研究分野別一覧

視覚・聴覚・音声

  • OS03-3
    公募発表
    黒嶋智美 (玉川大学)
    萱場豊 (東京大学)
    小俣貴宣 (ソニー株式会社R&Dプラットフォーム)
    本研究では、会話分析と行動経済学という全く異なる既存の方法論と理論的枠組を用いて,同一の社会的相互行為における現象を検討することで、一見して、購買活動や展示販売活動といった経済的活動の具体的な場面と記述されうるやりとりが、どのような社会的行為によって組織されているのかを明らかにすることを試みる。その際に、行動経済学からの理論的枠組を記述された現象の裏付けとして援用する。
  • OS11-2
    公募発表
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    主観的な重力反転を促進する因子を同定することは、幽体離脱の認知機構の解明につながるだけでなく、Virtual Reality空間において、アバターに身体のイメージを投射するうえでの設計論を検討するうえでも重要である。本研究では、HMD環境を使った二つの被験者実験を行い、被験者の姿勢と、呈示されるアバターの身体の向きが、重力反転の生起しやすさに影響するという結果を得たので、これを報告する。
  • OS11-3
    公募発表
    佐藤優太郎 (情報科学芸術大学院大学)
    石原由貴 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    「蟹の錯覚」は、本研究室が考案した、両手交差によって身体の自己感へ影響を与える錯覚である。一般的な錯覚は、実際の身体をマスクすることで主体感や所有感に影響を与える。一方、自身の身体はむき出しのまま行う「蟹の錯覚」においても、主体感や所有感への影響を示唆する反応が確認されたことから、「蟹の錯覚」は特殊な位置付けの錯覚であるといえる。本稿では、「蟹の錯覚」における視覚刺激に対する運動反応を主体感の変調の指標とし、実験の結果・考察を報告する。
  • OS12-4
    公募発表
    入江諒 (金沢工業大学 工学研究科 電気電子工学専攻)
    金野武司 (金沢工業大学工学部電気電子工学科)
    人とエージェントの自然な身体的コミュニケーションの成立には,二者間の動きのダイナミクスが重要な鍵を握る.特にリーダー・フォロワーといった役割の交代=ターンテイキングが,相手に人らしさを感じさせる大きな要因になると考えられる.本研究では円図形を介した二者間の視覚的インタラクション実験と,ターンテイキングの特徴を取り出す指標の作成を通じて,相手を人であると判断する要因は,相手との同調傾向を前提としたターンテイキングにあることを明らかにする.
  • sP1-11
    大河原一輝 (産業技術総合研究所人間情報研究部門/筑波大学)
    大山潤爾 (産業技術総合研究所人間情報研究部門)
    ヒトは時間変化する情報を、物理的な時間とは異なる単位で知覚している。映画におけるショット長の遷移パターンをヒトの時間知覚の観点から見ることにより、視聴者の映画の印象や評価に影響する文脈構造を分析できる可能性がある。本研究では時間知覚特性に基づいてショット長を符号化し、その遷移パターンの傾向を分析した。その結果、遷移パターンと映画評価値の間には相関があり、ショット長の遷移パターンが映像の印象を構成する要因の一つである可能性が示唆された。
  • sP1-15
    大塩智規 (福島工業高等専門学校専攻科産業技術システム工学専攻)
    大槻正伸 (福島工業高等専門学校 電気電子システム工学科)
    小泉康一 (福島工業高等専門学校 電気電子システム工学科)
    縦格子(Gr)とドット平面(PL)による立体錯視現象において, Gr-PL間距離(h)によって, 帯状立体の知覚の程度に違いが生じる.本研究では,hと帯状立体知覚の強さとの関係を従来より精密に測定した.また計算モデルによるシミュレーション結果と実験で得た測定結果との比較をした。従来から実験とシミュレーション結果には誤差があることが知られていたが、今回は 一人の被験者について,この誤差を小さくする補正関数を見つけることができた.
  • sP1-18
    井関龍太 (大正大学)
    人は手書き文字に基づいてパーソナリティの印象を評価できる。この評価は実際のパーソナリティとは必ずしも一致しないが,多くの人が共通して一貫した印象を抱くとすれば,その根拠となる文字の特徴があるはずである。本研究では,手書き文字に基づくパーソナリティ評定と画像化した文字の分析に基づいて,パーソナリティを推測させる文字の具体的な特徴を探索的に検討した。ビッグファイブのうち,外向性と調和性の印象に影響すると思われるいくつかの特徴が示唆された。
  • sP1-22
    大槻正伸 (福島工業高等専門学校 電気電子システム工学科)
    小泉康一 (福島工業高等専門学校 電気電子システム工学科)
    大塩智規 (福島工業高等専門学校専攻科産業技術システム工学専攻)
    粒子の流れの認識メカニズムを明らかにするため,我々は「毎回ランダムな点群が一定周期で表示されると一定方向に流れる粒子群と認知される」という錯視現象に着目している.今回は正方形枠内に,実際に速度vで移動する点群(A群)とランダムに配置した点群(B群)をある割合(αと1-α)で混在させ,一定周期で提示すると,ある条件でA群とB群の区別がつかなくなる.この条件を調べた結果αが小さく,vが大きくなるほど区別がつかなくなることが確認された.
  • sP1-24
    村上久 (東京大学)
    井澤玲 (神奈川大学)
    西山雄大 (長岡技術科学大学)
    秋吉政徳 (神奈川大学)
    自身の運動の結果が肯定的であった場合、その運動主体感はより高まることが知られる。近年こうした主体感変調が低次の感覚処理からも生じることが報告されているが、その殆どは聴覚を感覚入力とする。我々は、色を用いた視覚刺激を感覚入力とし、自発的行為に対して異なる感情価を持つ色の提示が主体感に及ぼす影響を検証した。結果、先行研究とは異なり中間的な感情価を持つ色の提示が最も主体感を高めるという傾向が得られ、これを視覚と聴覚の処理速度から考察した。
  • sP1-28
    山本寿子 (東京女子大学)
    河原美彩子 (東京女子大学)
    田中章浩 (東京女子大学)
    感情知覚と音韻知覚はいずれも顔(視覚情報)と声(聴覚情報)の情報を統合することによって成り立つ。その双方において日本人は聴覚情報を重視することがこれまでに明らかにされている。そこでこれらの視聴覚統合プロセスが共通である可能性を検討するため,感情と音韻について(1)日本・オランダの成人を対象とした知覚実験(2)日本の5歳から12歳の子どもを対象とした知覚の発達パターンの比較(3)視聴覚統合プロセスの相互干渉の3つの側面から検討を行った。
  • sP1-31
    三浦慎司 (名古屋大学情報学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学情報学研究科)
    本研究では、VRで作成した空間の中で、天井画と壁に飾られる絵画を天井あるいは壁に配置して絵画の鑑賞をさせた際に,どのように作品に対する主観的な評価が変わるのかについて探索的に検討した。その結果,作品ごとの分析をしたところ、一部では空間的配置と絵画の種類が一致する際に好ましさや感情価、美しさ、覚醒度、強さの評価が変化することが示された。考察として,通常とは異なる体位で鑑賞することを想定した,絵画を鑑賞する際の身体の役割について議論を行う。
  • sP1-33
    岡本真砂夫 (姫路市立八幡小学校)
    小学校英語音声指導において音声分析ソフトウェアPraat,並びにフォルマント値を調音位置図にプロットする教材をエクセルで作成し,児童の調音音声を教師,児童自身が評価できるようにした.発音研究の対象音は/æ/音である。本研究を通じて,小学校高学年児童の音声分析に適切なLPCパラメータ値を明らかにすることができた.また児童が自らの英語母音の調音位置を意識することができ,英語の母音発音を変容させた児童が確認できた.
  • sP1-34
    石原由貴 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    Mirror Visual Feedbackにおいて発生する手の位置・筋運動感覚の錯覚はKinesthetic Mirror Illusion(KMI)と呼ばれている.本研究では手のイメージの想起性がKMIに与える影響を調査するため,手や持ち手の有無などの条件を用いて,KMIの比較実験を行なった.結果,手のイメージの想起性が高いほどKMIの誘起が起こりやすいこと,手を明示せずとも,KMIを誘起することが可能であることが分かった.
  • sP1-50
    斉藤功樹 (日本ユニシス株式会社)
    土肥拓生 (株式会社レベルファイブ)
    本稿では,要件定義書レビュー時の視線情報を用いてレビューを1ページ単位で評価する2つの手法を提案する.1つ目はレビュー時のレビュー品質評価であり,意図的に欠陥を含ませた要件定義書のレビューを19名に実施し,視線情報を用いて重み付けSVMにて欠陥を検出できない人を約81%の精度で分類するモデルを構築した.2つ目はレビュー文書の読みづらさ評価であり,視線情報より読み返し回数を算出し,読みづらさと読み返しの間に正の強い相関がみられた.
  • sP1-64
    桜井良太 (東京都健康長寿医療センター研究所)
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    The present study aimed to determine whether foot clearance is increased by visual illusion during a step-over task. Four participants were asked to judge the height of three obstacles in different conditions [control (i.e., white plane obstacle), horizontal, and vertical illusion conditions] placed 4 meters away from them and then to approach the obstruct to step over it. They perceived the obstacle to be higher in the vertical illusion condition compared to the other conditions. Similarly, they stepped over 83mm to 195mm higher the obstacles under the vertical illusion condition compared to the other conditions. Our results suggest that application of visual illusion can promote the adoption of a safer stepping-over strategy.
  • sP1-79
    上田拓弥 (関西学院大学理工学研究科人間システム工学専攻)
    工藤卓 (関西学院大学理工学部人間システム工学科)
    ラバーハンドイリュージョン(RHI)は機械の遠隔操作への応用などで近年注目されている.本研究ではRHIによる身体的感覚の延長を試みた.内観報告書と脳波,筋電計測からその強度を評価し, RHI誘導の積算効果により,長い延長ラバーハンドにおいてもRHIが発現することを明らかにした.さらにRHI誘導前に自身の手のみに触刺激を与えた場合,通常のRHIと比してRHIの発現が優位に増加する,RHIにおける事前刺激によるプライミング効果を発見した.
  • sP1-81
    澤田玲子 (特定非営利活動法人神経発達症研究推進機構)
    十一元三 (京都大学医学研究科)
    正高信男 (京都大学霊長類研究所)
    ヒトはさまざまな対象に自己を認識する.本研究は,氏名と筆記者の2領域の自己情報をもつ手書き氏名を観察中の事象関連電位を計測し,対象によって異なる自己表象があるのかを調べた.その結果,筆記者における自己-他者情報処理の違いは後頭頂領域のP250に,氏名における自己-他者情報処理の違いは正中部のLPCに反映した.このように,氏名と筆記者の自己情報処理は異なる成分に反映し,対象によって異なる自己表象があることが示唆された.
  • sP1-84
    河原美彩子 (東京女子大学)
    澤田佳子 (東京女子大学)
    田中章浩 (東京女子大学)
    本研究では、ロボットから多感覚的に表出された感情を人間がどのように認知するのか、また、それによって人間の利他行動は生起するのか検討した。その結果、目の色のような人間には表現できない人工的手がかりより、ジェスチャーのような人間も使う自然的手がかりを重視してロボットの感情を判断することがわかった。またロボットに対する利他行動の生起には、ロボットがどのような感情を示したかではなく、人間がそれをどのように感じたかが関係する可能性が示された。
  • sP1-85
    本木隼人 (東京電機大学)
    日根恭子 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    これまでに,話し手の発話速度によって聞き手が感じる話し手の性格印象が変わることが報告されている.しかし会話時において,聞き手と話し手の発話速度の違いである相対発話速度により,性格印象に違いが生じるかは不明な点が多い.そこで本研究では,会話時における相対発話速度が印象に及ぼす影響を検討した.その結果、「明るい↔暗い」,「慎重な↔軽率な」の形容詞対に対して,話し手の発話速度にかかわらず,相対発話速度が影響していることが示唆された.
  • sP2-1
    髙橋麻衣子 (東京大学)
    石川実佳 (名古屋大学)
    清河幸子 (名古屋大学)
    本研究では,背景音の提示が学習成績に干渉を及ぼす程度が学習者のワーキングメモリ容量によって異なるのかを検討した。器楽音と歌詞の有無を操作した背景音が,読解課題(実験1),系列再生課題(実験2),見本照合課題(実験3)に及ぼす影響を検討したところ,読解課題において,ワーキングメモリ容量の小さい学習者は背景音の提示によって成績が低下するが,他の課題においてはワーキングメモリ容量と背景音提示の干渉の程度に関連がないことが示された。
  • sP2-5
    宿利由希子 (神戸大学)
    Gøran Vaage (神戸女学院大学)
    林良子 (神戸大学)
    定延利之 (京都大学)
    本発表では,日本語の対話において相手から面白い話を聞いた場合,学習者はその直後に応答しがちであること,また,母語話者より早い発話タイミングでの応答を好みがちであることを実験で示す.この結果は,「間」を単に「先行発話を解釈し,応答発話を準備する時間」ととらえては理解できない.少なくとも「間」の一部は,たとえば「束の間の沈思黙考」「たじろぎ」「態勢の立て直し」のような,不作為の行動と考える必要がある.
  • sP2-7
    林美都子 (北海道教育大学)
    佐々木基 (北海道教育大学函館キャンパス)
    本研究では、立ち技格闘技の人気を復権するため、ポスター等で一般観客にアピールする状況を想定し、コスチュームの配色で伝わる選手の個性や印象を検討した。大学生281名に調査を行った。格闘家イメージ尺度は、実力を核に据えた「格闘技家らしさ」と「優美さ」、「愛嬌」で構成された。配色別分散分析の結果、赤グローブに黒トランクスがもっとも格闘技家らしく、青グローブに白トランスで優美なイメージ、黄色トランクスでは愛嬌がアピールされることが示された。
  • sP2-11
    阿部慶賀 (岐阜聖徳学園大学)
    本研究では、聴覚刺激による充実時程錯覚が非可聴領域の音源を用いた場合にも生じるかを検討した。実験では、心拍と同程度のペースの断続的なビープ音と、その倍速のペースのビープ音を用意し、それぞれ可聴領域の音域と、非可聴領域の音域で提示し、主観的な経過時間の長さを報告させた。その結果、可聴領域のみ、充実時程錯覚が見られた。
  • sP2-29
    川﨑貴子 (法政大学)
    田中邦佳 (法政大学)
    竹内雅樹 (理化学研究所脳神経科学研究センター ​言語発達研究チーム )
    本研究では選択肢呈示タイミングと聴取対象語の文中のポジションにより, 1)選択的注意が誘導できるか,2)注意誘導によりL2音知覚の成績が向上するかどうかを日本語・中国語母語話者を対象とした音声知覚実験を行って調査した.その結果,音声呈示の前に選択肢呈示を行うことで知覚成績が向上すること,聴取対象の語の文中の位置が知覚に影響を与えることが分かった.また,選択的注意の誘導は,音声知覚のプリファレンス効果の抑制の効果もあることが示唆された.
  • sP2-35
    浅野潤 (東京電機大学)
    日根恭子 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    ポータルサイトの表現方法には、「文字」「アイコン」と「組み合わせ」が存在し、「組み合わせ」が最良だと示唆されるが、目標情報が効率的に得られるかは十分に検討されていない。本研究では、心理実験を行い、目標情報を得るまでの選択時間と正答率を調べることで、どの表現方法が効率的に情報を得ることができるかを調べた。結果「組み合わせ」は選択時間に差は見られない一方、正答率は高かった。これにより「組み合わせ」は最も効率的な情報伝達手段であるといえる。
  • sP2-36
    吉原優華里 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    日根恭子 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    近年、撮影された画像は画像加工アプリを使用してSNSに投稿することが流行している。これまでの研究により、写真を撮影すること自体に心理的効果があることが示唆されている。しかし、写真を加工する作業自体の効果は不明である。本研究の結果、写真撮影後にその写真を加工すると、作業者のポジティブ情動評価値が増加した一方、写真撮影のみの場合はポジティブ情動評価値が減少した。従って、写真の加工作業はポジティブな気分に影響すると考えられる。