研究分野で検索

自然言語処理

  • OS17-1I
    依頼講演
    長谷部陽一郎 (同志社大学)
    本発表では自然言語における再帰性と志向性について,いわゆる思考動詞(think, believeなど)と報告動詞(say, tellなど)の補文構造を多重的に含む文の分析を通じて検討する.伝統的に生成文法ではヒトの言語器官の最も重要な性質は原理的に無限の埋め込みを含んだ構造を再帰的に処理できる点にあると論じてきた.しかし,実際の発話においては,思考・報告動詞の多重的な埋め込みを含む文は容認可能性および解釈可能性の点で問題を生じやすい.そこで本発表では,認知言語学の観点から多重的な思考・報告動詞構文の階層的概念構造を分析し,その展開と抑制がどのようなメカニズムで生じているかを明らかにする.
  • OS17-2I
    依頼講演
    田中久美子 (東京大学先端科学研究センター)
    経済、地震、気象など、自然発生的な時系列に対して知られている物理学上の特性として、長相関がある。長相関は、与えられた時系列の任意の二つの部分が、離れていても類似性を持つという、再帰的な性質を示唆する。本発表では、CHILDESコーパスや音楽、プログラミングといった人間が生成した時系列に長相関が成り立つことを示す。その原因を考えるため、数学的生成過程を複数考え、ある単純な再帰的なふるまいが関わっている可能性を示す。
  • OS18-1I
    依頼講演
    小方孝 (岩手県立大学)
    本稿では主に,オーガナイズドセッション「「脳/心理」‐「記号/文芸」‐「社会/制度」をつなぐ物語生成」の趣旨と概要を述べる.これは全体として,物語生成のモデルとシステムを多層的・多重的に構築しようとする筆者の多重物語構造モデル (Ogata, 2016)に関わるものである.このセッションはまた,オーガナイザー及びその他の関与者による将来に向けたアカデミック以外のものも含めた様々な協働・共同可能性を模索することも間接的な目的としている.
  • OS18-2I
    依頼講演
    新田義彦 (言語研究アソシエーション/日本大学)
    小方孝 (岩手県立大学)
     認知科学の主要分野である言語生成・言語理解の分野においては,近時,統計的アプローチが隆盛を極めている.手作りベースの古典的人工知能のアプローチは,自然言語表現の多様性に対処できないというのが,主な理由のようである.  本論文では,日本の古典的芸術文というべき「俳句」を例に採り,統計ベースの大量コーパス処理にはできない機能的強み,特にメッセージの組み込みと読み解きについて考察した結果を報告する.
  • OS18-4I
    依頼講演
    浅川伸一 (東京女子大学)
    ニューラルネットワークによる短文対話生成モデルの概説を試みた。取り上げたモデルは再帰型ニューラルネットワークに基づく言語モデル,ベクトル埋め込みモデル,系列対系列モデル,及び,変分自動符号化モデルである。大域潜在変数を導入することで変分自動符号化モデルはターゲット文を抽象化し,表現が柔軟になることが期待される。この特徴は通常の言語モデルは持たない。定量的な評価を含めて対話文,物語生成に対する貢献を評価していく手法の確立が求められている。
  • OS18-11
    小野淳平 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
    小方孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
    筆者らはテーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)が持つストーリー生成のメカニズムに注目し,TRPGに基づく物語自動生成ゲームを開発した.このシステムでは.TRPGにおいて成立する,用意されたストーリーの枠組みと生成されるストーリーの差(これをギャップと呼ぶ)から生まれる驚きを導入するための技法を持ち,筆者らはその驚きの作用を分析した.本稿では,その分析の結果から驚きを導入するための技法の整理からギャップ技法を提案する.
  • P1-13F
    浅原正幸 (人間文化研究機構 国立国語研究所)
    加藤祥 (人間文化研究機構 国立国語研究所)
    本研究では『現代日本語書き言葉均衡コーパス』に対して付与された、読み時間と分類語彙表番号に基づく統語・意味分類の対照を行う。線形混合モデルに基づく統計分析では、統語分類において動詞文節がほかの文節より有意に読み時間が短くなる傾向と、意味分類において関係を表す文節がほかの文節より有意によみじかんが短くなる傾向が確認された。
  • P2-2
    粟津俊二 (実践女子大学)
    日本語行為文理解時に発生する運動シミュレーションに関する4実験を、メタ分析した。過去の実験で用いた127の手行為文を対象に、その文が意味する行為の方向、力、速度、大きさ、及び文の文字数、モーラ数、親密度、心象性が、有意性判断課題の反応時間に与える影響をい因子分析と重回帰分析により検討した。その結果、動作の大きさと速さが、反応時間に影響していた。運動シミュレーションには、動作の大きさや速さを制御する神経回路も含まれることが示唆される。
  • P2-4
    張寓杰 (東邦大学理学部情報科学科)
    寺井あすか (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
    上西秀和 (獨協医科大学基本医学情報教育部門)
    菊地賢一 (東邦大学理学部情報科学科)
    中川正宣 (大妻女子大学人間生活文化研究所)
    本研究では,張ほか(2013)の研究で構築した日本語の計算モデルにおける,日本語の名詞と動詞の関係に名詞と形容詞の関係を加え,計算モデルを拡張し,心理学実験によりモデルの妥当性を検証した.また,今までの研究成果の発展的応用として,帰納的推論の検索システムをプログラミング言語PHPにより構成した.この検索システムは現在ローカル環境に限定されているが,今後WEB上での一般的利用を予定している.
  • P2-38
    原田康也 (早稲田大学)
    森下美和 (神戸学院大学)
    鈴木正紀 (ピアソン)
    大学生の英語学習到達度には大きな幅が見られる。中学・高校における英語学習経験は学校により複雑で、学校外の学修経験も英語運用能力に大きな影響を与えている。英語の学力が高い学生については、語彙・文法・連語などの英語に関する知識とリスニング・スピーキング・ライティングなどリアルタイム性を要求される課題での運用能力に大きな乖離があることが多い。同じく産出といっても、スピーキングとライティングでは一定の差が見られることが一般的である。
  • P2-48
    伊藤拓哉 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部ソフトウェア情報学科)
    小方孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
    筆者らが開発中の統合物語生成システムの入力として俳句を利用することを目指し,今回は俳句を自動で生成する手法の考案のために「おくのほそ道」の俳句の品詞の遷移を分析した.また獲得した品詞の遷移パターンなどを利用し生成した俳句に関して,面白さと理解度の試験的な評価を行い,この評価の結果から生成される俳句の向上を目指す.
  • P2-51
    荒井達也 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
    小方孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
    統合物語生成システムの動詞概念辞書において,格納される動詞概念は様々な制約を持つ.統合物語生成システムは動詞概念の持つ格構造における名詞概念の制約に基づき事象を生成する.本稿では,青空文庫中の小説に基づく事象の制約の獲得とその分類を行う.今回は,「N1がN2を食べる」という意味を持つ動詞概念「食べる2」のN2格から,動詞概念「食べる2」の制約の獲得を行う.また,従来の制約と獲得した制約の比較を行い,動詞概念の制約の改善案を提案する.