際に、共同作業者の行動を予測することは、作業者間の関係構築や作業の効率化の面で重要である。特に、非言語コミュニケーションを主とする課題においては、他者の行動の意味の予測が必須となる。本講演では、そういった共同作業の一つとして、遠隔地間での複数人による同一オブジェクトの非言語的コミュニケーションを用いた操作(テレ二人羽織課題)を挙げ、他者モデルの有用性の検証課題としての当該課題の側面を述べる。
  • OS10-6
    人とロボットの集団に生じる暗黙的集団規範の研究と他者推定との関連について
    招待講演
    布施 陽太郎 (富山県立大学)
    人間は直接的なやり取りや指示無しに,その場の状況に応じて他者にある特定の振舞いを期待することがある.その期待される振舞いは集団規範と呼ばれ,度々集団内で暗黙的に共有される.講演者は,人とロボットの共生社会を成立させる一要素として集団規範に着目し,人とロボットが共存する空間での行動実験を実施してきた.本講演では,集団内の他者推定という観点から今までに取り組んできた研究内容を概説する.
  • OS10-7
    自己他者モデルを応用した人間拡張技術の社会実装を目指して ~人のスキルを代替する代理存在~
    招待講演
    佐々木 康輔 (NECソリューションイノベータ / 日本大学)
    森口 昌和 (NECソリューションイノベータ)
    野田 尚志 (NECソリューションイノベータ)
    大森 隆司 (玉川大学/日本大学)
    大澤 正彦 (日本大学)
    人のスキルや価値観を代理する人工エージェントである代理存在を実現し、将来的に会議や相談などの非定型業務を代理・自動化することを目指す。発表者らは、自己他者モデルアーキテクチャを活用することで、代理存在を効率的に実現できると考えている。具体的には、代理される対象の振る舞いを他者モデルとして獲得し,獲得した他者モデルを自己モデルとして転用する方法を検討している.
  • OS10-8
    協調的集団運動を例とする頑健性と妥当性を両立した他者モデルに関する考察
    招待講演
    市川 淳 (静岡大学)
    他者の行動等を予測する認知モデル(他者モデル)は過剰適合を避け,現実的で説明できることが理想である.そのようなモデルを提案するためには,1)フィールド調査・計測,実験室実験,シミュレーションの各アプローチを研究目的に応じて選択すること,2)文脈依存性や機能する条件・範囲を理解することが求められる.本講演では,頑健性と妥当性を両立した他者モデルについて協調的集団運動を例に考察する.
  • OS10-9
    CIFに基づく他者モデルの理解に向けて
    パネルディスカッション
    大澤 正彦 (日本大学)
    坂本 孝丈 (静岡大学)
    市川 淳 (静岡大学)
    CIFに基づく自己他者モデルに関する研究発表を踏まえて、研究の体系化を目指した研究ディスカッションを行う。オーガナイザーや発表者のみに止まらず、会場からも広く意見や質問を受け付ける。