日程

ポスターセッション1 (sP1)

8月30日(木) 11:20 - 13:50
会場:B棟1F イベントホール(1-60),B棟2F B275+B276(61-87)
  • sP1-1
    大塚建太 (芝浦工業大学)
    中村潤 (芝浦工業大学)
    本論文では,会話の中にある埋もれた文脈を発見するため,Keygraphを用いた会話分析をしている.しかし,埋もれた文脈を発見するプロセスは暗黙知化されており,明文化されていない.そのため,暗黙知化された埋もれた文脈を発見するプロセスを明文化することを目指すため,いくつかの埋もれた文脈を発見した.その過程で明文化された発見プロセスを述べる.
  • sP1-2
    合唱練習における指揮者と演奏者間の意図の共有と演奏熟達プロセス
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    山本真秀 (神戸大学)
    野中哲士 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    Generally, when conductors tell chorus how to sing well, they frequently use gestures and metaphor. In order to clarify the system how conductors and the member of the chorus communicate together in practices, I analyzed the way a conductor used to communicate with chorus, and chorus’s interpretations about a conductor’s advices. As a result, I found that a conductor used three ways, words, examples by songs, and gestures, in telling chorus how to sing. Moreover , I found not always all chorus receive same meaning from conductor’s advices.
  • sP1-3
    田中孝治 (北陸先端科学技術大学院大学知識科学系)
    日髙昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    学際的態度や能力の育成には,異なる学問領域の関係性を考える経験が必要であり,学際的研究分野の学問の教育がその一役を担いうると考えている.本研究では,認知科学と認知心理学の関係性を考える授業科目を設計・開発する.本稿では,講義初日と最終日における,両学問の理解と両学問の関係性に対する考えに関する記述を分析し,その結果を基に学習者の認知科学と認知心理学の関係性に対する理解状態の一端を示す.
  • sP1-4
    日髙昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    田中孝治 (北陸先端科学技術大学院大学知識科学系)
    認知科学や認知心理学のように学際的分野の講義では、特定領域の概念の習得のみならず、それらが包含する複数の分野間の関係を理解する事が求められる.本研究では,複数分野の関係性理解を定量化する試みとして,「認知科学概論」講義前後に受講者の回答した分野の心理的距離に着目し,多次元尺度構成法による学問分野の空間配置の変化を分析した.その結果,認知科学,認知心理学に関連する他分野の心理的距離に変化があり,それらの変化と最終評価の相関も見られた.
  • sP1-5
    水野りか (中部大学)
    松井孝雄 (中部大学)
    刺激語が人間か否かを判断させる意味分類課題で人間語でのみ同音異義語効果が生じないという知見 (松井・水野, 2017) を受け,刺激語に判断に必要十分な情報が含まれている場合は仲間の情報のような周辺情報が活性化されないと考えた。そこで新たに両刺激語の第1文字の形態的隣接語数の多寡の意味分類時間への影響を調べ,人間語でのみ形態的隣接語数効果が生じないことを確認し,上の考え方の支持的証拠を得た。
  • sP1-6
    認知言語学の批判的検討:生態学的言語観への転換
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    井上拓也 (京都大学人間環境学研究科)
    認知言語学では近年,第三期の認知科学として人間・環境の相互行為の中で意味を捉えるべきであるという主張がなされている [17]。本稿では,言語が情報を伝達するという伝達モデルや,意味の表象主義的モデルを前提とする従来の言語観を棄却し,生態学的実在としてのアフォーダンス理論の意味観を導入することの必要性を論じる。さらに, Normanのデザインやシグニファイアの概念の観点から,言語がシグニファイアとして機能していることを指摘する。
  • sP1-7
    介護福祉士養成教育における医療的ケア演習「口腔内吸引」の修得過程
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    武田啓子 (日本福祉大学)
    This study aimed to examine the learning process of the medical care skill of “oral suctioning.” The acquisition of the medical care skill was examined through five rounds of evaluation exercises. Results showed that students conducted self-evaluation and applied their pre-existing knowledge to practical situations when learning basic medical skills. Additionally, they become less anxious over the five rounds of evaluation. These results suggest that students’ learning process for medical skills is the same as that for care skills in exercises.
  • sP1-8
    大山将来 (東京工業大学生命理工学院生命理工学系ライフエンジニアリングコース修士課程)
    辻田亜門 (東京工業大学生命理工学院生命理工学系)
    粟津俊二 (実践女子大学人間社会学部)
    赤間啓之 (東京工業大学リベラルアーツ研究教育院)
    embodiment理論によれば、脳の運動野は言語の意味理解に本質的に関与する。 これを踏まえ、本研究では人間の動作、特に手の動作を表す文を読む時と、運動を含まない心的な文を読む時の脳の賦活を比較し、運動野と言語野との協調性について考察する。 変量効果分析を行ったところ、左角回と左中側頭回の周辺に有意な差が確認できた。 この結果はembodiment理論に対立するamodal理論を支持している。
  • sP1-9
    于成 (大阪府立大学)
    牧岡省吾 (大阪府立大学)
    本研究では,マインドフルネス瞑想が展望記憶と実行機能にどのような効果を与えるのかについて検討した.展望記憶については,背景課題遂行時の展望記憶の成績を,実行機能は,シフト,更新,抑制に関する課題の成績を測定した. 四日間の瞑想を実験参加者に課し,瞑想前後で成績に向上が見られるかどうかを調べた.検討したところ,いずれについても有意な成績の向上はみられなかった.瞑想の実施が不十分であった可能性があるため,手続きを改善して再検討する必要がある
  • sP1-10
    神原一帆 (京都大学)
    本研究はフレーム意味論を用いた名詞分析の枠組みを提案することを目的とする.本稿では Killing フレームにおける動物名詞の分析を通して,従来動詞の意味が重視されてきたフレーム意味論が名詞の意味も扱える可能性を持つことを示す.分析の結果から,(i)フレーム要素の実現傾向が動詞の意味だけに還元できないこと,(ii)名詞の多様な意味は喚起されるフレームによって同定される,という2点を主張する.
  • sP1-11
    大河原一輝 (産業技術総合研究所人間情報研究部門/筑波大学)
    大山潤爾 (産業技術総合研究所人間情報研究部門)
    ヒトは時間変化する情報を、物理的な時間とは異なる単位で知覚している。映画におけるショット長の遷移パターンをヒトの時間知覚の観点から見ることにより、視聴者の映画の印象や評価に影響する文脈構造を分析できる可能性がある。本研究では時間知覚特性に基づいてショット長を符号化し、その遷移パターンの傾向を分析した。その結果、遷移パターンと映画評価値の間には相関があり、ショット長の遷移パターンが映像の印象を構成する要因の一つである可能性が示唆された。
  • sP1-13
    Working memory training does not enhance older adults' cognitive function
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    Sala Giovanni (Osaka University Graduate School of Human Sciences)
    Yasuyuki Gondo (Osaka University Graduate School of Human Sciences)
    To date, the attempt to boost cognitive skills in the general population has failed. However, it is still possible that some cognitive training regimens exert a positive influence on specific populations, such as older adults. In this meta-analysis, we investigated the effects of working memory training on older adults’ cognitive skills. Three meta-analyses were run. While large effects were found for the trained tasks, only moderate and near-zero effects were obtained in the near-transfer and far-transfer meta-analyses, respectively. While confirming the difficulty in obtaining transfer effects with cognitive training, these results cast serious doubts about the practical utility of near-transfer effects for older adults’ everyday life too.
  • sP1-14
    秋元泰介 (九州工業大学情報工学研究院知能情報工学研究系)
    自律的な人工知能を実現するためには,外界と関わり合う中で,世界を物語的に組織化し,それに基づいて他者とコミュニケーションをしたり,筋道のある行動をしたりする仕組みが必要になると考えられる.このような考えに基づく認知アーキテクチャに関する検討の一環として,エージェントが内面に作る世界の表象としてのストーリーが,どのような構造を持つと考えたらよいのかという問題について考察する.
  • sP1-15
    大塩智規 (福島工業高等専門学校専攻科産業技術システム工学専攻)
    大槻正伸 (福島工業高等専門学校 電気電子システム工学科)
    小泉康一 (福島工業高等専門学校 電気電子システム工学科)
    縦格子(Gr)とドット平面(PL)による立体錯視現象において, Gr-PL間距離(h)によって, 帯状立体の知覚の程度に違いが生じる.本研究では,hと帯状立体知覚の強さとの関係を従来より精密に測定した.また計算モデルによるシミュレーション結果と実験で得た測定結果との比較をした。従来から実験とシミュレーション結果には誤差があることが知られていたが、今回は 一人の被験者について,この誤差を小さくする補正関数を見つけることができた.
  • sP1-16
    危険予知トレーニング状況下における脳賦活部位の検討(訓練経験の有無による比較)
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    米持圭太 (群馬県立県民健康科学大学診療放射線学部)
    松井志保人 (公立藤岡総合病院)
    柏倉健一 (群馬県立県民健康科学大学診療放射線学部)
    本研究は,危険予知トレーニング(K=危険,Y=予知,T=トレーニング:KYT)のプロセスを明らかにすることを目的とした. 実験は,fMRI法を使用し,被験者は事前訓練(KYT)の有無により2群に分けた.両群について,1)KYTと対照画像との比較,2)危険予知と解決策の比較の2つの方法で分析した.この結果,両者では異なるプロセスを行っていること,事前訓練の有無がKYTプロセスに影響を及ぼす可能性があることが推測された.
  • sP1-17
    ひとめぼれ傾向と広告コピーが婚活サービスに対する好感度に及ぼす影響
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    長岡千賀 (追手門学院大学)
    本研究の目的は,婚活サイトの広告コピーの特徴,ならびに個人の特性が,婚活サービスに対する好感度に及ぼす影響について検討することであった.まず予備調査では,既存の39件の婚活サイトのコピーを分析した.この結果に基づいて4つの典型的なコピーを作成した.138名の実験参加者は各コピーに対する好感度を評価するとともに,各人のひとめぼれ傾向も測定された.結果から,行動促進型や内面重視型のコピーは好感をもたれやすいことが示された.
  • sP1-18
    井関龍太 (大正大学)
    人は手書き文字に基づいてパーソナリティの印象を評価できる。この評価は実際のパーソナリティとは必ずしも一致しないが,多くの人が共通して一貫した印象を抱くとすれば,その根拠となる文字の特徴があるはずである。本研究では,手書き文字に基づくパーソナリティ評定と画像化した文字の分析に基づいて,パーソナリティを推測させる文字の具体的な特徴を探索的に検討した。ビッグファイブのうち,外向性と調和性の印象に影響すると思われるいくつかの特徴が示唆された。
  • sP1-19
    辻田亜門 (東京工業大学生命理工学院生命理工学系)
    大山将来 (東京工業大学生命理工学院生命理工学系ライフエンジニアリングコース修士課程)
    粟津俊二 (実践女子大学人間社会学部)
    赤間啓之 (東京工業大学リベラルアーツ研究教育院)
    本研究では、機能的連結性を用い、日本人が母語の文を理解するのと比較し、同じ意味の英文を理解する際に特徴的な脳反応を、言語処理ネットワークに着目し抽出した。また、TOEICの点数に基づく英語能力の差による脳反応の違いを調べた。結果として、DMNと顕著性ネットワークが英語の意味処理に関係することが示唆され、両側に跨る第二言語特有のネットワークが存在することも導かれた。
  • sP1-20
    観察段階の因果帰納を記述するモデルの決定へ向けて
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    宝田悠 (東京電機大学理工学部)
    高橋達二 (東京電機大学理工学部)
    人間は少数データから 2 事象間の因果関係を帰納的に判断する能力を有しており、その解明は人の因果判断を機械上に実現する上で重要な意味をもつ。 人間の認知傾向に由来し人間の判断と高い相関を持つモデルとして、DFH モデルとpARIsモデルが存在する。 Yokokawaらは計算可能性などからpARIsがより有効だと考え実験を行ったが、両モデルに大きな差異はなかった。 本研究ではYokokawaらの実験を改善し再実験を行い、観察を行う。
  • sP1-21
    古藤陽 (東京大学学際情報学府)
    清水大地 (東京大学教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学教育学研究科情報学環)
    本研究では,美術の非専門家に対して「日常生活における自己の視点についての発見」および「美術に対する親近感の向上」を促す教育手法を提案し,実験により効果検証を行った.提案手法として,found objectと呼ばれる美術のジャンルの創作プロセスの体験を課題に組み込んだ.実験の結果,参加者に「日常生活における自己に視点についての気づき」が頻繁に引き起こされ,また「美術に対する難解・疎遠なイメージ」が部分的に軽減している傾向が示唆された.
  • sP1-22
    大槻正伸 (福島工業高等専門学校 電気電子システム工学科)
    小泉康一 (福島工業高等専門学校 電気電子システム工学科)
    大塩智規 (福島工業高等専門学校専攻科産業技術システム工学専攻)
    粒子の流れの認識メカニズムを明らかにするため,我々は「毎回ランダムな点群が一定周期で表示されると一定方向に流れる粒子群と認知される」という錯視現象に着目している.今回は正方形枠内に,実際に速度vで移動する点群(A群)とランダムに配置した点群(B群)をある割合(αと1-α)で混在させ,一定周期で提示すると,ある条件でA群とB群の区別がつかなくなる.この条件を調べた結果αが小さく,vが大きくなるほど区別がつかなくなることが確認された.
  • sP1-23
    森下美和 (神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部)
    有賀三夏 (東北芸術工科大学基盤教育研究センター)
    原田康也 (早稲田大学法学学術院)
    阪井和男 (明治大学法学部)
    富田英司 (愛媛大学教育学部)
    大学生活において、国内または海外での研修やインターンシップ、ボランティア活動、留学など、日常的・定常的な学校生活から離れた活動経験は、他者・コミュニケーション・世界に接する態度に変化をもたらし、外国語や専門分野に対する学習意欲を飛躍的に高め、世界観・世界認識の変容を通じて学習ならびに日常生活における行動変容をもたらす。本発表では、セメスター留学の事前・事後に実施した2種類の調査について報告する。
  • sP1-24
    村上久 (東京大学)
    井澤玲 (神奈川大学)
    西山雄大 (長岡技術科学大学)
    秋吉政徳 (神奈川大学)
    自身の運動の結果が肯定的であった場合、その運動主体感はより高まることが知られる。近年こうした主体感変調が低次の感覚処理からも生じることが報告されているが、その殆どは聴覚を感覚入力とする。我々は、色を用いた視覚刺激を感覚入力とし、自発的行為に対して異なる感情価を持つ色の提示が主体感に及ぼす影響を検証した。結果、先行研究とは異なり中間的な感情価を持つ色の提示が最も主体感を高めるという傾向が得られ、これを視覚と聴覚の処理速度から考察した。
  • sP1-25
    伊藤拓哉 (岩手県立大学)
    佐々木淳 (AOI TYO Holdings株式会社)
    小方孝 (岩手県立大学)
    俳句は断片的な要素の集合であり,読者は個々の要素を様々な情報と結びつけることにより解釈を生み出す.この解釈過程を参考に,筆者は俳句からの物語生成を考案している.本稿では,俳句の中の単語から単語ネットワークを構築し,このネットワークの語を用いて生成の核となる物語を生成する手順を示す.さらにCMに関する情報を体系的にまとめたCreative Genomeの要素を用いることで,俳句の印象を反映したCM生成への展開を目指す.
  • sP1-26
    加藤龍彦 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    四項類推を行う能力は人の推論の特質とされるが,近年自然言語処理分野では四項類推課題がモデルの意味の獲得精度の指標として用いられている. 本研究ではSkip-gramモデルに着目して分析,その四項類推が一部単語クラスにつ いて最適化されていないことを示す.その上で既存の四項類推演算を拡張した演算を提案し,この演算によりモデルの類推能力を人 により近似することが可能であることを示す,
  • sP1-27
    福永征夫 (アブダクション研究会)
     21世紀のわれわれは人間の過去の営みが招いた地球規模の難題群の発生に直面している.これらに主体的かつ能動的に対処するためには,環境の淘汰圧に対する自由度の高い,環境の変化に中立的な,経験と学習の認知,思考と行動,評価・感情を自己完結的に実現しなければならない.それは,「自然の循環と融合の論理」に適合するように,営みの全方位において,高深度・広域・高次の経験と学習の認知,思考と行動,評価・感情を自己完結的に実現することだろう.
  • sP1-28
    山本寿子 (東京女子大学)
    河原美彩子 (東京女子大学)
    田中章浩 (東京女子大学)
    感情知覚と音韻知覚はいずれも顔(視覚情報)と声(聴覚情報)の情報を統合することによって成り立つ。その双方において日本人は聴覚情報を重視することがこれまでに明らかにされている。そこでこれらの視聴覚統合プロセスが共通である可能性を検討するため,感情と音韻について(1)日本・オランダの成人を対象とした知覚実験(2)日本の5歳から12歳の子どもを対象とした知覚の発達パターンの比較(3)視聴覚統合プロセスの相互干渉の3つの側面から検討を行った。
  • sP1-29
    今泉拓 (東京大学学際情報学府)
    高橋康介 (中京大学心理学部准教授)
    植田一博 (東京大学総合文化研究科)
    生物でない物体にヒトらしさを感じることはアニマシー知覚として知られている.本研究では,形状の点でヒトに類似した対象よりもそうではない対象に対してアニマシーがより強く知覚される可能性について,ヒトのイラスト,しめじ,マッチ棒を比較し探索的に検討した。結果,形状ではヒトのイラストが1番ヒトらしいと評価されたものの,社会的な関係性を想起されるような動きが伴った際には,しめじにたいして1番強く感情が認知されることが示された.
  • sP1-30
    張寓杰 (ベネッセ教育総合研究所)
    加藤健太郎 (ベネッセ教育総合研究所)
    寺井あすか (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
    中川正宣 (大妻女子大学人間生活文化研究所)
    本研究では大規模言語コーパスから計算された単語間共起頻度のデータベースを用いて,名詞と動詞の「語彙組み合わせ問題」を難易度別に自動的に生成できるシステムを開発した.今回は,このシステムを用いて「名詞(主語)が動詞(述語)」と「名詞(目的語)を動詞」二種類の組み合わせに対して,同じ手順で自動的に問題を生成した.さらに,自動生成した問題を用いた実施テストの結果,想定された難易度がテスト参加者の正答率と十分一致していることが実証された.
  • sP1-31
    三浦慎司 (名古屋大学情報学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学情報学研究科)
    本研究では、VRで作成した空間の中で、天井画と壁に飾られる絵画を天井あるいは壁に配置して絵画の鑑賞をさせた際に,どのように作品に対する主観的な評価が変わるのかについて探索的に検討した。その結果,作品ごとの分析をしたところ、一部では空間的配置と絵画の種類が一致する際に好ましさや感情価、美しさ、覚醒度、強さの評価が変化することが示された。考察として,通常とは異なる体位で鑑賞することを想定した,絵画を鑑賞する際の身体の役割について議論を行う。
  • sP1-32
    川端良子 (千葉大学/国立国語研究所)
    「そうしたら」と「そうすると」の会話における使用傾向を『日本語日常会話コーパス』を用いて分析した結果,前件の事実関係によって形式の使用傾向に偏りがあることが明らかになった.
  • sP1-33
    岡本真砂夫 (姫路市立八幡小学校)
    小学校英語音声指導において音声分析ソフトウェアPraat,並びにフォルマント値を調音位置図にプロットする教材をエクセルで作成し,児童の調音音声を教師,児童自身が評価できるようにした.発音研究の対象音は/æ/音である。本研究を通じて,小学校高学年児童の音声分析に適切なLPCパラメータ値を明らかにすることができた.また児童が自らの英語母音の調音位置を意識することができ,英語の母音発音を変容させた児童が確認できた.
  • sP1-34
    石原由貴 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    Mirror Visual Feedbackにおいて発生する手の位置・筋運動感覚の錯覚はKinesthetic Mirror Illusion(KMI)と呼ばれている.本研究では手のイメージの想起性がKMIに与える影響を調査するため,手や持ち手の有無などの条件を用いて,KMIの比較実験を行なった.結果,手のイメージの想起性が高いほどKMIの誘起が起こりやすいこと,手を明示せずとも,KMIを誘起することが可能であることが分かった.
  • sP1-35
    沼口裕太 (慶應義塾大学SFC研究所)
    諏訪正樹 (慶應義塾大学環境情報学部)
    本研究では筆者が自宅での調理におけるマイクロスリップ(以下、MS)を分析した。調理行動は行為のまとまりが階層構造をなしており、行為の接続点におけるMSの出現割合の違いを階層ことに分析した。また放置タスクの始点と終点に着目し、MSの出現のしやすさの違いを分析した。本研究の結果は、「MSがあらかじめプランされている状況ではなく、臨機応変さが強く要請されるような状況で起こりやすい」ということを示唆している。
  • sP1-36
    鶴島彰 (セコム株式会社)
    東日本大震災の際、仙台のホテルの会議室で撮影された動画において、避難者による、逃走と退避という避難行動の選択が、出口からの距離によって分かれる現象が観察された。我々は、避難行動における同調行動を表現した避難意思決定モデルにより、この動画で見られたような現象の再現を試みた。シミュレーションにおいて、エージェントは逃走と退避をランダムに選択しているにも関わらず、動画のように、逃走と退避が出口からの距離で分かれる現象が創発した。
  • sP1-37
    小池星多 (東京都市大学メディア情報学部)
    篠川知夏 ((株)まちづくり立川)
    青山征彦 (成城大学社会イノベーション学部)
    ロボット製作と革製品製作という、異なる2つのものづくりの事例を採り上げて、製作のプロセスのなかで、製作環境が変化する場面を検討した。その結果、現在の製作環境の限界に直面することで、それまでは注目されていなかった製作環境が見直された事例が観察された。製作環境の変化は、製作をめぐるネットワークを再編成することであり、こうした再編によって製作が継続されていることを示した。
  • sP1-38
    廣田章光 (近畿大学経営学部商学科)
    近年、問題が明確でない状況におけるイノベーションの発生が示されている(石井1993,2009,2014, Lester and Piore 2004。その分野の研究の一つであるVon Hippel and Von Krogh(2016)において組合せの構造が示された。本研究はユーザー・イノベーションによる「ナルセペダル」の開発事例をもとに、プロトタイプ、「対話のトライアングル」、「人間中心のポジション」の関係を示す。
  • sP1-39
    光田基郎 (大阪教育福祉専門学校)
    光田(関西心’09-10,東北心’11-15)に引き続き,電算に録音・録画して幼児教育志望の学生に読み聞かせた絵本の登場人物に投影された聞き手のシャイネス, 自己開示と社会的スキル取得への意欲と登場人物に対する共感的態度を指摘し,保育志望の大学生と上記の報告で述べた女子短大生,専門学校生との差を強調し, 電算画面での絵本読み聞かせの理解と感じ方のモデル化・効率化の指針を模索した。
  • sP1-40
    青山征彦 (成城大学社会イノベーション学部)
    趣味でアクセサリーを制作している女性へのインタヴューをもとに、制作という実践が、どのようなリソースに支えられて可能になっているかを検討した。その結果、友人に頼まれたり、参加予定のイベントにあわせたアクセサリーを制作したりするなど、趣味そのものではない、他の活動の文脈が、継続的な制作を支えていることが示唆された。
  • sP1-41
    黒田航 (杏林大学)
    BCCWJから動詞を抽出し,物理事象, 心理事象,社会事象…のような6属性を付与した.物理事象は少数派で,社会事象が多数派である事がわかった.Formal Concept Analysis で相互行為性が動詞体系の基礎になっている可能性が示唆された.語彙意味論が社会的意味を認定どう記述に取り込むために,幾つかの提案をする.
  • sP1-42
    馬田一郎 (株式会社KDDI総合研究所)
    伊集院幸輝 (同志社大学)
    加藤恒夫 (同志社大学)
    山本誠一 (同志社大学)
    次話者と現話者間の相互注視により会話の制御が行われているとの仮説の下に、現話者・次話者・残りの聞き手の注視行動を母語会話と第2言語会話において分析した。相関分析の結果、母語の自由対話と課題対話、および第2言語の課題対話においては、話者交代が起こる発話の前でのみ、現話者から次話者への注視と次話者から現話者への注視に相関がみられた。このことから、これらの会話においては、相互注視が発話順序の割り振りに重要な役割を果たしていることが示唆された。
  • sP1-43
    下條朝也 (名古屋大学)
    三輪和久 (名古屋大学情報学研究科)
    寺井仁 (近畿大学産業理工学部)
    科学哲学において,説明評価の基準が確率論的か価値論的かという論争がある.先行研究では,他者から与えられた説明を評価する際は,価値論的に判断していることが示唆されている.本研究では,自ら生成した説明を評価する際に,どちらの基準を用いて判断するのか,並びに洞察問題か否かによって用いる基準が変化するのかを検討した.その結果,自ら生成した説明に対しては,洞察問題か否かを問わず,確率論的基準を用いて評価していることが示された.
  • sP1-44
    井上雅勝 (武庫川女子大学)
    藏藤健雄 (立命館大学)
    松井理直 (大阪保健医療大学)
    本研究では、「すべての2回生が新入生を世話した先生を呼び止めた」のような構造的曖昧文の名詞句の量化詞を操作し、関係節主要部のガーデンパス(GP)効果量を比較した。その結果、GP効果量が疑似量化(量化詞の作用域を計算しない解釈)の割合 (藏藤他, 2017) と関連することが示された。疑似量化では即時に文の解釈が決定されるが、標準的量化では決定が一時遅延される、という観点から論議される。
  • sP1-45
    スラックラインの熟達過程に関する事例研究
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    山際英男 (東京都立東部療育センター)
    本研究は全身協調バランス・スポーツ“スラックライン”の熟達過程を調べることを目的とする.特に,基本技能とされる片脚立ちを行っている最中の両手の協調性に着目し事例データで検討した.初心者2名の1か月(週1回×4週間)のトレーニングの前後の両手の協調性を相互再帰定量化分析(再帰率)で定量評価した結果,いずれの参加者も両手の協調性が高くなっていたことが明らかとなった.今後さらに全身の姿勢や認知との関係など詳細に検証していく計画である.
  • sP1-46
    中田龍三郎 (名古屋大学情報学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学情報学研究科)
    自己の食事中の静止画を見ると食事をおいしく感じる。この効果は正立の静止画で強くなるのか、自己静止画を見ることが食事へのより強い注意をもたらすのか検討した。刺激を正立で呈示するとおいしさの評定値は高くなった。また試食と無関係な音刺激に対する注意を反映するERP(P300)振幅値は正立条件よりも倒立条件と無人条件で増大していた。正立条件では食行動に向けられる注意配分量が相対的に増加したと推測される。
  • sP1-47
    神窪利絵 (東京大学生産技術研究所)
    Yuri Klebanov (東京大学生産技術研究所)
    米谷竜 (東京大学生産技術研究所)
    佐藤洋一 (東京大学生産技術研究所)
    Pupillometry involves measuring changes in the diameter of the eye's pupil. Such pupillary responses have been well studied by scientists to link with a great variety of cognitive processes. However, the responses are typically investigated in the lab settings since they are easily influenced by light sources. To pave the way to expand pupillometry research methods, our paper will showcase design implications of a mobile cognitive pupillometry toolkit that can be integrated beyond the state-of-the-art experimental conditions. We discuss benefits, as well as challenges, of conducting cognitive pupillometry experiments in the less-controlled settings.
  • sP1-48
    野村亮太 (東京大学教育学研究科)
    森田賢治 (東京大学教育学研究科)
    丸野俊一 (九州大学)
    学習者は自分自身の理解状態をうまく説明できないことが多い.本研究では学習者の理解を推定する非言語的手がかりとして自発性瞬目の群発に注目した.観察された個人の瞬目間間隔(IBI)から瞬目群発を定義する手法を新たに提案した.提案手法に基づいた瞬目群発は,連続した複数のIBIの情報を用いた場合に数III履修者と非履修者を弁別可能であった.非履修者に多く見られた瞬目群発は,学生が「理解が難しい」と感じたことの指標になることが示唆された.
  • sP1-49
    青木慎一郎 (岩手県立大学)
    小方孝 (岩手県立大学)
    小野淳平 (菅原学園 専門学校デジタルアーツ仙台)
    自閉スペクトラム症(ASD)の認知・行動パターンに関わる物語生成理論による理解を示した。困難は「何を語るか」よりも「如何に語るか」だった。彼らは「部分」や「非連続性」について敏感であるため、強い「驚き」と感じ物語が進まなくなってしまう。「全体と部分」は「中枢性統合」の、「連続性と非連続性」は実行機能の働きとも言える。また、人の心を文脈の中で理解する「心の理論」にも通ずる。この理解から、物語生成理論に基づく支援ツールについても展望した。
  • sP1-50
    斉藤功樹 (日本ユニシス株式会社)
    土肥拓生 (株式会社レベルファイブ)
    本稿では,要件定義書レビュー時の視線情報を用いてレビューを1ページ単位で評価する2つの手法を提案する.1つ目はレビュー時のレビュー品質評価であり,意図的に欠陥を含ませた要件定義書のレビューを19名に実施し,視線情報を用いて重み付けSVMにて欠陥を検出できない人を約81%の精度で分類するモデルを構築した.2つ目はレビュー文書の読みづらさ評価であり,視線情報より読み返し回数を算出し,読みづらさと読み返しの間に正の強い相関がみられた.
  • sP1-51
    中里周子 (東京藝術大学美術学部)
    矢野史朗 (東京農工大学工学研究院)
    宇野良子 (東京農工大学工学研究院)
     本研究は人物写真における擬物化から、現代アートにおける人間観を明らかにすることを目指して、アンケート調査を行なった。結果として、人間の身体の扱い方が、物を扱っている時のようであり、鑑賞者が比較的不快感を感じる擬物化と、人間の身体が素材となり機能が増えるような加工が行われ、鑑賞者が快と感じる擬物化が主に観察された。
  • sP1-52
    布山美慕 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    文章理解の機序解明に向け,著者らは,読者が読みつつ文章情報を意味のまとまりごと圧縮し保持する“オンライン要約”に注目した.本研究では,オンライン要約の基礎過程の一つである意味のまとまり範囲推定(意味的段落分け)時に,読者が利用する情報を調べた.実験の結果,意味的段落分けは当該段落内部の情報のみでも一貫性をもって可能だと示唆された.この結果は,意味的段落分けが,段落の意図の記述の必要十分性の認識に依拠するとする本研究の仮説に整合的である.
  • sP1-53
    粟津俊二 (実践女子大学人間社会学部)
    言語の身体性に関する多くの研究では、行為文の理解時に知覚運動シミュレーションが活性化し、実行為が影響されることが示されている。 本研究では、記述された行為の速度が、知覚運動シミュレーションに影響するか調べた。日本語行為文の有意性をボタン押しで回答させ、 低速―高速行為文間で反応時間を比較した。その結果、低速文理解時の方が高速文理解時よりも、反応時間が速かった。この不一致をもたらす仕組みについて、考察した。
  • sP1-54
    英語の使役移動構文と動詞不変化詞構文の獲得について
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    本多明子 (至学館大学)
    本論文の目的は,英語の使役移動構文と動詞不変化詞構文の獲得過程について,認知言語学・用法基盤モデルの観点から示すことである.これらの構文は,認知言語学において関連構文であるとみなされており,自然言語やCHILDESを調べてみても,こどもの発話において広く観察され,且つ,其々の構文の使い分けが見られる.本論文では,この二つの構文の獲得過程について,文法構文として確立するまでに三つの段階があることを提示する.
  • sP1-55
    阿部廣二 (早稲田大学人間科学学術院)
    牧野遼作 (早稲田大学人間科学学術院)
    山本敦 (早稲田大学人間科学研究科)
    門田圭佑 (早稲田大学人間科学研究科)
    古山宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    会話場面の分析を通して会話中に飲み物を飲む行為の調節が達成される過程を検討した結果、1)発話が宛てられていない受け手になることで飲むことを開始できること、またそうした受け手も、発話の宛てられた受け手になる可能性が高い場所では飲むことを開始しないこと、2)話し手も飲み始めることがあり、それは発話の先延ばしとして理解できることが明らかになった。この点を、会話中に飲み物を飲むことの参与者間の相互調整と、会話と飲み物の関係の観点から考察した。
  • sP1-56
    須藤智 (静岡大学)
    大木朱美 ( (株)KDDI総合研究所)
    新井田統 ( (株)KDDI総合研究所)
    本研究では,高齢者のスマホのニーズ調査と利用学習を促進する講習会を開発し効果測定した。65歳以上のスマホ利用率は19.1%であり、所有を躊躇するのは「使いこなせるかわからない」感じていることが明らかになった。開催した講習会は、若年者と共に日常レベルのスマホ利用を体験できる会であった。講習会に参加することで、主観レベルで操作できるようになった、不安感が低減するなどの効果があることが明らかになった。
  • sP1-57
    小方孝 (岩手県立大学)
    本稿では,歌舞伎を媒介として,多元的物語論とは何か,物語への文化的アプローチとは何か,芸能としての物語とは何か,について論じた.最後に,統合物語生成システムと芸能情報システムとの連携としての全体としての物語生成システムの構成を示した.今後は,ここで挙げた諸概念とのより密接な関連において,歌舞伎の調査・研究を進め,統合物語生成システムと芸能情報システムが連動した物語生成システムの設計・開発を進展させる.
  • sP1-58
    篠原亜佐美 (名古屋大学)
    鹿子木康弘 (追手門学院大学)
    奥村優子 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    小林哲生 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    本研究では,5歳児・7歳児がポジティブ/ネガティブなうわさを基に第三者評価をおこなうかどうかについて,子どもの他者を利する行動・信頼する行動を指標として検討した。結果,7歳児はネガティブ/ポジティブなうわさのどちらとも利用して他者とのかかわり方を決定していたが,5歳児はネガティブなうわさのみを利用していた。これらの結果から,発達初期にはネガティブなうわさに敏感であることが示唆された。
  • sP1-59
    岡田真奈 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    阪田真己子 (同志社大学文化情報学部)
    人は,ベビースキーマと呼ばれる,幼い動物が持つ身体的特徴を持つものをかわいいと感じ,また,かわいいものを見ることによって,ポジティブ感情が喚起するなど,様々な効用が生じることが明らかになっている.しかしながら,人はかわいいものに対し,どのような振る舞いをみせるのかということについては,未だ明らかになっていない.そこで,本研究では,行動抽出を行い,人がかわいいものに対して,どのような振る舞いをみせるのかということについて検証した.
  • sP1-60
    白石壮大 (明治大学理工学研究科)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    集団で運動したときに「この運動は我々が起こしている」と感じる感覚を共同運動主体感という.本研究では,共同作業中の2者の脳波を同時計測し,運動主体感と2者の脳波同期の関係から共同運動主体感の生起に関わる脳領域を調査した.実験の結果,互いに協調し合うほど,共同運動主体感は高まり,β波帯域において頭頂葉の同期が高まった.このことから,共同運動主体感の生起には頭頂葉のβ波帯域の活動が関わると考えられる.
  • sP1-61
    齋藤ひとみ (愛知教育大学)
    林穂波 (愛知教育大学)
    本研究では,Twitter上で情報を求めるつぶやきを収集し,どのような質問がされているのかを分析した.Twitter APIを用いて質問系のハッシュタグを含むツイートを収集し,機械学習の手法を使って情報要求ツイートを自動抽出した.抽出された918件のツイートについて,タイプやトピックの分類,リプライの有無を調査した.分析の結果,Twitterで多く投稿される情報要求のタイプや回答率の高い情報要求のタイプなどが明らかになった.
  • sP1-62
    佐藤貞之 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    今井優介 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    工藤傑 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    長戸操 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    松田憲 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    有賀敦紀 (広島大学総合科学研究科)
    行動経済学者は、多くの選択肢が消費者の選択行動を阻害し、満足度を低下させる「選択過多効果」をもたらす可能性を示唆した。本研究では、北九州市在住の大学生において選択過多効果の再現と購買意図との関係を地元有名企業の商品を用いて調査した。選択過多効果は生じなかったが、購買決定場所からの距離に関係なく、購買経験に応じて選択肢数が少ない場合の購入率が高くなることがわかった。これはIyengerのジャムの実験結果に酷似している。
  • sP1-63
    松井理直 (大阪保健医療大学)
    近年の音韻論では、日本語の撥音・促音が逆行同化を起こすのは、要素が過小指定され、CC スロット構造により後続要素が自律分節的拡張が行われるためであると考えている。しかし、この説明では撥音が「鼻母音」に変異することを説明できない。また、「空の C スロット」という表示では特殊な促音の変異を誤って予測してしまう。本稿では、音節のコーダ位置という性質と撥音・促音に固有の情報を考えることで、撥音・促音の変異を正しく導出できることを述べる。
  • sP1-64
    錯視が障害物跨ぎ越し動作に与える影響に関する行動科学的検討
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    桜井良太 (東京都健康長寿医療センター研究所)
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    The present study aimed to determine whether foot clearance is increased by visual illusion during a step-over task. Four participants were asked to judge the height of three obstacles in different conditions [control (i.e., white plane obstacle), horizontal, and vertical illusion conditions] placed 4 meters away from them and then to approach the obstruct to step over it. They perceived the obstacle to be higher in the vertical illusion condition compared to the other conditions. Similarly, they stepped over 83mm to 195mm higher the obstacles under the vertical illusion condition compared to the other conditions. Our results suggest that application of visual illusion can promote the adoption of a safer stepping-over strategy.
  • sP1-65
    寺澤孝文 (岡山大学教育学研究科)
    津田真吾 (岡山大学)
    益岡都萌 (岡山大学)
    佐久間康之 (福島大学)
    鈴木渉 (宮城教育大学)
    上田紋佳 (福山平成大学)
    西山めぐみ (国際環境大学)
    田中優貴 (岡山大学)
    牛司策 (岡山大学)
    羊忻怡 (岡山大学)
    学習者の学習の進捗レベルに対応させて学習コンテンツを提供するアダプティブなe-learningの実現は,効率的に知識を習得する上で重要な課題といえる。本発表は,英単語等の学習内容の一つ一つについて,反復してなされる学習とテストのタイミングを年単位で制御する技術を実装したe-learningにより収集される膨大な縦断的学習データから,問題の一つ一つの到達度を高精度で推定することを可能にした成果を発表する。
  • sP1-66
    前川亮 (追手門学院大学心理学部)
    乾敏郎 (追手門学院大学心理学部)
    他者感情推定時に,他者の身体状態を模倣し,自分の中に相手と同じ感情が生じることで感情推定を行うモデルが提案されている。本研究では共感性の個人差に着目し,共感性が模倣的な身体状態におよぼす影響を検討した。感情推定課題を行い,課題中の表情筋活動・心拍・発汗を記録した。さらに共感性尺度得点と身体状態の変化を比較した。結果,共感性の低い群においてのみ,感情推定値と身体状態の間に相関がみられた。
  • sP1-67
    高橋秀明 (放送大学)
    本論では、情報化社会における人間の発達を捉える枠組みとして、情報生態学的人格論を提案した。
  • sP1-68
    加藤祥 (国立国語研究所)
    浅原正幸 (国立国語研究所)
    文章の冒頭の重要性が言われる.しかし,いわゆる冒頭にあたる部分がないような短い説明文章でも同様か.本稿は,ある対象物に関する説明文章を用い,読み手がテキストに記された対象物を認識するとき,冒頭文が後続の説明文に影響を及ぼすのか調査した.結果,読み手が冒頭によってカテゴリのプロトタイプのようなものを想起した場合,すなわち強い印象を受けた場合,情報が追加されても読み手の認識は覆らない傾向がみられた.
  • sP1-69
    金野武司 (金沢工業大学工学部電気電子工学科)
    齊藤優弥 (金沢工業大学 工学部 電子情報通信工学科)
    人間の言語には,表現と意味の間を結ぶ関係に構造依存性と呼ばれる階層構造がある.本論では,記号的コミュニケーションにおいて,その構造依存性が生じる過程をメカニズム的に解明するための実験室実験を検討し,参加者が取り組む課題の構成要件を整理して,具体的にゲーム課題を考案・設計する.また,設計したゲーム課題に基づき,人間が扱う意味を多様化・複雑化させる際の原動力を議論する.
  • sP1-70
    田中吉史 (金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科)
    美術初心者の美術鑑賞における解説文の効果を、実際の美術展でのフィールド実験によって検討した。作者による解説文を読む条件、作者による解説文に基づきより能動的に鑑賞するように促すよう指示する問いかけ文条件、解説文なしで鑑賞する条件を設け、15ペアの美術初心者がある現代美術展を鑑賞した。問いかけ文条件では解説文なし条件よりも長時間かけて美術展を鑑賞した。鑑賞中の会話内容の分析により、解説文の内容と作品の特徴との相互作用について検討する。
  • sP1-71
    創造性評価における直感と熟考
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    寺井仁 (近畿大学産業理工学部)
    三輪和久 (名古屋大学情報学研究科)
    仲村都奈 (近畿大学)
    本研究では,個人の内的な基準に従って創造性評価を行う場合において,創造性評価に対する直感および熟考の影響を検討した.その結果,創造性評価の一貫性における,直感的判断への選好と評価方法の間の交互作用が明らかとなった.具体的には,(1)熟考的な評価を求められた場合,直感傾向の高低による影響は認められず,(2)直感的な評価を求められた場合に,直感傾向の低い評価者の創造性評価の一貫性が低下することが明らかとなった.
  • sP1-72
    舟岡滋悟 (成城大学)
    新垣紀子 (成城大学社会イノベーション研究科)
    戸田薫子 (成城大学)
    本研究は、年代間で都市の位置関係の把握に違いがあるのか明らかにすることを目的とした。 本研究では二つの分析を行った、(1)実際の地図上の位置と参加者が示した位置を比較する分析(絶対的な位置関係)、(2)参加者が示した各地点間の距離を比較する分析(相対的な位置関係)。 その結果、学生の位置関係の把握は中高年より絶対的、相対的そのどちらも低かった。
  • sP1-73
    佐藤信之介 (千葉工業大学)
    山崎治 (千葉工業大学)
    本研究では,協調的問題解決を促進する要因として役割に着目した.特に,参加者が課題の役割を好むかどうかで問題解決のパフォーマンスに影響を及ぼすかを調査した.本研究では,役割の好みを把握するために個人特性として思考スタイルの立案型と評価型を用いた. 実験では,役割を好む型を持つ参加者で構成されたグループを一致条件,役割を好む型を持たない参加者で構成されたグループを不一致条件として課題を行わせ,その結果からパフォーマンスの比較を行った.
  • sP1-74
    様々な日本語条件文の論理的性質
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    吉沢栄貴 (東京電機大学理工学部)
    高橋達二 (東京電機大学理工学部)
    「p ならば q」という形式をとる条件文を人間が解釈する際、論理学上の通例的な定義と人間の直感的解釈に相違があることが知られている。 先行研究ではGauffroy らの研究があり、日本語条件文では Namikiらの研究が存在するが後者の研究には様々な問題点があった。先の問題点を改善した上で、先行研究を複合した日本語条件文実験を行い、条件文の解釈の分析と Gaufrroy らの結果との比較を行なった。
  • sP1-75
    Inhibitory Control in Japanese Learners of Spanish
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    星野徳子 (津田塾大学)
    Montserrat Sanz (神戸市外国語大学)
    Past research suggests that when learners speak in a second language (L2), their first language (L1) is co-activated and needs to be inhibited. The present study examined the mechanism of non-target language inhibition when Japanese learners of Spanish spoke in their L1 Japanese and L2 English as well as in their third language (L3) Spanish. It was predicted that the degree of non-target language inhibition would be modulated by relative language proficiency.
  • sP1-76
    森下浩平 (大阪経済法科大学)
    本調査では、アクティブ・ラーニングについて調査を行った赤堀(2017)をもとに、基礎情報処理クラスの受講を希望する学生を対象としたアンケート調査を行った。学内外で報告することに同意した229名分(うち7名は留学生)について、赤堀(2017)の結果と比較した。全体として、アクティブ・ラーニングへの期待が高かったことから、今後は授業に取り入れて学生からのフィードバックを得る予定である。
  • sP1-77
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    池永将和 (筑波大学人間総合科学研究科)
    コールセンターにおける対話の実音声データを対象とし,高齢者と若年成人の対話におけるターンテイキングの分析を行った.高齢者(顧客)は若年成人(オペレータ)よりも頻繁に,会話へ強制的な割込みを行っていた.割込みは,相手の発話内容が予測できたとした時点,あるいは発話反復をしているときに行われており,会話における「話すと聞くとの二重課題性」が加齢に伴う課題達成低下をもたらしている可能性が示唆された.
  • sP1-78
    渡辺謙仁 (北海道大学)
    田邉鉄 (北海道大学)
    本研究の目的は,コミュニティや活動の境界はいかにして構成され,また横断されるのかを,超小型衛星開発プロジェクトのエスノグラフィーを通して活動理論の枠組みから考察することである.本研究の結果,活動拠点という物理的空間に入るための鍵などの分かり易い存在だけでなく,身体の移動や,集合的活動が向かう対象の特質もまた,活動とその境界のあり方を媒介していたことが分かった.
  • sP1-79
    上田拓弥 (関西学院大学理工学研究科人間システム工学専攻)
    工藤卓 (関西学院大学理工学部人間システム工学科)
    ラバーハンドイリュージョン(RHI)は機械の遠隔操作への応用などで近年注目されている.本研究ではRHIによる身体的感覚の延長を試みた.内観報告書と脳波,筋電計測からその強度を評価し, RHI誘導の積算効果により,長い延長ラバーハンドにおいてもRHIが発現することを明らかにした.さらにRHI誘導前に自身の手のみに触刺激を与えた場合,通常のRHIと比してRHIの発現が優位に増加する,RHIにおける事前刺激によるプライミング効果を発見した.
  • sP1-80
    牧野遼作 (早稲田大学人間科学学術院)
    門田圭佑 (早稲田大学人間科学研究科)
    人々がペンを用いる相互行為場面を対象とし,書き始めるタイミングと,ペンを持ち方についての探索的な定量的検討の結果を報告する.対象としたデータは,2名の参与者による,書字行為を含む順番決定課題会話であった.分析の結果,相互行為内で書字行為を開始する3秒前から,書き手も書き手とならない参与者も書くためのペンの持ち方に変える頻度が多いことが示された.さらに他者が書くための持ち方をしたとき,自身はペンの持ち方を抑制する可能性が示唆された.
  • sP1-81
    手書き氏名における自己関連情報処理の検討
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    澤田玲子 (特定非営利活動法人神経発達症研究推進機構)
    十一元三 (京都大学医学研究科)
    正高信男 (京都大学霊長類研究所)
    ヒトはさまざまな対象に自己を認識する.本研究は,氏名と筆記者の2領域の自己情報をもつ手書き氏名を観察中の事象関連電位を計測し,対象によって異なる自己表象があるのかを調べた.その結果,筆記者における自己-他者情報処理の違いは後頭頂領域のP250に,氏名における自己-他者情報処理の違いは正中部のLPCに反映した.このように,氏名と筆記者の自己情報処理は異なる成分に反映し,対象によって異なる自己表象があることが示唆された.
  • sP1-82
    河上章太郎 (金沢工業大学工学研究科電気電子工学専攻)
    金野武司 (金沢工業大学工学部電気電子工学科)
    人の記号的なコミュニケーションでは,字義通りの意味だけではなく言外の意味が伝えられる.このため,同じ表現でも言外で異なる意味が伝えられることが頻繁に起こる.しかし人は,過去の意味(記憶)に縛られずにその変化に柔軟に対応できる.我々は記号のやりとりを伴う同調課題に取り組む計算モデルを構築し,その計算機シミュレーションを通じて,言外の意味が変更された場合に,過去の意味の記憶がその伝達の成否に与える影響を調査・議論する.
  • sP1-83
    星田雅弘 (立命館大学文学研究科)
    林勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    田村昌彦 (立命館大学文学部)
    対人認知場面では,(1)相手に関する既有知識と(2)相手の振舞いの2つの手がかり情報を利用しながら印象が形成される.本研究では,エージェントに対しても同様の印象形成が行われるのかを実験的に検討した.互いにある対象を単語で伝え合う場面を設定し,エージェントの知識量が知性の印象にどのように影響するのかを調べた.その結果,相手の知識量は知覚される知性に影響しなかった.
  • sP1-84
    河原美彩子 (東京女子大学)
    澤田佳子 (東京女子大学)
    田中章浩 (東京女子大学)
    本研究では、ロボットから多感覚的に表出された感情を人間がどのように認知するのか、また、それによって人間の利他行動は生起するのか検討した。その結果、目の色のような人間には表現できない人工的手がかりより、ジェスチャーのような人間も使う自然的手がかりを重視してロボットの感情を判断することがわかった。またロボットに対する利他行動の生起には、ロボットがどのような感情を示したかではなく、人間がそれをどのように感じたかが関係する可能性が示された。
  • sP1-85
    本木隼人 (東京電機大学)
    日根恭子 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    これまでに,話し手の発話速度によって聞き手が感じる話し手の性格印象が変わることが報告されている.しかし会話時において,聞き手と話し手の発話速度の違いである相対発話速度により,性格印象に違いが生じるかは不明な点が多い.そこで本研究では,会話時における相対発話速度が印象に及ぼす影響を検討した.その結果、「明るい↔暗い」,「慎重な↔軽率な」の形容詞対に対して,話し手の発話速度にかかわらず,相対発話速度が影響していることが示唆された.
  • sP1-86
    日本語文の語彙的ネットワークの安定性
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    犬童健良 (関東学園大学)
    本論文では古典的な知識表現の一つであるフレームを用いて,日本語文の理解を解釈した.語彙ネットワークは,語フレームの結合によって文フレームを組み立てるサプライチェーンと同型とみなされる.また助詞「は」と「が」の交換による文の意味の微妙な変化を,ネットワークの安定性の問題として定式化する.これにより,従来インフォーマルに論じられてきた総記や対比,情報の新旧,非言語的コンテキストの影響などを,厳密に認知モデル化することが可能になった.
  • sP1-87
    山森良枝 (同志社大学)
    一般的に条件文には、条件節pが条件、結果節qがその帰結を表すという意味で、pとqの間に依存関係があることを示す。ところが、pとqの間に依存関係が成立しない例がある。前者をStandard conditional(SC)、後者をBiscuit Conditionals(BC)と呼ぶ。本論では、 (I) BCの読みはどうして生じるのか、また、(II)同じ条件形式にBCとSCの読みが生じるのはなぜか、について考察する。
  • sP1-88
    池永将和 (筑波大学人間総合科学研究科)
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    コールセンターにおける対話の実音声データを対象とし,高齢者と若年成人の対話の特徴や,それらが若年成人にとっての高齢者とのコミュニケーションへの困難さ,負担感となっているのか否かについて,探索的検討を行った.高齢者によってうまく説明されなかった問題状況を,若年成人が補完しながら会話を構築し,協同問題解決を進めていくための負荷が示唆され,同時に高齢者が示す社会的な力への対応要求といった異なる負担の存在も示された.