2008年日本認知科学会冬のシンポジウムのご案内
「Web時代の学会の役割: 総合学術辞典はいかにしてWikipediaを越えるか」
日時2008年12月20日(土) 10:00 - 17:20
会場産業技術総合研究所 臨海副都心センター 別館11階 会議室
趣旨:
知識の体系化という野望は古くから人々の心を捉えてきました。百科全書、百科事典、そして「認知科学辞典」を含む様々な辞典が作られてきましたが、万人が知識の創造に参画するWebの時代にあって学会の社会への貢献はいかにあるべきでしょうか。Wikipediaのような従来の「集合知」よりも知識の共創を体系的に進めるにはどうすれば良いでしょうか。また学術的なコンテンツに基づいて知識の循環と共創を活性化するサービスとしてはどのようなものがありうるでしょうか。

認知科学会の「認知科学辞典」をWebで公開する計画および情報処理学会の「情報処理ハンドブック」の次世代版を編纂する計画に端を発して、「総合学術辞典(仮称)」の構想が具体化しつつあります。これは、学術的な概念の定義や関連する事物の説明やそれらの間の関係をオントロジーに基づいて意味的に構造化したコンテンツとして共同作成するための情報インフラを構築し、それを多数の学会の間で共有することにより、多様な研究分野にわたって学術的知識を相互に連携させながら集成し、Web経由で一般の利用者にも無料で公開しようというプロジェクトです。論文や解説記事や教科書などのコンテンツをオントロジーに基づいて辞典と結び付けることによって互いに連携させ、学会の新たなサービスを展開することもできるでしょう。今回のシンポジウムでは、学術総合辞典を核としてWeb時代の学会サービスのあり方を考えます。
プログラム:
10:00-10:30橋田浩一「認知科学オントロジーと総合学術辞典」
10:30-11:10高野明彦「多様な情報源による知の創発を促す『想・IMAGINE』」
11:10-11:50三宅なほみ「階層的な教育コンテンツの共有と共創」
11:50-12:50昼食
12:50-13:20総会
13:20-14:20石井加代子「学問分野を超えて現実に接地した知識をつくるための認知科学」
14:20-15:00戸田山和久「集合知としての科学的知識」
15:00-15:40小山透「辞典類と出版ビジネスの未来」
15:40-15:50休憩
15:50-17:20パネルディスカッション
モデレータ 小橋康章
パネリスト 戸田山和久、石井加代子、三宅なほみ、長尾確
企画・実行:
認知科学オントロジー委員会
大森 隆司、小橋 康章、坂原 茂、長尾 確、中川 裕志、橋田 浩一、松原 仁