本研究では,
三次元物体の認識において,
刺激の複雑さに依存しない画像ベースの変換と,
複雑さの影響が大きい構造ベースの変換という,
二種類の処理が行われている可能性を提案した.
前者は視点依存表現をテンプレートマッチング的に
比較する処理であり,
後者は三次元構造情報を用いた逐次的視点変換を伴う処理である.
それらの特性は表に示したように異なっている.
特に汎化の学習のカテゴリ依存性は,
個々の物体の表現だけでなく,
様々な形状の物体が脳内にどのような表現で記憶されているのか,という
問題に対する一つの手がかりとして重要であると考える.
この問題に関しては,
さらに様々な形状を用いた実験等によって,
より明らかにしていくことが必要だろう.