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学習

  • O1-2
    服部郁子 (立命館大学 文学部)
    服部雅史 (立命館大学 総合心理学部)
    本研究では,ワーキングメモリーに対する負荷と課題の性質(否定の形式)が,因果帰納とそれに基づく判断にどのような影響を及ぼすのかについて,思考の二つのフレームの切り替えという観点から検討を行った.実験の結果から,ワーキングメモリーへの負荷および課題の性質(否定の形式)はそれぞれ,二つのフレームの切り替えに対する抑制と促進として働き,判断に影響を及ぼすという仮説が支持された.
  • O2-1
    白水始 (東京大学CoREF)
    中山隆弘 (東京大学CoREF)
    齊藤萌木 (東京大学CoREF)
    飯窪真也 (東京大学CoREF)
    水野美沙 (富士通株式会社)
    大島喜芳 (富士通株式会社)
    成田秀夫 (河合塾)
    子供の学びを認知的に分析し,次の授業デザインに繋げる継続的な授業改善の力量向上が学校現場に求められているため,本研究は,クラス全体の学習遷移の機械的分析と学習者個人の事例的プロセス分析を融合する評価手法を提案した.現代国語の知識構成型ジグソー法授業二回分の全学習者の全発話・記述を対象に,各時点でのことばの新規性をパタンマッチで分析し,他者からの取り込みを同定して,そこに至る理解プロセスを解明することに成功した.
  • OS03-2
    瀧見彰太 (北海道大学)
    坂本大介 (北海道大学)
    小野哲雄 (北海道大学)
    本研究では、自己所有感と自己主体感の関係性について調査するために、影メディアとバイオロジカルモーションを用いて3つの実験を行った。実験1、2では、操作対象の遅延によって、2つの感覚が喪失されるかどうかを調査した。実験3では、操作対象の操作権を奪ったときの操作対象への印象を調査した。結果、自己主体感は自己所有感よりも操作対象の遅延による影響を受けづらいこと、自己主体感が失われても自己所有感が独立して存在できる可能性があることを示した。
  • OS03-7
    横山拓 (青山学院大学社会情報学研究科)
    鈴木宏昭 (青山学院大学)
    本論文はマイケル・ポランニーによる暗黙的認識と投射の概念を援用しながら,熟達の過程とメカニズムをプロジェクション科学の観点からとらえ直すことを目指す.この観点からすると,熟達者とはある領域においてより多くのものを近位項として機能させることができる存在であり,熟達化は世界に対する投射能力の拡張として考えることができる.本論文では投射による熟達の暫定的なモデルを示した上で,伝統芸能やボクシングの熟達化に関する事例にアプローチする.
  • OS04-6
    南部美砂子 (公立はこだて未来大学)
    福島由佳 (NECネッツエスアイ)
    ジャニヲタと呼ばれるアイドルファンを対象とした質問紙調査とインデプスインタビューにより,彼女たちのソーシャルメディアユーザとしての実態や,心理・社会的特性について検討した.とくに友だちづくりのための独自の情報環境デザインと,それにともなう社会文化的な学習のプロセスに注目して分析を行った結果,彼女たちはソーシャルメディアを活用して主体的にファン活動や他者との関係性を最適化していることが明らかになった.
  • OS04-8
    名塩征史 (静岡大学)
    本研究では、統率された枠組みの中で行われる空手の基本動作の練習場面を取り上げ,そうした統率を自らその場に要請しながらも,その統率の枠を超えて自由に動き,各練習生が抱える問題に個別に対応する師範の指導行為を分析・記述する.また、この教授と練習の場が,師範−指導者−練習生の多様な組み替えと重複を含む三者間相互行為によって共創される様相を具体的な事例をもって示す。
  • OS04-9
    山田雅之 (星槎大学)
    本研究はアイスホッケー初心者が熟達していく過程について,「学習者の姿勢」と「コーチと学習者の間合い」を可視化した.分析対象は初めてスケートを履き氷上で立つことのできない初心者1名の8回分の練習であった.結果から学習者が滑れるようになる前後で間合いが変化していることが示唆され,姿勢をカラーバーの形で可視化すること,間合いをピクセル数から可視化することによって,スキル獲得過程を読み取れることが示唆された.
  • OS06-2
    松浦李恵 (慶應義塾大学)
    趣味としての「コスプレ」にみられる自宅での衣装製作場面を対象とし,その活動を行う中で交わされる家族との会話の特徴や,さまざまな人工物とのインタラクションについて,ビデオカメラとリフレクションインタビューを用いて調査し,分析を行った.その結果,趣味の活動を家の中で円滑に行うということは,個人の動機や欲求の問題だけに還元できるものではなく,環境を構成する人工物や他者とのインタラクションのもとで実現していることがわかった.
  • OS11-4
    大北碧 (専修大学,日本学術振興会)
    澤幸祐 (専修大学)
    運動同期によって,コミュニケーションと関連しない(実験1)もしくは関連する注意(実験2)が影響されるのかを検討する。ある刺激が参加者の動きに合わせて動く課題を行った後に,その同期刺激と,同期しなかった刺激を標的刺激とする探索課題を実験1では行う。実験2では,同期刺激と非同期刺激を手がかり刺激とする,視線手がかり課題を行う。運動同期が注意に影響するならば,いずれの実験でも,同期刺激において標的刺激の検出が促進されると考えられる。
  • OS12-2
    中野優子 (東京大学大学院学際情報学府)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科,情報学環)
    本研究では自分のこれまでに築いてきた価値観では捉えられないような「異質な」芸術作品と,身体を積極的に利用して表現を創るという方法で関わる(鑑賞する)という教育プログラムを現役の芸術家と著者らが協働でデザイン・実施し,それによりもたらされた教育効果を触発という観点から参加者の心理的変化に着目して検討した.結果として,身体を積極的に利用して表現を創るという教育プログラムは参加者の触発を引き起こし,より深い鑑賞体験をもたらした.
  • OS17-5
    遠山紗矢香 (静岡大学)
    プログラミングが教科に対する理解を深めるとされる主張が注目されてきたが,いかに用いれば理解深化を促すことができるかは不明点が多い. そこで本研究では,プログラミングを用いて小学5年生が算数の正多角形について理解を深めることを目指したワークショップを実施し児童の学習過程を質的に分析した. その結果,プログラミングと協調学習の組み合わせにより,学習者は対象をモデル的に捉えるようになる可能性が示された.
  • OS17-6I
    依頼講演
    時田真美乃 (信州大学)
    平石界 (慶應義塾大学)
    心の状態についての再帰的事象を認識する能力には,論理-数学的知能が関連するだろうか.本研究では,金額当てゲームを開発し,3次および5次の志向意識水準を用いた回答の割合と,論理-数学的課題(for 文)の 5次までの多重ループ課題との正答の割合の関係性を分析した.結果は,論理-数学的課題において,5次までの多重ループ課題を正答するグループは,金額当てゲームにおける3次および5次の志向意識水準を用いた回答においても,正答率が高かった.またこの正答率とマキャベリア二ズム尺度についても関連が見られた.
  • P1-4F
    宇野正明 (代々木ゼミナール)
    本研究の目的は、習熟による学習方略の質的変化から学びの全体構造を明らかにすることにある。まず学びの全体性を3層構造と仮定した調査項目を作成し、習熟の進行によって層を超えた意識づけが生じることを検証した。次に実際の学習場面におけるノートや作文を取り上げ、習熟による表現の変化を分析した。両者の研究から、同じ学習方略を用いても習熟の違いで異なる意味付けがなされること、それは上層が下層を組み込みながら活用する包含関係で進行することを確認した。
  • P1-6F
    松林翔太 (名古屋大学大学院 情報科学研究科)
    三輪和久 (名古屋大学大学院 情報学研究科)
    寺井仁 (近畿大学 産業理工学部)
    変則的な事例に対して,表面的な入出力に着目する記述的対処方略と,構造的なメカニズムに着目する説明的対処方略を定義し,それぞれの性質について実験を通して検証を行った.その結果,課題の難易度が低く単純な場合は説明的方略のほうが課題成績は高かった一方,複雑な場合には記述的方略のほうが要したコストも小さく,成績が高いことが示された.特に,従来研究ではあまり重要視されてこなかった記述的方略の性質を明らかにすることができた.
  • P1-9F
    髙岸悟 (放送大学)
    本研究の目的は、① 学習者・保護者・研究者の協調により学習者がより賢くなれる型を作ること、② その型を用いて学習者が自らの学習上の問題解決を主体的に行えるようになること、の2点である。また、今回は3つのケースを取り上げたが、まだ始めたばかりの研究で、思うような結果を出せていない。今後は、問題設定、三者の話し合いの場、またその前後のスタイルを改善していく予定である。
  • P1-16F
    鮫島和行 (玉川大学脳科学研究所)
    村井千寿子 (精華女子短期大学)
    島田将喜 (帝京科学大学)
    動物訓練場面において、社会的シグナル交換の相互学習の存在を検証するために、サル訓練場面の動作、訓練戦略と音声発話分析を行った。動物は多様な動作を初期に行い、目標行動を獲得するに応じて、人も初期には多様な指令・結果返還を用いるが、より少ない単純化された発話や動作のみが残った。結果から示唆される社会的信号の相互学習の心理機構を知ることは、ヒト間で行われている意思疎通の共通原理解明の糸口、および人と意思疎通する機械の基礎技術となる。
  • P1-17F
    北原由絵 (名古屋大学 情報科学研究科 メディア科学専攻)
    三輪和久 (名古屋大学 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    反実仮想の研究は,上向きと下向き2つの反事実の概念を取り扱ってきた.これは,後悔などのネガティブ感情を伴うと言われている.また,後悔感情が未来改善のモチベーションに繋がることも,先行研究によって明らかとなっている.本研究は,目的をふり返ることの有無が,反実仮想における未来改善機能にどのように影響するのかを明らかにすること,および反実仮想によって喚起される後悔と未来改善機能の関係を検討した.
  • P1-20F
    須藤智 (静岡大学大学教育センター)
    大木朱美 ((株)KDDI 総合研究所)
    新井田統 ((株)KDDI 総合研究所)
    本研究では,高齢者のスマートフォンの利用学習に対するグループ学習型講習会の介入効果を検討した。グループ学習型講習会では,実際のスマートフォンの利用場面を再現し,支援者と共にグループでスマートフォンを利用した。実験は4週間行われ,1週目の4週目のユーザビリティテストの成績を比較検討した。実験の結果,グループ学習群の4週目の利用成績は対照群よりも有意に向上した。発表では,結果をもとに高齢者のIT機器の利用学習の支援デザインを議論する。
  • P1-38F
    谷川由紀子 (NEC/筑波大学大学院)
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    工学系と人文系の学生を対象とする質問紙調査を行い,使いにくい情報システムの利用場面での感じ方や行動,使いにくさに対する認識,さらにICT利用スキルやモノづくりへの意識を分析した.また各学部の1年生と3年生以上の比較を行った.その結果,使いやすさの主要因に対する認識は不変だが,使いにくさに直面した場合の感情,使いにくさの評価基準,使いやすさに向けた改善項目の優先順位づけに違いが確認され,違いの発生に工学教育が影響する可能性が示唆された.
  • P1-50F
    趙曌 (広島大学)
    酒井弘 (早稲田大学)
    本研究では,他動詞文中で目的語を表示する格助詞の学習に有効であった高省略分の出現頻度を操作することで,インプット中にどれほどの項省略文が出現すればそれは格助詞の学習に効果を発揮するのかについて検討した.結果,実際のインプット中の出現頻度である80%の出現率,さらにはそれよりも少ない20%の出現率でも,項省略文はその効果を発揮し,子どもは格助詞の学習に成功していた.
  • P2-8
    小野創 (津田塾大学)
    柳野祥子 (株式会社ジャストシステム)
    小川萌子 (津田塾大学 ※研究実施時)
    大塚亜未 (津田塾大学)
    語彙頻度や親密度は、語彙判断に要する時間を変動させる代表的な要因である。本研究では、親密度ベースの個人の属性推定が、語彙判断に要する反応時間という指標からどの程度可能であるのかを検討することを目的とする。特定の大学に属する学生が日常頻繁に接する単語を選定し、それらを親密度の操作として用いた語彙判断実験を実施した。そして、そのような親密度指標が属性推定に一定程度有効であることを明らかにした。
  • P2-10
    青山征彦 (成城大学社会イノベーション学部)
    学びや実践がどのような基盤に支えられているかについて、レジンアクセサリーの制作を趣味としている女性のインタヴューを、野火的活動という観点から分析した。その結果、宇宙塗りという技法がテンプレートとなって、実践に参入しやすくなっていること、ハンドメイドについての予備的な知識を持っていることが参入を助けていること、制作には100円ショップが、実践に意味を与えるにはイベントが重要な意味を持っていることが明らかになった。
  • P2-11
    Nani Barorah Nasution (金沢大学人間社会環境研究科)
    谷内通 (金沢大学人間社会環境研究科)
    This study evaluated effectiveness of case study and concept map on improving CT skills and CT disposition in Indonesian college students. It was shown that case study was effective if it was combined with concept map.
  • P2-12
    中野良樹 (秋田大学教育文化学部)
    大槻正伸 (福島工業高等専門学校電気工学科)
    た.解決への自信度は時間経過とともに低下し,完成直前でも上昇しなかった。つまり,作業者は目の前の状態が完成に近づいているかを正しく推定することはできなかった.一方で、課題そのものの難易度は正しく評定できていた。視線移動に関しては、解決力の高い作業者はピース配置という問題空間を全体的に走査して捉える傾向があった。
  • P2-15
    杉澤千里 (富士市立富士南小学校)
    本研究の目的は,音楽の授業の際に「知識構成型ジグソー法」を用いて,「曲想の特徴」「歌唱技能」「音の強弱と高さの関係」「歌詞の内容」の4つの要素を軸に,旋律の特徴に合った歌唱表現を追求することにある。この授業の後には,授業前と比べ,旋律の特徴について記述した4つの要素に関する内容が増加した。また,授業中の発話についても,4つの要素を統合した内容が見られた。この結果,児童の歌唱表現が,旋律の特徴を付けるものへと変化したといえる。
  • P2-18
    田崎帆貴 (東京電機大学 情報環境学部 情報環境学科)
    林拓弥 (東京電機大学 情報環境学部 情報環境学科)
    日根恭子 (東京電機大学 情報環境学部 情報環境学科)
    本研究の目的はHMDのヘッドトラッキング技術に着目し,映像が観察者の視点の位置によって変わる視覚の能動性によってVR体験がどのような影響を受けるか検討することであった.これまで,受動的に視覚するより,能動的に視覚した方が認識能力は高くなることが報告されている.実験の結果,視覚の能動性が観察者の感覚や記憶成績に影響を与えることが明らかとなった.VRがどの程度人の学習や記憶などの認知処理に影響を及ぼすか議論する.
  • P2-23
    森下美和 (神戸学院大学)
    原田康也 (早稲田大学)
    心理言語学的研究では,統語的プライミング(言語処理プロセスにおいて,直前に処理した文と同じ統語構造パターンを用いる傾向)が,学習者の言語産出における統語構造の学習や統語処理能力の向上に利用できる可能性が示されている。第一著者は,日本人英語学習者を対象とし,統語的プライミングを利用した一連の実験を行い,語彙・統語情報とその処理プロセスについての知見を得ている。本稿では,接触回数を操作して新たな実験を行った結果について報告する。
  • P2-26
    福丸歩実 (千葉工業大学大学院)
    山崎治 (千葉工業大学)
    本研究では、文章理解を促進する方法について調査することを目的とし、文章に図を添え実験を行った。実験では、3種類の未完成図(用語ぬき・関係ぬき・例ぬき)を利用した。実験参加者は、文章に付与する図の種類により5条件に分けられた。未完成図条件の実験参加者には、未完成図を完成させることを要求した。その後、理解課題を行ったところ、用語ぬき条件より例ぬき条件の平均点のほうが高く、また用語ぬき条件より図なし条件の平均点が高いという結果が得られた。
  • P2-27
    永井香 (東京 桜美林中学校・高等学校)
    数学で新しい内容や公式を学ぶとき,教師によって説明された例題と少しでも形式が異なる問題には対処できない生徒は多い.本研究では,生徒が新しい内容を学習するとき,教師が説明をするより前に生徒たちが試行錯誤しながら協調的に学習する形式の授業(知識構成型ジグソー法)を試みた.協調的に学習することで,初めて学ぶ内容であっても,教師の説明がなくても様々な形式の問題にも公式が適用できるようになり,学習内容の定着度も上がることが示唆された.
  • P2-36
    橋爪一治 (島根大学大学院教育学研究科教育実践開発専攻)
    森脇春奈 (前島根大学教育学部)
    本研究は,文字や記号に関する大域傾向はいつごろからみられるのかなど,子どもの成長による注意能力の特徴を明らかにすることを目的とした。被験者は小学校児童36名,大人10名,計46名であった。PC画面上に小さな記号や文字(局所文字記号)で形づくられた別の大きな記号や文字(大域文字記号)が表示された。被験者は,大域文字及び局所文字記号を回答し,その時間を計測した。その結果年齢の増加による発達の特徴が確認された。
  • P2-37
    平子祐亮 (明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻)
    伊藤貴昭 (明治大学文学部)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    近年、動画視聴時の脳活動解析の手法として被験者間相関(ISC)解析が注目されている。本研究では、ISC解析を用いて動画授業の内容理解に関わる脳機能を調査した。同じ動画を視聴した時に被験者間で脳活動が相関する脳領域を特定し、ISC値の時系列変化について解析した結果、特定の解説場面において右半球の背外側前頭前野の活動が有意に高かった。このことから動画授業視聴時には背外側前頭前野のワーキングメモリが被験者間で同様に働くことが示唆された。
  • P2-38
    原田康也 (早稲田大学)
    森下美和 (神戸学院大学)
    鈴木正紀 (ピアソン)
    大学生の英語学習到達度には大きな幅が見られる。中学・高校における英語学習経験は学校により複雑で、学校外の学修経験も英語運用能力に大きな影響を与えている。英語の学力が高い学生については、語彙・文法・連語などの英語に関する知識とリスニング・スピーキング・ライティングなどリアルタイム性を要求される課題での運用能力に大きな乖離があることが多い。同じく産出といっても、スピーキングとライティングでは一定の差が見られることが一般的である。