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[L2] 特別講演

9月14日(木) 14:10 - 15:30 会場:101講義室
    人工知能と棋士は 囲碁の深淵に迫れるか
    大橋拓文(棋士・日本棋院)
    企画:
    日高昇平(北陸先端科学技術大学院大学)
    指定討論者:
    シモン・ビエノ(北陸先端科学技術大学院大学)
     囲碁は中国を起源にもち、特に江戸時代の日本でゲームとして大きく発展し、現在では東アジア各国を中心とする全世界で愛好される2人で行うゲームである。囲碁は単純なルールであるが故に、その戦略性は高く、古来思考力を競う代表的なゲームとして発展してきた。人工知能の発展において、バックギャモン、オセロ、Chessや将棋と、ゲームの組み合わせ数の小さい順に、人と同等かより強いコンピュータシステムが開発されており、人工知能技術の発展の一種のマイルストーンとしてこうしたゲームを舞台とした人間vs機械の対決が行われてきた。こうしたゲームの中でも囲碁は最も組み合わせ数が大きく、人工知能が人間のトップ棋士に勝利するのは当分先であると予想されていた。
     しかし、2016年3月, Google/ DeepMind社の開発したコンピュータ囲碁ソフトAlphaGoがトップクラスの棋士であるイ・セドル九段に4勝1敗と勝ち越し世界に衝撃を与えた。2017年初頭のネット上の非公式な対局では、日本・中国・韓国の棋士らに対して60戦全勝、続いて、2017年5月に行われた世界トップの棋士・柯潔氏に3連勝と圧倒的な成績をあげた。こうした一連の結果は、棋士はもちろんのこと、コンピュータ囲碁研究者、そして認知科学者にとっても重要な課題を突き付けている。
     こうした背景の中、思考力を競うゲームの最高峰と目される囲碁における人工知能の到達点の意味、今後の囲碁界の展望、また囲碁というゲームそのものの深淵を追究する上で、人工知能技術がどう貢献できるか、などについて、棋士で囲碁コンピュータにも造詣の深い大橋拓文氏、そして囲碁コンピュータ研究者であるシモン・ビエノ氏に語っていただく。