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神経生理

  • O3-1
    上田竜平 (京都大学大学院文学研究科・日本学術振興会)
    柳澤邦昭 (京都大学こころの未来研究センター)
    蘆田宏 (京都大学大学院文学研究科)
    阿部修士 (京都大学こころの未来研究センター)
    本研究では、交際中の男性を対象としたfMRI実験を通して、浮気行動の能動的抑制を支える前頭葉の関与が、交際段階に応じて変動するという仮説を検討した。結果から、go/no-go課題における反応抑制時の右腹外側前頭前野の活動と、パートナー以外の異性との浮気関係に対する関心の抑制との関与が示された。一方でこの関係は、現在の交際関係が長い個人においてのみ示され、交際関係の初期にある個人では示されないという、仮説を支持する結果が得られた。
  • OS03-1I
    依頼講演
    嶋田総太郎 (明治大学)
    本発表では、プロジェクションの認知機能について考えるために、ラバーハンド錯覚とミラーシステムを取り上げて議論する。ラバーハンド錯覚を自己の物体へのプロジェクション、ミラーシステムを自己の他者へのプロジェクションとして捉えることによって、「身体を介した自己のプロジェクション」のメカニズムと機能を浮かび上がらせたい。これらの検討を通じて、単なる「認識」とは異なる「プロジェクション」の射程について考えたい。
  • OS05-2I
    依頼講演
    西尾慶之 (東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野)
    A substantial proportion of patients with Lewy body disease experience a variety of false perceptions, which include visual hallucinations of persons and animals, a sense of presence, passage hallucinations and various types of visual illusions. My colleagues and I have been conducting behavioral and neuroimaging studies to investigate common mechanisms underlying these phenomenologically diverse misperception symptoms. In this paper, I present the findings obtained from these studies and discuss psychological and neural mechanisms of false perceptions in Lewy body disease with referring to the concept of “sense of veridicality”.
  • OS09-5I
    依頼講演
    田口茂 (北海道大学)
    現象学的な観点から、「同じさ」を「差異」によって定義することを試みる。われわれは、差異を基盤としてはじめて何かを「同じもの」としてつかむことができる。「同じもの」とは、差異に満ちた現実から差異が部分的に相殺された結果であると考えることができる。それゆえ、同一性は差異に還元可能である。さらに、同一性に対する差異の根源性を、固視微動、カエルの視覚、神経適応、ニューロンの生理学的特性といった経験的・実験科学的知見から裏付けることをも試みたい。
  • OS13-5I
    依頼講演
    亀田達也 (東京大学大学院人文社会系研究科)
    年金や医療費負担に関わる世代間衡平の問題は、高齢者と若年者の対立として捉えられやすい。現在、社会科学では「フューチャーデザイン」という考え方が生まれている。私たち現世代は、市場や民主主義のシステムのもと、高齢者・若年者の別なく、将来世代から資源を奪うエゴイストになりやすい。本講演では、世代間衡平の問題を高齢者−若年者間の局所的葛藤から、現世代と将来世代との大きな衡平性をめぐる問題に止揚し、高齢者が担い得る役割の可能性について考えたい。
  • OS14-1I
    依頼講演
    安永大地 (金沢大学 歴史言語文化学系)
    本研究ではカクチケル語の基本語順が動詞-目的語-主語(VOS)なのか主語-動詞-目的語(SVO)なのかという問題に取り組んだ。2つのERP実験を行ったところ、SVO語順がVOS語順よりも処理負荷が大きいという結果が得られた。この結果は、カクチケル語の基本語順がVOSであることを示すものだと解釈できる。また、多様な語順の処理負荷は人間の認知特性に基づくというよりも個別言語の文法の特徴に基づくと考えたほうがよいということを示唆する。
  • OS14-4I
    依頼講演
    新国佳祐 (東北大学)
    矢野雅貴 (東北大学/日本学術振興会)
    本研究では,VOS語順を基本語順とするタロコ語を対象として,主に語順の違い(VOS対SVO)が文理解の際の処理負荷に及ぼす影響を検討するため,ERPおよび瞳孔反応を指標とする実験を行った。実験の結果,VOS語順文よりもSVO語順文の処理負荷が大きくなることが示され,文理解における語順の選好性は言語個別的な要因(基本語順)によって規定されるという個別文法仮説が支持された一方で,結果の一部は人間の普遍的認知特性もまた語順の選好性に寄与している可能性を示唆した。
  • OS17-4
    外谷弦太 (北陸先端科学技術大学院大学)
    浅野莉絵 (Institute of Musicology, University of Cologne)
    橋本敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    再帰の解釈には,構造としての「階層的埋め込み」と,操作としての「ある関数の自己参照・自己呼び出し」という二種類が考えられる.言語文における「再帰」論争やヒトと動物との比較認知実験において,二つの再帰は混同や誤解を招いてきた.本発表では,再帰的操作の概念的な本質は,ある階層的埋め込み構造の存在やその生成ではなく,新たな埋め込み構造を無限に創り出せることにあり,ヒトの生態学的環境は後者を適応的にするものであった可能性が高いことを主張する.
  • P1-22F
    松本一樹 (東京大学大学院教育学研究科)
    Tomasz Rutkowski (BCI Lab)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究では、芸術鑑賞において、鑑賞者が作品の創作経験を有していることで、そうでない場合と比べどのような変化が生じるか検証する実験を行った。結果として、実験中に作品創作を経験した参加者は、そうでない参加者と比べ、作品をポジティブに評価する傾向を示した。さらにこの認知メカニズムを検討するため、同時に測定した脳波と心理指標を併せて分析したところ、作品の背後にある創作プロセスの認識が作品の印象形成に関わる重要な要素であることが示唆された。
  • P2-5
    桃川智行 (明治大学大学院理工学研究科)
    上野佳奈子 (明治大学理工学部)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    本研究では,不随意な運動により引き起こされる聴覚フィードバックに遅延を挿入した際の脳活動を測定し,遅延検出の知覚特性を検討した.随意運動で同様の実験を行った先行研究では,遅延検出に関する事象関連電位(EP2)が100,200 ㎳遅延条件で生起したのに対し,不随意運動の場合は200,300 ㎳遅延条件で生起した.この結果は、不随意運動時には遠心性コピーを利用できないためにフィードバック予測の内部生成が遅れることを示唆している.
  • P2-37
    平子祐亮 (明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻)
    伊藤貴昭 (明治大学文学部)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    近年、動画視聴時の脳活動解析の手法として被験者間相関(ISC)解析が注目されている。本研究では、ISC解析を用いて動画授業の内容理解に関わる脳機能を調査した。同じ動画を視聴した時に被験者間で脳活動が相関する脳領域を特定し、ISC値の時系列変化について解析した結果、特定の解説場面において右半球の背外側前頭前野の活動が有意に高かった。このことから動画授業視聴時には背外側前頭前野のワーキングメモリが被験者間で同様に働くことが示唆された。
  • P2-45
    松田剛 (京都府立医科大学)
    山脇正永 (京都府立医科大学)
    我々の先行研究では他者の嚥下音を聞くことで嚥下の開始が早くなることが確認されたが、その効果が嚥下音に特有の効果なのか、音刺激全般による効果なのかは不明であった。そこで本研究では18名(平均25.4歳)を対象に音刺激として嚥下音とノイズ音を用いた嚥下反応課題を実施し、嚥下運動の開始を早める効果はいずれの音刺激にもあるものの、その効果は嚥下音の方が強く、また嚥下時の筋活動は嚥下音提示時の方が小さくなることを明らかにした。