研究分野別一覧

視覚・聴覚・音声

  • O2-4
    高橋 康介 (中京大学)
    島田 将喜 (帝京科学大学)
    大石 高典 (東京外国語大学)
    錢 琨 (九州大学)
    田 暁潔 (筑波大学)
    本研究ではタンザニア、カメルーン、日本の3地域でフィールド型実験を実施し、顔パレイドリア現象の地域間多様性を検討した。目と口に対応するパーツが存在する顔刺激とそうではない非顔刺激を呈示し、顔が見えるか判断させるという課題を行った結果、どの地域でも顔パレイドリアは生じたが、日本に比べてタンザニア、カメルーンでは顔パレイドリアが起こる頻度が低かった。以上の結果から顔パレイドリアの多様性の背景について議論する。
  • O3-1
    佐野 貴紀 (構造計画研究所)
    近年,顔の特徴を用いて魅力度を予測する研究が盛んに行われており,特に,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた研究では高い精度での予測が達成されることが報告されている.また,構築したCNNモデルの隠れ層を可視化することで,予測に重要な特徴の確認が可能となる.本研究では,CNNを用いた隠れ層の可視化による顔魅力要因の調査を行った.その結果,本モデルから抽出された特徴は,心理学研究における知見とのいくつかの共通点が確認された.
  • P-20
    打谷 拓巳 (京都工芸繊維大学)
    西崎 友規子 (京都工芸繊維大学)
    AIスピーカーのコミュニケーション相手としての実用化を目指し,外見がインタラクションに与える影響を明らかにするため,AIスピーカーと表情のあるロボットを用いて,共同サイモン効果の生起を比較した. 結果として,意思を持って動いていると教示された場合に共同サイモン効果が有意に大きく生じ,それはAIスピーカーでは顕著な傾向が認められた.これより,AIスピーカーのような無機質な外見でもインタラクションパートナーとして有用な可能性が示唆された.
  • P-26
    笹木 海志 (京都工芸繊維大学)
    来田 宣幸 (京都工芸繊維大学)
    深田 智 (京都工芸繊維大学)
    西崎 友規子 (京都工芸繊維大学)
    本研究では,仮想現実における「視点の変換」によって人間の思考や行動が変化する可能性があることに着目した.実験参加者には,「仮想現実内で視点が高くなる」体験をさせ,その際,言語教示として「巨大化」と「浮遊」の二通りの捉え方を与えた.その結果,この2つの言語教示によって行動が異なる可能性があることが示唆された.またこの言語教示の違いによる行動の変化には,実験参加者の想像力の影響があることも分かった.
  • P-31
    後藤 靖宏 (北星学園大学文学部 心理・応用コミュニケーション学科)
    移調楽器奏者としてクラリネットを用い、実音から移調された音階へ,あるいは移調された音階を実音に音高を変換する場合の,移調する方向における難易度の非対称性について検討した.ピアノとクラリネットを用いて,実音楽譜と移調楽譜の2つの楽譜をそれぞれ演奏させた結果,実音楽譜を見て移調楽器を演奏する場合と移調楽譜を見て実音楽器を演奏する場合を比較すると,前者の方が難易度が高くなった.これは,移調の心的処理の非対称性が見られたということを示している.
  • P-40
    大槻 正伸 (福島工業高等専門学校)
    小泉 康一 (福島工業高等専門学校)
    視覚復号型秘密分散暗号は,文字などが描かれた元情報の画像を数枚の画像に分けて暗号化し,そのうち何枚か(または全部)を集めて重ね合わせることにより元の情報が復元できるものである.重ね合わせにより復号化された元情報の文字認識は人間の視覚的な認知能力によりなされる. 本研究では,復元画像に対する認知可能性の条件を定量的に測定し,視覚暗号システムが可能であるための条件について考察した.
  • P-44
    松井 理直 (大阪保健医療大学)
    左上側頭回における脳出血後に他の言語障害の併発が少なく,外国語様アクセント症候群 (FAS) の症状を呈した対象者のアクセント錯誤を例に,日本語のアクセント情報の符号化過程について議論を行う.特に対象とするのは,いわゆる平板型に属する語におけるアクセントの音韻情報についてで,これは情報として空虚である可能性について論じる.
  • P-52
    木﨑 圭介 (神戸大学大学院)
    野中 哲士 (神戸大学)
    匠の技において技能を継承することは非常に困難である.また, 匠の技術がどこまで繊細であり, 自然と身につけた技能はどこを意識しているのかを解明することは難しい.今回の研究では, 扇子の骨組みを30年以上製作している匠の視線を計測した.この計測データから, 匠と呼ばれる職人が見せる視線の動きと, 特徴を分析する.
  • P-65
    中澤 剛 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
    野中 哲士 (神戸大学)
    人が目的地までの経路をナビゲートする時, 近道を 発見し目的地に短距離で到着する人と,近道を発見せ ず回り道で到達してしまう人に分かれる. 今回の研究 では, 其々のパターンに見られる視線を計測した。こ の計測データから, 近道を発見する人がナビゲーショ ン中に見せる視線の動きと, 遠回りをする人がナビゲ ーション中に見せる視線の動きの違いを分析する.
  • P-66
    小田切 史士 (青山学院大学 社会情報学研究科)
    中山 真嘉 (青山学院大学 教育人間科学部)
    鈴木 宏昭 (青山学院大学)
    中心視から離れると共に視力は低下することが知られており,注意を向けていない遠くの刺激は処理できないと考えられる.一方,注意を向けていない周囲の情報でも潜在的には処理していることも知られている.本研究は,ターゲット刺激の処理に影響を及ぼす周辺刺激との距離を操作した時に,視覚処理が無意識に働くのかについて検討した.その結果,刺激間の距離がある程度離れた場合でも、動的情報ならそれが主観的なものであっても処理可能なことが示唆された.
  • P-82
    斉藤 功樹 (日本ユニシス株式会社,北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    ソフトウェア開発の要件定義書レビューでは,定義書が顧客の求めるシステムを必要十分に表現しているかを判別することが重要である.先行研究では,その判別能力をはかる課題を開発し,視線との関係を分析したところ,判別成功時には特定の顧客要求文でfixationが増加傾向にあった.そこで,本研究では顧客要求文の持つ情報量を独自に定義し,視線との関係を分析した.その結果,情報量が多い文をより注視する場合に,レビューの成功可能性が高いことが示唆された.
  • P-83
    光國 和宏 (京都工芸繊維大学)
    市川 淳 (神奈川大学)
    西崎 友規子 (京都工芸繊維大学)
    堀 紫 (株式会社 博報堂)
    分身となるエージェントを介して相手とコミュニケーションする場面において,エージェントの印象と同時に操作者の印象が変化すれば人同士の親密な関係構築にエージェントの存在が有用となる.そこで,対話型スピーカーを介して相手の選好を模倣させ,スピーカー及び操作者の印象変化を検討した.結果,相手の選好を83%の割合で模倣すると,スピーカーと操作者の印象が高くなり,両者を同一視する可能性が示された.
  • P-84
    範 雯婷 (法政大学大学院)
    川崎 貴子 (法政大学)
    田中 邦佳 (法政大学)
    本研究では, 中国語を母語とする上級日本語学習者のデフォルトのアクセント型が, 日本語母語話者の発話とどのように異なるのかを, 無意味語の発話実験を通じて調査した. 日本語母語話者は3モーラ語で頭高, 4モーラ語で平板型の適用が多く見られた.中国語母語話者は, 4, 3モーラ語両方で平板型アクセントを使用した. 実験の結果, 中国語人上級学習者と日本語母語話者の文法との間には違いがあることが分かった.
  • P-96
    岡田 莞助 (名古屋市立大学大学院)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    我々は、これまでに、足をつっぱる方向の筋運動に対して、仮想空間上の脚のイメージが伸張する場合も、収縮する場合も等しく伸縮感覚が誘導されるという知見を得ている。本稿において、筋負荷と主体感を分離することを目的に、脚入力に加え指入力による脚の伸縮感覚への効果を検証した。結果、順逆等価の効果が指入力では成立しないことがわかった。これは、脚の伸縮錯覚に筋負荷が積極的に関与していることを示唆するものである。
  • P-101
    亀井 暁孝 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    人は,現象を説明可能な解釈が無数に存在するときでも一つあるいは少数の解釈を選ぶ傾向にある.本研究では,こうした認知処理の傾向を「思い込み」と呼び,数理的な定式化を目指し研究を進めた.具体的には,トイモデルとして画像回転課題を提案し,事前制約と学習効率の関係について数値実験による分析を行った.
  • P-103
    朱 剣 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    The post-exercise effect is a phenomenon in which people adapt to exercise stimulation for a relatively long period of time, and after the exercise stops, they feel the stimulating exercise that should not exist. The post-exercise effect has two attributes: the direction of the stimulating movement and the speed of the stimulating movement. The purpose of this research is to construct a calculation model that predicts the relationship between exercise stimulation speed and exercise aftereffect duration, and to interpret the results of psychophysiological experiments on exercise aftereffects by calculation.
  • P-105
    小林 晶 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    松室 美紀 (立命館大学情報理工学部)
    柴田 史久 (立命館大学情報理工学部)
    木村 朝子 (立命館大学情報理工学部)
    本研究では,身体の視覚的位置変更が身体のメンタルモデルにどのような影響を与えるかを検討した.複合現実感技術を用いて,腕の位置を変更した映像を作成し,その映像を提示しながら単純な動きを繰り返し行わせた.その前後で同じ課題を行わせた結果,課題中の身体の動きが変化した.これより,身体の視覚的位置を操作してトレーニングを行うことにより,身体のメンタルモデルにおける身体の位置関係が変化する可能性が示された.
  • P-119
    小堀 旺河 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    小林 春美 (東京電機大学理工学部情報システムデザイン学系)
    安田 哲也 (東京電機大学理工学部)
    可触性と事物配置に注目し、それら要因がどのように語用論的解釈への影響を及ぼすのかを部分名称獲得課題を利用し調べた。実験は実験者が無意味語を教示し、あらかじめ作成した選択肢を用い、成人参加者に該当する選択肢を選ばせるというものであった。その結果、指示した名称の全体/部分の解釈は、事物の配置により異なっていた。また予想とは異なり、透明な可視性のある障害物を介す/介さないといういずれの場合においても、指示範囲が変化することはなかった。
  • P-124
    樋田 浩一 (東北大学)
    山本 浩輔 (東北大学)
    齋藤 五大 (東北大学)
    坂本 修一 (東北大学)
    オーケストラの奏者たちは,奏者間の物理的な距離によって生じる音速の遅延を克服し,どのようにして楽団全体のタイミングに合わせて演奏しているのであろうか.インタビュー調査を実施した結果,離れた位置の奏者の演奏音は恒常的に遅れて聞こえてきていること,プロはその遅れにはつられないように練習していること,タイミングのずれの検出にはコンサートマスタの動きといった視覚手掛かりを利用していることが明らかとなった.
  • P-129
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    人が音声を認識する際には,音韻の単位に関するいくつかの処理が必要になる.それらの処理の一部は音韻意識と呼ばれる能力によって制御される.本研究の目的は,認知アーキテクチャACT-Rの知識検索の仕組みに対応づけて,音韻意識をモデル化することである.とくに音韻意識形成過程に見られる誤りとその要因に着目する.音韻意識形成がかな文字の習得と関連することから,活性化拡散を用いた視覚的補助の効果を検討する.
  • P-131
    本井 佑衣 (立命館大学)
    岡本 雅史 (立命館大学)
    本研究は遠隔会議を利用したリモート漫才が通常の対面漫才対話と異なり対話リズムにおいて修復されるべき「トラブル」が生じやすいため,それらを演者が相互に調整しリズムの修復を行っていく過程が観察可能である点に着目し両者の対話音声の分析に基づいてその修復プロセスの解明を目指したものである.分析の結果,対話リズムの修復に対して二種類の修復ストラテジーに基づく演者間の相互調整が寄与していることが明らかとなった
  • P-136
    小川 昭利 (順天堂大学)
    亀田 達也 (東京大学)
    中谷 裕教 (東海大学)
    我々の知覚決定は,他者の観察によって暗黙のうちに影響を受け,低次な知覚さえも調整され得る.本研究では,他者の数認識の観察により,個人の数知覚がどのように暗黙的に調節されるか,その神経機構を調べた.実験の結果,他者の過大評価と過小評価を観察した後,数知覚が異なる調節がされ,上頭頂小葉の活動が異なることが示された.この結果は,他者の数認識の観察が数知覚の神経基盤に暗黙的に影響することを示唆する.
  • P-137
    宮本 真希 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    同じ言語を共有しない話者間における「言葉の壁」の要因の一つは,言語の恣意性にあると考えられる。そこで,音声と指示内容の結びつきは完全に恣意的ではないことを示すブーバ・キキ効果を利用することで,限定的な状況であれば,話し手の伝えたい内容を聞き手に伝えられるのではないかと考えた。オノマトペは,音声と指示内容の間の関係が強いと考えられており,ブーバ・キキ効果が起きやすいと予想されるため,本研究ではオノマトペの指示内容の伝わりやすさを検証する。
  • P-138
    大森 玲子 (宇都宮大学地域デザイン科学部)
    上原 秀一 (宇都宮大学共同教育学部)
    久保 元芳 (宇都宮大学共同教育学部)
    宮代 こずゑ (宇都宮大学共同教育学部)
    本研究は,フランスにてPuisais, J. が1975年に始めた味覚教育の理論を援用し,味覚教育の実践を行ったものである。イメージマップに着目して効果の検討を行った結果,「おいしさ」という刺激語から連想される語の数およびリンク階層数のいずれについても活動後に増加していることが示された。また活動後の連想語の内容から,「あじ」は味覚を含めた五感のいずれからも生じ得るという学習が味覚教育によって促進されている可能性が示唆された。
  • P-139
    藤堂 健世 (東京工業大学情報理工学院)
    吉川 厚 (東京工業大学、立教大学)
    山村 雅幸 (東京工業大学)
    知覚と概念の関係性についてまだ解決された問題ではないとされている.本研究では,視覚情報から概念形成するときに,文脈によって被験者の認識変化にどのような影響を与えるのか,知覚と認識との間の関係から概念形成のメカニズムを探る.機械のパタンの認識問題の1つであるボンガルド問題から,様々な認識が可能な問題を用意し,被験者に回答させた.その結果,一度形成した概念が図形の知覚情報により,容易に再構築されない場合とされる場合が生じた.
  • P-142
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    本稿では、指サックをはめてもらうだけで、被験者が単独の状態で試行することのできる、全く新しいタイプのセルフタッチ錯覚の誘導法を報告する。被験者実験(N=38)によって、能動課題において、時間経過に伴う錯覚の学習効果を確認した。加えて、能動課題における錯覚の感度と共感尺度とが非常に強いレベルで正の相関関係にあることがわかった。本結果は、神経可塑性の発動において共感の機能が動員されていることを示唆するものである。
  • P-146
    益岡 都萌 (岡山大学大学院教育学研究科)
    西山 めぐみ (人間環境大学)
    寺澤 孝文 (岡山大学大学院教育学研究科)
    本研究は偶発学習における刺激の繰り返し呈示の効果が再認判断に及ぼす影響について,及び再認判断を要求された刺激と類似性の高い刺激の記憶痕跡の増加が再認判断時のYes反応を抑制させる可能性を検討した。実験は偶発学習課題と間接再認課題で構成された。結果,偶発学習の効果及びYes反応の抑制効果は確認されなかった。類似した経験の増加が再認判断時の弁別を困難にする可能性が示唆された。
  • P-155
    星野 英一 (慶應義塾大学文学部)
    皆川 泰代 (慶應義塾大学文学部)
    視覚情景の類似度判断において要素自体と要素の並びのどちらが手がかりになりやすいかを1-gram類似度と3-gram類似度を調整した階段法で調べた.刺要素と要素の並びの頻度に注目するために作成した無意味刺激を用いた.本研究は一度しか見ていない情景の記憶は,情景同士がよく似ているとき,時間的に近接している情景の要素の並びが近接していないときと比べて類似度判断の手がかりとなりやすいことを示した.