認知インタビュー手法による日常記憶の想起促進
要約
 認知インタビューは、事件の目聾者からの効率的に、正確な証言をできるだけ多く聞き取るために開発されたインタビューテクニックであり、アメリカやヨーロッパの警察をはじめとして、その有効性が確認されている。本研究では、この手法を日本語を用いて日本の被験者に行つても、同様の想起促進効果が得られるのかを実験的に検討した。
 24人の成人の被験者がランダムに2つの群に割り振られ、5枚のスライドからなる場面を観察したあと、認知インタビューかあるいは統制条件として、単なる自由再生とプロ一ブ質問の組み合わせによるインタビューを受けた。これらの成績を比較したところ、認知インタビューを用いることによって、誤りを増加させることなく、より多くの項目を再生させることができる事が示された。また、誘導質問についても認知インタビュー群で高い耐性があることがわかった。
 この結果から,認知インタビューの本邦での有効性が確認された。この結果をもとにして、認知インタビューが想起を促進するメカニズムについての議論を行つた.また,認知インタビューの実験を行う際の留意点について検討を加えた。
このページを閉じる