研究分野別一覧

発達

  • OS11-4
    公募発表
    川崎真弘 (筑波大学システム情報系知能機能工学域)
    米田英嗣 (青山学院大学教育人間科学部教育学科)
    船曳康子 (京都大学人間・環境学研究科)
    本研究は自閉スペクトラム症(ASD)患者と定型発達者の運動模倣の方略の違いを特定することを目的とした。運動模倣時に反応時間と脳波を計測した。聞き取り調査の結果、運動模倣時にASD患者は心的回転、定型発達者は視点取得の方略を用いることが分かった。この方略の違いは反応時間と脳波の結果からも確認できた。以上の結果は、他者視点で模倣する定型発達者とは違い、ASD患者が他者の行動を自己視点に合わせるプロジェクションを用いて模倣することを示唆する。
  • sO1-4
    市川淳 (京都工芸繊維大学)
    藤井慶輔 (理化学研究所革新知能統合研究センター)
    長井隆行 (電気通信大学)
    大森隆司 (玉川大学)
    岡夏樹 (京都工芸繊維大学)
    本研究では,生きるうえでの基盤であり,他者に対して良好な関係を図る態度や行動である社会性を,保育園で観察される集団の振る舞いから定量的に評価することを試みた.子どもが音楽に合わせて自由に活動するリトミックを定期的に撮影し,取得した位置データを分析した.結果,6才ごろの活動はそれより前の月齢の活動に比べて他の子どもに向かって近づく頻度が高いことを確認した.本研究は,発達のサポートを検討する保育士に有益な情報を提供することが期待される.
  • sP1-28
    山本寿子 (東京女子大学)
    河原美彩子 (東京女子大学)
    田中章浩 (東京女子大学)
    感情知覚と音韻知覚はいずれも顔(視覚情報)と声(聴覚情報)の情報を統合することによって成り立つ。その双方において日本人は聴覚情報を重視することがこれまでに明らかにされている。そこでこれらの視聴覚統合プロセスが共通である可能性を検討するため,感情と音韻について(1)日本・オランダの成人を対象とした知覚実験(2)日本の5歳から12歳の子どもを対象とした知覚の発達パターンの比較(3)視聴覚統合プロセスの相互干渉の3つの側面から検討を行った。
  • sP1-39
    光田基郎 (大阪教育福祉専門学校)
    光田(関西心’09-10,東北心’11-15)に引き続き,電算に録音・録画して幼児教育志望の学生に読み聞かせた絵本の登場人物に投影された聞き手のシャイネス, 自己開示と社会的スキル取得への意欲と登場人物に対する共感的態度を指摘し,保育志望の大学生と上記の報告で述べた女子短大生,専門学校生との差を強調し, 電算画面での絵本読み聞かせの理解と感じ方のモデル化・効率化の指針を模索した。
  • sP1-49
    青木慎一郎 (岩手県立大学)
    小方孝 (岩手県立大学)
    小野淳平 (菅原学園 専門学校デジタルアーツ仙台)
    自閉スペクトラム症(ASD)の認知・行動パターンに関わる物語生成理論による理解を示した。困難は「何を語るか」よりも「如何に語るか」だった。彼らは「部分」や「非連続性」について敏感であるため、強い「驚き」と感じ物語が進まなくなってしまう。「全体と部分」は「中枢性統合」の、「連続性と非連続性」は実行機能の働きとも言える。また、人の心を文脈の中で理解する「心の理論」にも通ずる。この理解から、物語生成理論に基づく支援ツールについても展望した。
  • sP1-54
    本多明子 (至学館大学)
    本論文の目的は,英語の使役移動構文と動詞不変化詞構文の獲得過程について,認知言語学・用法基盤モデルの観点から示すことである.これらの構文は,認知言語学において関連構文であるとみなされており,自然言語やCHILDESを調べてみても,こどもの発話において広く観察され,且つ,其々の構文の使い分けが見られる.本論文では,この二つの構文の獲得過程について,文法構文として確立するまでに三つの段階があることを提示する.
  • sP1-58
    篠原亜佐美 (名古屋大学)
    鹿子木康弘 (追手門学院大学)
    奥村優子 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    小林哲生 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    本研究では,5歳児・7歳児がポジティブ/ネガティブなうわさを基に第三者評価をおこなうかどうかについて,子どもの他者を利する行動・信頼する行動を指標として検討した。結果,7歳児はネガティブ/ポジティブなうわさのどちらとも利用して他者とのかかわり方を決定していたが,5歳児はネガティブなうわさのみを利用していた。これらの結果から,発達初期にはネガティブなうわさに敏感であることが示唆された。
  • sP1-67
    高橋秀明 (放送大学)
    本論では、情報化社会における人間の発達を捉える枠組みとして、情報生態学的人格論を提案した。
  • sP1-77
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    池永将和 (筑波大学人間総合科学研究科)
    コールセンターにおける対話の実音声データを対象とし,高齢者と若年成人の対話におけるターンテイキングの分析を行った.高齢者(顧客)は若年成人(オペレータ)よりも頻繁に,会話へ強制的な割込みを行っていた.割込みは,相手の発話内容が予測できたとした時点,あるいは発話反復をしているときに行われており,会話における「話すと聞くとの二重課題性」が加齢に伴う課題達成低下をもたらしている可能性が示唆された.