日程

オーガナイズドセッション (OS06)

推論に基づくヒト・コミュニケーションの進化と未来
9月4日(土) 16:20 - 18:20
会場:zoom会場No.2
オーガナイザー:小林 春美(東京電機大学),橋本 敬(北陸先端科学技術大学院大学)
  • OS06-1
    招待講演
    橋本 敬 (JAIST)
    他者の意図はいかにして推測でき、また共有できるのか。本稿では、意図推定の起源は他者の反射的な行動の予測であり、自分と他者の内部状態が豊かになった結果、他者の意図(実現したい状態への態度)の存在とそれを実現する行動ルールを措定するアブダクション(仮説形成)として進化したというシナリオを検討する。そして、この他者の意図と行動の仮説は、自身が持つ「状態→行動→状態」の単純なルールの再帰的結合により生成できることを主張する。
  • OS06-2
    招待講演
    明地 洋典 (京都大学)
    ヒトのコミュニケーションでは同じ記号が文脈によって異なる意味を伝える.この文脈依存的コミュニケーション形式は,ヒトにとっては,文脈を通して意図を明示,推論することが情報伝達性の面で効率的であることを示している.近代的なコミュニケーション状況では文脈が欠けやすく,非協力的になりやすい.未来のコミュニケーションの場を設計する上では,文脈を補填し,協力的性質を引き出す工夫を施すことが重要になるだろう.
  • OS06-3
    招待講演
    安田 哲也 (東京電機大学)
    コミュニケーションを行うためは,言語のやり取りのみならず,そこに明示されていない文脈も考慮に入れなければならない.しかしながら,明示されていない情報を想起することは幼児にとって難しいが,成人は情報(構造)を補完し解釈することができる.この構造性を見出す力がコミュニケーションを阻害している可能性がある.本発表では,意図共有という観点からヒトの推論能力等を議論し,SNS等の非対面コミュニケーションへの示唆を考察する.
  • OS06-4
    招待講演
    吉村 あき子 (奈良女子大学)
    ヒトのコミュニケーションに現れるアイロニー発話は, コードの解読だけでは話者の意味を解釈することができず, 推論が大きな役割を果たしている典型的な事例です. 本発表では, アイロニー発話の認知処理プロセスを観察し, 話者の意味は何かを追求することを通してその特徴的解釈パタンを抽出し 推論に基づくコミュニケーションの進化との関係を考察します.
  • OS06-5
    招待講演
    笹原 和俊 (東京工業大学)
    インターネットやソーシャルメディアの登場によって,人々の情報の発信内容や伝達範囲が変化し,現在,コミュニケーションのあり方はこれまでとは異なるものに変化している最中のように思える.SNS 上でのフェイクニュースの拡散やエコーチェンバー現象の仕組みを,ビッグデータの分析や計算モデルを活用する計算社会科学で読み解き,推論に基づくコミュニケーションのありうる未来やそのための方法論について議論する.