題名:日本の大学生300人の「君が代」の歌詞の記憶
アブストラクト
99年6月21日に和歌山大学の1、2年生を中心とする大学生約300人を対象として「君が代」の歌詞の記憶の調査を行ったので報告する。大教室で一斉に配布、回収した質問紙313件のうち、「この歌をきいたことがある」と回答した303件(96.8%)を被験者とした。被験者一人あたりの平均再生単語数が全19語中15.1語(79.4%)、全く何も再生しなかった被験者が22人(7.3%)、完全に正しく再生した被験者が117人(38.6%)と、全体として非常に再生が良かった。「蛍の光」「仰げば尊し」を題材とした先行研究と比べると、(a)再生が完全な右肩下がりの曲線を示すこと、(b)「いわおと(巌と)」を「岩音」と書く被験者が35人(11.6%)もいるなど誤字が目立つこと、(c)意味が通じるように変化する構成的処理がほとんどないことが特徴である。先行研究と比べて、非常に表現(音またはよみ)の記銘が強いことが分かる。意味を理解せずに覚えているからであると考えられる。
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